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第36話 作戦失敗

「とりあえず、一対一ならばヒューマ君が勝てるのは証明されたわけだし?」

「待てぇぇい!!」

「ロージー様が遠くにいると魔力が届きにくいって言うし?」

「こらぁぁぁ!!」

「足止めくらいならば、俺たちだけでもできるでしょ?」

「お前らぁぁぁ!!」


 僕とロージーがよく分からない洞くつに押し込まれたのは翌日だった。

「ここって、昔蟲人が掘ったトンネルなんだってね。ずっと向こうまで続いてるんだってさ」

 そんな所で待機させられている。皆で囮になって幻獣たちをここにおびき寄せ、一体だけ洞窟に追いやったら洞窟をふさぐという、なんとも適当な作戦である。他にも入り口はあるそうで、ダメだったら場所を変えてやるのだとか。もともと蟲人だったあいつらにはここの情報があるんじゃないのかな?

「もう、シウバさんとかも自暴自棄というか、作戦が適当すぎるんだよ」

「あいつ、本気で一度シメとくか」

 洞窟の中は魔道具で照らしてあるが、かなり薄暗い。こんなところに天龍とか雷狼が来てもちゃんと戦えるかどうかはっきり言って心許ない。

「それで、シウバは何頭までなら倒していいって言ってたんだ?」

 ここはちょっと重要である。幻獣を倒し過ぎるとデリートが出てくる可能性が高まるのだ。今の戦力でデリートに勝てるかといわれると無理だろう。それは「邪神」ヨシヒロ=カグラがいてもである。相手は無尽蔵に召喚魔法を使ってくる。戦力の差は時間が経てばたつほどに広がってしまうのだ。しかし、このメンバーの中にサタンを一瞬で倒しデリートに止めをさせるほどの者がいるわけではなかった。というよりも、そんな奴なんて存在しない。

「シウバさんは二匹までって思ってるみたいだね。今回はできれば一匹」

「じゃあ、とりあえずはあいつらがここに一匹おびき寄せるからそれを倒せばいいってわけだな」

「そうみたい」

 薄暗い洞窟で僕とロージーは寂しく待つことにした。光が少ないから魔道具で照らしているけど、それでもまだ暗いんだよね。こんなところで待ちたくないなあと思ってたけど、なかなか幻獣はやってこなかった。


 ***


「まずいぞ! 俺たちも行こう!」

「ちょっと、シウバさん! これってやばいんじゃないですか!?」

「うおおぉぉぉ、これが終わったら長期休暇を申請してやるぅぅ!!」


 ある蟲人の掘った穴の真上では天龍二匹と雷狼三匹に追われたシウバ、タイタニス、ニコラウスの三人がペリグリンに乗りながら天龍らの攻撃を避けていた。それぞれに一匹から二匹が追いかけられる状態に誘導しつつ、ロージーたちが待つ洞窟へと近づいて行く。

「意外とあいつらこっちの思う通りに動いてくれねえな」

 ペリグリンを3頭召喚していてもシウバの魔力量には余裕があるようだった。初めてペリグリンに乗ったタイタニスとニコラウスはその速さにしがみつくので一杯一杯である。

「シウバさん、これからどうするんですか!?」

「ペリグリンを囮にするから、あの先でそっちに飛び乗るぞ」

「えぇ!?」

 と言っている間にシウバがタイタニスの乗っていたペリグリンに飛び乗る。追ってくる天龍たちからは死角になるはずの場所で、さきほどまでシウバが乗っていたペリグリンにはアイアンドロイドが乗っていた。あれがシウバだと思わせる作戦だろう。

「よし、ニコラウス。あいつらのうち一匹がペリグリンを追ってあの洞窟に入ったら入り口を破壊してくれ」

「分かりました」

 二頭のペリグリンとは別に囮のペリグリンがロージーたちが待ち構えている洞窟へと近づいて行く。

「さあ、そっちに行くのは一匹だけでいいから他の注意をそらさせようか。フレイムレイン!」

 シウバ達の乗ったペリグリンから天龍と雷狼へと破壊魔法が飛んだ。これで戦闘を飛ぶ天龍以外はこっちに注意がむいてくれるはずである。あとは手はず通りニコラウスが洞窟の入り口を破壊し、ロージーととヒューマが一匹を討伐すれば逃げるだけだ。それまで時間稼ぎをすればいいとシウバは思っていた。タイタニスとニコラウスもそう思っていた。キャンプの残っているアレクとかユーナも賛同していた作戦だった。誰もシウバのちょっかいを無視して全部の天龍と雷狼が蟲人の洞窟に突撃するなんて、思ってもいなかった。


