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テンションアップダウン第三回そして誰も居なくなるドッキリを考えたのだが……

「梅雨もここまでの雨が降るなんて思ってもないよね」

「梅雨に思考力があった思うんじゃないの?」

 窓ガラスを割った日から三日後の放課後、明らかに災害レベルじゃないかと思うほどの豪雨で校舎内に取り残されてしまったボクら。

 暇すぎてついつい占いをしている。


「……海苔ちゃん先輩、先輩は一人っ子なので今日右足の小指以外を怪我します」

「嫌だなぁ」

「次に先輩は……」

 本のページをパラパラ捲る。

「……マナ先輩や吠天先輩と同じで上に兄か姉が一人いましたよね?」

「……姉が一人居るよ」

「では先輩は……蚊に刺されます」

「地味だな!」

 こんな感じで時間を潰しているとき。

「……あっ!今光りましたよ」




 フィーが窓の外を見ながら呟くと、間髪入れずに雷が落ちる。

 まばゆい光と轟音が響き渡る。

「!」

 と同時にパソコンが机から落ちる。

「…………」

「…………」

 黙って落としたパソコンを拾う吠天先輩。

「……吠天先輩って雷が苦手なんですか?」

「ぶべらっ!?」

「先輩キャラ設定が崩れてますよ」

「『バカなことを言うんじゃないよ全く!』」

「また光った」

 次の瞬間吠天先輩先輩は机の下に潜っていた。

「嘘です」

 吠天先輩は頭を抱えていたがボクの一言で直ぐにいすに座り直しす。

「『嘘はよくないよ全く!』」

 頬を膨らませながら抗議をしてくるがしかし……。

 ピカッゴロゴロゴロゴロ。

 光と同時に凄まじい音が鳴り部屋の電気が消えた。

「ぴにゃぁぁぁあああ!!!」

 かなり取り乱している吠天先輩が部屋の扉を蹴り開けて走り去ってしまった。

「吠天先輩!?危ないですよ!」

 海苔ちゃんが注意するが全く持って意味がない、注意する意味がない。


「……先輩は何処へ行ったんでしょうか?」

 あれから三十分、電気も復旧し明るくなった部屋。

 吠天先輩は結局戻っては来なかった。

「探しに行く?」

「面倒くさいなぁ……たく」

 流石にまだ外には出れないので校舎内に居ると思うのだが……。

「手分けして探しましょ」

「……では私は一階を」

「じゃあボクは二階」

「私は三階に」

「三十分経ったらここに戻ってこよう」

「「了解」」


 二階に下りると少し焦げ臭かった。

「……火事か?」

 臭いの元を探すように鼻を鳴らしながら歩く。

「家庭科部からするな……」

 少し扉を開けて中をのぞき込む……すると中では。

「肉焼けてるわよヒヨ」

「先輩良いんですか!?こんな事して!」

「気にしないで新人さん……春ポンこれ」

「ありがと」

「いつもお世話になっているからね」

「賄賂ですよね!」

 

 家庭科部の人と他に何人かで焼き肉パーティをしていた……。

 中にいないか。


 三十分が経ったが吠天先輩は見つからず、部室に戻る。

「見つかった?」

 部屋の中に姿は見えないが一応聞く。

「……見つかりませんでした」

「海苔ちゃんはまだ戻ってないのか」

 歩き疲れたので椅子に腰掛けようとしたときすさまじい悲鳴が廊下に響き渡る。

「……海苔ちゃん先輩の声!」

「ちょっと見てくる!」

 声のした方へ走り出す。


「この部屋からしたような……」

 廊下の一番奥の部屋。

プレートに何も書かれていない。

 部屋の中にはいると中央の机の上に一冊のノートが置いてある。

「魔術書?」

 汚い字で書かれたノートを手に取り中を開く……。

「うわっ……」

 中身は予想通り中二病としか考えられない代物だ。

 ページを進めていると背後の扉が思いっきり開いた音がする、振り返る暇もないほどの速さで頭を殴られたせいで音しか聞こえなかった。


「いてて……ここは」

 少しの間気絶していたのだろうあれから数分が経過していた。

「……先輩!どうしたんですか!」

 慌てながら近づいて来るフィー。

「誰かに殴られたけど……問題ないよ」

 少しフラフラするが机に手をつき立ち上がる。

「……良かったです、肩貸します」

「ありがと」


「……海苔ちゃん先輩が居なくなった?どういう事ですか?」

 ボクはさっきあったことを大まかに話した。

「……ではあまり一人で行動するのは良くないですね」

「そうだね……何かが起きているとみて間違いないと思うよ」

 椅子に座って話し合っているとき、廊下から音がする……。

「……見に行きますか?」

「行こうか……」

 正直海苔ちゃんが何処に行ったか気になるし、誰がボクを殴ったのか気になるので机に手をついて立ち上がる……シャープペンシルが机から落ちて大きな音がしたが気にしない。


「何もないな……」

「……ですね」

 音がしたのは隣の隣だった。

「中に入ってみるか」

 廊下に人影がないため仕方なく部屋の扉を開ける。

「何もないな……」

 一応中に入ってみたが何もない。

「やっぱり何もないなっ……あれ?」

 すぐ後ろに居たはずのフィーの姿が見あたらない。

 これでボク以外のみんなが居なくなった……なんてなるわけない。

「犯人は先輩だな……たくっ」

 犯人の目星はとっくの昔についている。


「入りますよ」

「!?」

 部室の二つ隣を開けると吠天先輩以外の面子がお茶をしていた。

「なっ何で此処が!」

「シャーペンですよ……盗聴器付きの」

「っ!」

「あんなに質量の重いシャーペンは初めてですよ……」

「だからバレるって言ったじゃないですか先輩」

「……無理ですよねマナ先輩に悪役なんて」

「うっ……」

 いたずらがバレた後にスリーパーホールドをくらったときの子供の様な表情をしている。

「みんなに迷惑をかけたんだから謝ってください」

「だってみんなが……わたしを売るから」

「だってもクソも無いですよ!」

「……………………ごめん」

「わかってもらえて何よりです……ところで吠天先輩は?」

「…………」

「…………」

「…………」


「「「あれ?」」」

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