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鬼と歩む追憶の道。  作者: テテココ
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第548話 場。





 レイオスと話をした日から、私達の『はじめてのたび』は寄り道をする事が多くなった。



 あっちへふらふらこっちへふらふら、子供達の好奇心に引っ張られつつ、時には大人達も童心に帰りながら皆で楽しく旅を続けている。



 森の中を進めば、時に『異形と化した神兵達』と遭遇し戦いになったりもしたが、その際にはエアが直ぐに対処して双子達を守っていた。



 そして、間近で戦う魔法使いとしてのエアの姿を見た双子達は、尚更エアに対して尊敬を抱く様になり、瞳をキラキラと輝かせては質問責めにしながら飛び跳ねている。



 『今のどうやったのっ!』と。

 『教えて教えてっ!』と。



 すると、求められる度にエアは嬉し気な顔で『シュッ!』とするんだよとか、『シュバっ!』ってやる感じかなと説明している訳で──



「…………」


「…………」


「…………」



 ──まあ、大人達としてはそんな微笑ましい光景をあたたかく見守っているのであった。

 ……勿論、その会話の内容を気にしてはいけない。考えずただ感じるのみである。



 内心『そんな説明でわかるのかっ!?』と思いはするが、双子達の方は『そっかー!』とか、『わかったーっ!』と言って納得している様子なので全く問題無いらしい。流石は感覚派だ。



 ただ、そうしてのんびりと進んでいた為か、いつしか気づけば季節も一つ過ぎ二つ過ぎ、芽吹きの季節から日差しの厳しい季節を飛び越え、実りの季節にまで差し掛かっていたのである……。



 ……まあ、その分だけ大切な思い出もどんどんと増えていったのを思えば無駄な事など何一つないと思う。

 それにレイオスやティリアにしても段々と旅慣れてきたのか、時間が経つにつれて色々と調子が上がってきた様にも視える。


 特に、余裕が出て来てからはティリアは得意の弓術を、レイオスはそれ以外の教養や体術、雑学、政治、家事全般を浅く広くだが双子達へと伝授するようになっていた──



「…………」


「…………」



 ──まあその際に、夫婦間の微妙な力関係と言うのか、レイオスの多才さにちょっとだけ母の威厳が危うくなると嘆いたティリアが焦りだし『──せめてお料理だけはわたしに作らせて!』と言い出しては、その都度見事に大失敗を冒す……みたいなちょっとした珍事もあったりしたのだが、終わってみればそれらも良い思い出だ。



 ……私はもう『食べる必要もない』ので、皆の楽し気な食事風景を眺めながら微笑ましく見守るのであった。



「…………」



 そしてそれ以外では、皆が寝ている間、私得意の『お裁縫』がかなり捗っている。

 エアの服作りは最近新しいデザインを仕入れられていない為にあまり作れなかったが(エアからはもう沢山作って貰ったから大丈夫と言われてしまった……)、双子達の服はまだまだ作ってあげても良いと言われたので、ここぞとばかりに気合をいれて作った。



 また、日々成長していくにつれて双子の服のサイズが大きくなっていくのにも喜びを感じている。

 それに、あの『お裁縫』をしている時の独特の没入感と言うのか、集中している間はやはり楽しくて私は好きだった。……久しぶりに身に着けたモノクルも『ビカビカピカピカ』と光っては喜んでいる様だ。



「…………」



 ──そして、遠回りをしながらも着実と目的地に近付いていた私達は、ようやく目的地の一歩手前と言える所にまで辿り着いている。



「ここに来るのも久しぶりだねロム」


「……ああ」



 そう言うエアの見つめる先には、『言祝』と呼ばれていた場所があり──そこは元々『エルフの青年達』の故郷である『里』がある場所だった。



 ただ、以前は隠れ里的な場所だったこの場所も、今ではすっかりと冒険者達で賑わう街へと変わっており、見知らぬ建物が幾つも増えている。



 久々に足を運んだ私とエアはその街並みにちょっとだけ懐かしさを感じながらも、好奇心で動きまわろうとする双子達が迷子にならない様にと密かに警戒を強めていた。



 ……因みに、レイオスやティリアは単純に余所の『里』へと来れたのが新鮮なのか、キョロキョロと周辺を眺めては楽しそうに話をしている。二人も旅を満喫している様子だ。

 ただ、こちらの二人も下手したらそのままフラフラと迷子になりそうな雰囲気があるので一応は気を配っておくとしよう。



「…………」



 それに、この場所は近場に凶悪なダンジョンもある為、高位冒険者達の姿も数多く見られた。

 冒険者ギルドと思われる建物の周辺は特に賑わいもあり、武器屋や道具屋の傍には屈強な見た目の者達が屯している。……ただ、それにしては少々増え過ぎである気もする程に賑わっていた。



 まあ、『神兵達』と言う新たな脅威もあり、それに対応する為かもしれないとは思う。

 故郷に帰っている筈の『エルフの青年達』も『金石』の冒険者となって活躍している気がした。



 ……彼らに会うのも久々だが、元気にしているだろうか。

 もう忘れられているかもしれないが、今からもう会えるのが楽しみである。



「…………」



 ──ただ、そうして辿り着いた『里』の中にて、とりあえずは先に里長へと挨拶に向かおうかと話していた私達は、そこで『里』の中にあるには少々不釣り合いな程の大きな剣闘場の様な建物と、その建物に並ぶ多くの人の列を見て首を傾げる事になるのだった……。






またのお越しをお待ちしております。

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