「ま、まあヒューマだし?」

「タイタニス=フラット、危機感が足りん」

「先生もね」

 頭を抱えるシウバの隣で元教師と元生徒が呑気なことを言っていた。

「やべぇ、ヒューマ君はともかくロージー様に何かあったらどうしよう」

 シウバがこっそりドーピング薬を取り出していたのは二人には内緒である。


 ***


「話がちがぁぁぁぁうぅぅぅぅ!!!!」

「ロージー! とりあえず、他の召喚獣も召喚してくれよ。一人だと手が足りない」

「お、おう分かった!」

 ロージーがアークエンジェルを3体ほど召喚するそれでも全然足りないだろう。せいぜいロージーを護衛するくらいかもしれない。全くシウバさんは何をしてたんだ。

「天龍と雷狼合わせて5匹か!? ヒューマ! いけるか!?」

「いってもいいの!?」

「やるしかねえだろ!!」

 ロージーから流れてくる魔力が増える。超人モードに変形すると、天龍と雷狼が身構えた。おそらくは前回の戦いで僕を強制送還したやつらだろう。

「僕が究極だ」

『行きます』

 雷狼の雷が洞窟内に炸裂する。それを魔力の盾で防ぎつつ、雷が終わった瞬間に雷狼に襲い掛かった。視界が全て塞がれていたのか、雷が終わると同時に現れた僕に対処が遅れる。先頭の雷狼の頭を蹴り上げ、残りの二匹に目がけて氷の破壊魔法を飛ばした。これで死ぬとは思えなかったが、当たった瞬間に氷があたり一面へと広がり、雷狼の動きを抑制する。その後ろの天龍もこちらへは攻撃してこれないだろう。その間に最初に蹴り上げた雷狼にとどめを刺した。すでに頭が吹き飛んでいた雷狼からの抵抗はほぼなかった。

「ヒューマ! 素材がぁ!!」

「あ、ごめん」

 そうだ、こいつらは素材だったんだ。ごめんよ。つぎからはできるだけ素材が痛まないように止めをささなければならない。

「もう、シウバさんが全部悪いよね。一気にいくよ」

「最初からそうしろって言ってるだろ?」

 ロージーにも余裕が生まれたようだった。でっかい幻獣がわんさか入ってきたときは慌てていたが、アークエンジェルに護られた今はもう大丈夫だろう。しかし、幻獣は攻撃も防御もいままで戦ったどんな魔物よりも強い。おそらくはハルキ=レイクサイドが召喚したゴッド並みの強さはあるのだろう。でも、今の僕の敵じゃない。僕は究極だ。

「じゃ、行くよ」

「素材をあまり損傷させるなよ。おれは雷狼のマントが欲しい」

「お揃いで作ろうか」

 さらにロージーから流れてくる魔力が増える。この魔力は、すでに一人の人間の限界をかるく超えているんだろう。それでも涼しい顔をしているロージーは実はすごい奴だ。

「さっさと素材はぎ取って、リヒテンブルグ王国まで逃げちまおうぜ! デリートとかがここに来たら面倒だ!」

 ひどい事を言っているようだが、意外と合理的である。こんな状況になったからにはそく解散するのが一番犠牲がすくないと僕も思うよ。

「分かったよ、ちょっと待っててね」



「というわけでもここはめんどくさくなるんで、僕らはリヒテンブルグ王国まで逃げます。後はよろしく」

「シウバが悪いしな」

 シウバさんたちが駈け込んで来た時にはすでに全部倒したあとだった。確認されてる幻獣はまだいるはずだし、これからも増えるのだろうけど、今のところはまだ発見されてない。

「……ああ、もう、俺が悪いんだろう?」

「ええ、そうですね」

 タイタニスがシウバさんに止めを刺したた後、ロージーがウインドドラゴンを召喚する。シウバさんは地面に手をついて項垂れていた。そこにしびれを切らしたロージーが言う。

「おい、一旦キャンプにもどるぞ。それでこの素材をまとめたら解散だ。急がないとな」

「ええ、もう仕方ないですね」

 おそらく、幻獣5匹がやられたことでデリート本人が様子を見に来るはずだ。鉢合わせた場合はどうなるか分からない。シウバさんもそれは分かっているのはしぶしぶ起き上がってワイバーンを召喚した。


「ああ、もうこれ作戦失敗だよなぁ」

「そうですね」

 シウバさんにたいしてタイタニス=フラットがつっこみをいれる。意外とこの二人って相性が良かったりするのかな?




ネタがねえよぉ!!


はい、紬です。まさかのエイプリルフール午前だけ説のせいで、とりあえず嘘はよくないということで今日も投稿してみましたよ。

え? まじでこのまま毎日投稿するの?

仕事どうするの? 睡眠時間削るの?


時間がなければ作ればいいんじゃないかぁ……って、作れねえよぉぉぉぉぉ!


一日が48時間くらいあればいいと思ったけど、多分そうだったら仕事量も増えるよね。

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