後悔②
街にやってきた、アラン。ゴウメイ。マリア。リンメイ。その4人の顔。そこには、悔しげな表情が浮かべられている。
先ほどの冒険家の声。
それが本当だとすればーー
「許さないわ。あの役立たずが、日の目を見るなんて」
「イライザかなにかしならねぇけど、目をつける相手を間違えてるんじゃないか?」
「胸かムカムカする。クロエのやつ、ふざけた真似を」
「さっさとぶっ飛ばしてやりてぇな、おい」
四人は相変わらずの不満たらたら。
装備は黒焦げ。
その顔にも煤がつき、決して綺麗な姿とはいえない。
歩きながら、キョロキョロと辺りを見渡す面々。
自分たちを見る人々の目。
そこには、「なんでそんなに汚れているの?」という感情が込められていた。
「おいッ、俺たちは見せ物じゃねぇ!」
声を荒げる、アラン。
「ジロジロ見るな! ぶっ飛ばすぞ!」
アランは怒りを発露。
それに、人々は視線を逸らし何事もなかったかのようにその場を去っていく。
アランは肩で息をする。
く、くそ。クロエのやつ。
どこだ。どこにーー
っと、そこに。
「ふぅ。街に帰ってきましたね、クロエさん」
クロエ。
その名が含まれた声が響く。
それに、アラン。ゴウメイ。リンメイ。マリアの表情は一変。
四人同時に声のしたほうへと意識を向ける。
果たしてそこにはーー
「見つけたぜ、クロエ」
今まで見たことのない柔らかな表情。
それをたたえるクロエの姿があった。
クロエとココネ。
二人はアランたちに気づいていない。
「おいッ、クロエ!!」
声をあげたのは、アランだった。
呼応し、四人はクロエの元に駆け出していく。
敵意を丸出しにし、クロエに一泡吹かせてやろうという思いをその胸に秘めて。
クロエは振り返る。
そして、表情を険しくした。
「ココネさん。少し離れていてください」
「えっ?」
一瞬。小首をか傾げた、ココネ。
だが駆け寄る四人組に状況を把握し、「わ、分かりました」と答え、物陰に身を寄せる。
そして、四人とクロエは対峙する。
「久しぶりだな、クロエ」
「あんたのせいで……見て、この姿。どう責任とってくれるのかしら?」
「俺たちにサラマンダーをけしかけたのは、てめぇだろ」
「許されないよ。どう責任とるつもり?」
アラン。マリア。ゴウメイ。リンメイ。
その四人は既に、やる気満々といった様子。
「謝るなら今のうちだぜ? まっ、てめぇが誠意=金を示せば、俺たちの怒りが収まるかもしれねぇけど」
「ダメよ、アラン。土下座くらいしてもらわないと、腹のムシが治らないわ」
「さっさと土下座しろ」
「はやくしないとボコボコにするよ?」
言いたい放題の四人。
それにクロエは答えた。
「くるなら、こい。俺を追放した時みたいに……殴ってみろ」
【エンカウント操作】
対象ーー四人組。
被非対象物ーークロエの拳。
遭遇率ーー100%
「てッ、てめぇ!」
かけ出す、アラン。
そして、あの時と同じようにクロエへとその拳を叩き込もうとしたーー瞬間。
べきッ
「へぶぅッ」
クロエの遭遇率100%の拳。
それがアランの顔面にカウンターとして、叩き込まれたのであった。




