信長の苦悩 時空警察編
異形の怪しとよばれる魔人たちは信長の兵士として順調に勢力を伸ばしつつあったが、コミュニケーションのめんでひとよりおとっているので統制がとりづらくなっていた。
その舵取りをしているのが深井であるが、まとめるのに苦労していた。産み出した親と子のみえない絆によってなんとかたもたれている。
オウム魔人のオーム人となづけられた鳥形の魔人は信長のおきにいりであったが、思想がつよすぎて信長ともめることもあった。
だが千利休とおちゃをするときによくつれていっていたのを深井は思い出していた。
信長は自室にて俳句をよんだり茶器をめでたりしていたが、なにか心のなかにぽっかりと穴があいていることにきづいておりしらないふりをして誤魔化していたが、独りなみだをながしながら亡くなった戦友たちを弔っていた。
『夏草やつわものどもがゆめのあと……か』
よい句ができたが、信長はのちの詩人たちにもおもいをはせながら胸にしまった。
のちに松尾芭蕉が同じ俳句をよんでいる。
わびさびにはことうるさい信長はさまざまな葛藤の末、世の中の不和、あらそいごとをなくすために天下統一をまた誓った日であった。
おのがよくのためではなく、大勢の民のためにと最短で悲しみやいかりがきえるようねがいをこめ戦国の世を生きた。
ルイスフロイスの信長の人物像というものがある。それをみるに指揮官として天性の才をもっているとだれしもが感じるであろう。
その苦悩たるやじんじょうなものではなかったに違いない。
想像を絶する日々を生きていく信長をウツロと深井はかげながら支え続けると考えていた。
魔人の統制をとれるのは深井だけ。
それが、ネックであったのはいうまでもない。




