テンションアップダウン第二回強く気高く
皆さんは可愛らしい女の子が男っぽく喋っていたらどう思うでしょうか。
色々な理由があるにしろ「普通」とは少しかけ離れている気がしますか?
しかしその人を「普通」にする事は簡単だ……。
周りをその人に合わせればいい。
「『昨日一日考えて思いついたのが……これ?』」
いつもの口調とは違い、どこか元気がない吠天先輩。
「ボクが変わるんじゃなくてみんなが変わればいいんですよ!」
昨日の一件を期に少し考えてみた。そして出てきた案が……。
「『部活内男装化計画……』」
「そうです!」
我ながらいい案が浮かんだと思う、しかしみんな何故か憐れむようにこちらの顔を見て来る。
「もう少し考えなかったの?まともに」
「何言ってんですか先輩!ちゃんと考えましたよ」
「……何故男装?」
「みんなにもボクの気持ちをわかって欲しくて」
「いやい……」
「五月蝿い黙れ」
海苔ちゃんが何か言うのを遮る。
「でも、肝心の服が……」
「大丈夫ですみんなの分はボクが用意しました!」
「あれ案外似合うかも」
「先輩には学ランを用意したんですが似合ってますね!」
少し恥ずかしそうに言う先輩を褒めて持ちあげる。
「……確かに悪くないかも」
「でしょでしょ!」
フィーに渡したのはタキシードだ。
「流石フィー!何着ても似合うね!」
ボクが二人のことを絶賛している中吠天先輩と海苔ちゃんは二人で何かを話していた。
「二人して何話てるんですか?早く二人も着替えましょうよ!」
「『……あなたちょっとおでこを近づけなさい』」
「えーっ、恥ずかしいですよ!」
「『いいから!』」
ボクのおでこに手を当てて黙る、手が冷たくて気持ちいい。
「『熱がある……』」
「やっぱりありましたか?」
「熱がある」と言われ、少し考えてみたが頭があまり働かない。
「熱!?あんた何してんの!?」
「……早く帰った方がいいです」
「えーっ、まだ帰らなくても……」
ふらりと身体が傾き机に手をつく。
「『早く帰りなさい!』」
吠天先輩の言葉が遠くから聞こえるがそこで視界がブラックアウトした。
熱にも負けずに続く……。




