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狂ったふり
今から少しだけ、狂ったふりをして話をするよ。
え?
大丈夫。狂ったふりだから。
あるとても暑い日の、14:56に、ボクはソソローテを殺したの。ソソローテっていうのは、人にとてもよく似ていてさ、でも、人じゃないから、幾ら殺したって罪にはならないの。人の皮を被った何かなの。だから、それが、とても面白くって素晴らしいからさ、ボクはソソローテを殺したの。
精一杯に、力の限り。
そんなボクを、みんなはとっても軽蔑するの。だって、ソソローテがソソローテだって分かっているのはボクだけで、みんなは人を殺しているのだって思っているのだもの。
本当は違うのに。
ひどいよね。
え?
大丈夫だよ。狂ったふりだって言ったじゃないか。
ちょっと、君の事を不安にさせてみたくなっただけさ。
君のそんな顔が見てみたかったんだよ。
ごめん。ごめん。
アハハハハハ
………。
その男は、たった一人。その部屋で、独り言を言っていました。




