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第45話 大人たちの暗躍

 歴史書に書かれているノア=レイクサイドの話というのはあまり数がない。だが、現代にまで残る演劇「竜の背に乗った花嫁」の題材ともなった彼女の半生は多くの人に語り継がれている。「極めし者」があれほどの功績を残したのも彼女の存在が大きく、「四闘士」の最後の一人「竜姫」ノア=エンザの名はいつしか民衆の話題となり、今日に至るまで多くの若者、とりわけ女性の心に根付いた。悲劇を乗り越え、真実の愛にたどり着く二人の前には世界崩壊の危機ですら力を合わせて乗り越える壁に過ぎなかったのであろう。

 デリートの誤算はロージー=レイクサイドとノア=エンザの結びつきを軽視したことだと現代の演出家は言う。しかし、ランカスターの襲撃の際に連れ去られたノア=エンザが何故かその後のデリート対策会議において発言している記録があり、それは極めて公式なことよりも演劇での出来事は事実から脚色されている事が予想される。おそらく彼女はその対策会議の後にデリートにさらわれるのであって、この時はまだレイクサイド領にいたのではないだろうか。しかし、そうすると演劇の最も盛り上がる部分の一つであるロージー=レイクサイドが彼女の奪還を誓い、力を求めてリヒテンブルグ王国の最北端に向かうシーンとの祖語が生じてしまう。そしてその旅に付き従ったヒューマという人物は歴史書の中には一度も出てくることがない。歴史は掘れば掘るほどに謎が出てくるものである。




「ふっざけんなよ、てめえのせいでまたしても追い出されちまったじゃねえか!?」

「私のせいじゃありません! 領主たるもの率先して皆の先頭に立って問題を解決すべきと思います!」

「はぁぁあ( ´Д`)!? そんな事言ってもどうやってエルダードラゴンなんて狩るんだよ?」

「なんですか、その顔は!? だいたい、それはこっちのセリフです! どうするんですか!? マリーさんついてこないってどういう事ですか!?」

「お前が抜けた穴をマリーが埋めるって話になっちまったんだろうが!?」

「だって、立案者が行かないわけにはいかないぞって、ハルキ様が!」


 結局、俺はこのノア=エンザという女と一緒にリヒテンブルグ王国でエルダードラゴン狩りをする事になった。最低でも4頭のエルダードラゴンを狩らなければ十分な規模の編隊が組めないんだとか。全員がペリグリンに乗るなんてなんてぶっとんだ作戦なんだよ。そしてその素材を俺とこいつだけで取りに行けというのも酷い話だ。

「ノアって、あんまり女っぽくない名前だな」

「気にしてるんです。謝って下さい」

「す、すまん」

「許してあげます」

 おかしい、俺領主。


 とりあえず俺の召喚したウインドドラゴンで飛ぶ。なんと、こいつもウインドドラゴンの契約をむすんでいるのだとか。だが、魔力は俺の方が上との事で今回は俺の召喚したウインドドラゴンの上に二人きりだ。

「ロージー様は他に何の召喚獣と契約を結んでるんですか?」

「他はコキュートスとかかな。ワイバーンやフェンリル、ノーム、アークエンジェルくらいの基本的なところは押さえてるけど、俺はずっとヒューマを召喚してたからな」

「……ヒューマを召喚した状態でコキュートスを召喚してたんですか?」

「ああ、そうだぜ?」

 いかん、調子が狂う。てっきり話しかけてなんてこないと思ってたのに。ウインドドラゴンの上だから魔道具ごしに会話をするしかないけど、こんな雑談に使うことになるなんて。

「私、いつかユニークと召喚契約を結ぶのが夢なんです」

「そ、そうか。」

「まさか年下のロージー様にここまで差をつけられてるなんて。さすがはハルキ様とセーラ様のご子息ですね」

「違う。父上も母上も関係ない」

 おっと、びっくりするくらい冷たい声が出てしまった。だけど、最近本当にこの話題が多い。俺は俺だというのに。

「ごめんなさい。私……」

「いや、気にしないでいいよ。それにそう言われないようになるってのが俺の目標だしな。まだ、目標は達成できてないってわけだ」

「ロージー様……」

 その後、なんだかんだと雑談をしながら俺たちはランカスターの港町にたどり着いた。数日前に襲撃されたこの町を見て、色々と考えることもあったが、何故かここまでの道中の時間が短く感じた。


 ***


「よしっ! 意外といい雰囲気だ! いいぞ、ロージー!」

「おい、見つかるなッス! ばれたら大変ッスよ!」

「テト、ヘテロ殿。ちょっと俺にも見せて」

「邪王は家臣じゃないんだからどうでもいいでしょ!? こっちは将来がかかってるんだから! アイオライ王のところのぽけーっとした姫さんがセーラ様を姑にした時に耐えられるわけないでしょ!?」

「おい、言い過ぎッスよ、事実だとしても」

「おい、アレク! 見て見ろよ! ロージーちょっと顔が赤いぜ!」

 ランカスター付近の海岸。そこにはペリグリンに乗った四人組が騒いでいた。それぞれ将軍だとか邪王だとか副長官だとかそれなりの肩書のある連中である。その副長官があきれ顔で言う。

「テト様もヘテロ様もこんなところにいていいのですか? 防衛対策は……」

「あー、いいって! ハルキ様のあの顔見たでしょ? 絶対何かしらやらかす気なんだから! こんな時に凡人は安心して成り行きを見てればいいの!」

「テト、ひどいッス」

 誰がみても大召喚士を除いて最強と言われる第4将軍「深紅の後継者」テト=サーヴァントが凡人とは思えないとアレクは思ったのだが、口には出さない。そんなアレクをみてシウバも腹を抱えて笑っている。

「普段から人使い荒いからね! それよりも絶対こっちが面白いって! シウバうるさい!」

「そッスね!」

「…………」

 任務を与えられたのはアレクのみである。他の三人は面白がって付いて来ているだけだった。

「あれだけ人数がいる召喚騎士団の女性の中でセーラ様が唯一認めた相手だ! これをモノにしないでたまるものか! 騎士学校の卒業祭の時はユニコーンに騎乗して相手に陣営に突撃をかまして一撃で旗をもぎとったって話だしな!」

 テトの情熱の入れようは凄いものがあった。

「テト、その内自分にも同じことされるッスよ」

「それは拒否する!」


「おっ! 宿をとるみたいだ!」

「ふふふっ、そこはこの邪王にお任せあれ!」

「シウバ、何したッスか?」

「奴らが宿をとりそうな所全てに『現在一部屋しかありません。その代わり良い部屋をご用意します』と言えと言ってある! 人相書きもばっちり回しておいたからあいつら同じ部屋に泊まるしかない!」

「よくやったッス!」

「さすがシウバだよ!」

「…………」


 こうしてランカスターの海岸沿いでは2頭のペリグリンの上で騒ぎまくる変な人たちの目撃情報が回るのであるが、ロージーたちの耳に入ることはなかったという。


むむむむーんΣ(・ω・ノ)ノ!

調子悪い

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