時を操る婦人像 始動編 Il
藤堂はすぐさまデビルオクトパスに敵対するキングスマンに連絡を取った。
お上に伝達しても準備と戦力をそろえるのが困難だと判断したためだ。ツノバヤシのまえでは現代兵器はあまり役に立たないのだ。被害者が増えるのが目に見えているので、敵対する悪の組織を利用するのが最善手だと考えたのだ。
『こちら、アーサーへガデルの電話だ。珍しい電話番号からかかってきたようなので名乗ってはみたがなんのようかな?』
『下記の座標にデビルオクトパスの二足が二束三文で売り叩かれているぞ。政府に買い叩かれる前にとおもってな』
『誰だ貴様』
『このなを名乗るのは少々憚れるが、不死身の藤堂とだけなのっておこうか』
そういうと通話を切る藤堂。
『保険はおおいほうがいい。準備をおこたるな』
ゆうきは天叢雲剣を引き抜いて素振りし始めた。
『キングスマンの端末をクラッキング成功です。GPSアプリをインストールしておきました。メッセージとともに』
ユキがいうと頭を撫でる藤堂。
えへへ、と照れるユキ。
ゆうきはみんなが信用してくれたことに心から感謝した。
こんなにすぐに動いてくれる仲間がいておもわず
『あったけぇ・・・!』
『なにいってんの激サブよ!こたつからでられないわ!』
『そういうことじゃなくて・・・!』
こたつのうえに装填したガンソードリボルバー冥王マークllを二丁目よういしてそなえているアイリがゆうきのことを半信半疑でしんじていた。
女郎蜘蛛の牙を先につけた麻痺毒鞭をかたてにもぞもぞするアイリ。
こくいっこくと時間がすぎていくなかで各々ができることをしていった。
田中だけが、『そんな話を信用するにはあたいしない、ここは極秘施設だ』と聞く耳をかたむけなかった。
田中はしぬのだろうなとゆうきはどこかうっすらと気付いていた。
いや、そう望んだ。
説得しなかったのだ。
できなかったのではない。
レオンたちがくるという情報で信じてもらえないなら仲間ですらないとおもったのだ。
薄情な話だが戦場では仲間の信頼こそすべてというところがある。
いてくれない方がいいとすら考えてしまっていた。幸運卿の思惑通りにゆうきは成長していったのだ。




