表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寄生命体つのばやし  作者: GoodSunGGgaming


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

190/200

蟷螂の鍵師魔人 時空警察編

とある尾張の僻地の村にすむ鍵職人の男がいた。鍵をなくした南京錠などをあけるのがしごとで、無理矢理こじあけることもあった。

職人といえるまで回数を重ねてしみこませた深層心理にある記憶は『何かを開ける』だった。


仕事尾張のある晩、家に帰ると娘と奥さんがしばられてたおれていた。


そこにたたずむのは一人の浪人とそれをかこむようにたむろする六人の盗賊であり、日常は崩壊した。


開口一番でいった言葉は『どうすればいい?』か細いいきづかいでちいさく肺からしぼりだすようにでた空気の振動によってはっせられた、それは男たちの下卑た笑いによってかきけされることになる。


『ちょっくら、米問屋の倉をあけてほしくてなぁ!おめぇにはちときょうりょくしてもらわねぇとなぁ!いわなくてもわかるだるぉ?』


ごくりと唾をのみこむと鍵職人はいうがままにしたがった。


米問屋の倉をおそったあとのことだった。


『へへぇ、この業物をためしたかったんだよぉ!!』


それは盗賊の持つ業物、黒衣衆の死体からはぎとったチャクラムという武器で持ち手にはマセキがうめこまれ、魔力でコーティングされている鋭利な刃物だ。


盗賊のかしらがそれを握り振りかざすと袈裟斬った。


鍵職人はちしぶきをあげながら、呪ってやると誓った。


純粋な殺意がそこにあった。


畜生。


そこに男の無念と憎悪がまざりあう。


振り下ろされたチャクラムは体を引き裂いてなお地面につきたち、刺さった。


そこにいたのは一匹の蟷螂だった。


マセキが魔力と殺意、純粋な憎悪によって魔人を造り上げ、魔物とはならずあまりにも純粋な感情は魔力と相乗し、ギルティギフトをよびおこした。


大気がうねり始める。


『な、なんだ!?こりゃあたまげたぁひぇええ』


いびつな時空間のゆがみが魔力とマセキと純粋な感情によって昇華する。


蟷螂の上半身を持つ人形の魔人がうまれた。


このマセキは老人ホームでアイリが結晶化させたものを深井が警視庁から特別によこながししてもらったものだった。


その老人も鍵職人であった。


ことにかんして、開けるという動作の執着がはなはだつよく、口癖は『開けちゃおうねぇ』だった。


『開けちゃおうねぇ……』


『ひぃいい』


小便を漏らしながらしりもちをつく頭。


『開けちゃおうねぇ……』


『ぐあああ』


『やめ、やめてくれぇ!たの、いやぁああ』


泣きながら許しを乞うさまは悪人にしてはみるにたえなかった。


蟷螂の魔人は蟷螂特有の首の動かしかたとめのうごきをさせてかしげながらいった。


『閉めちゃおうねぇ……』


男の腹をかっさばいて観音開きにした蟷螂はそっと腹の傷口を閉じた。


『出来た出来た……今日の仕事も良くできた……』


首をもとに戻すと蟷螂はいった。


『閉めちゃおうねぇ……』


『にげろぉおおお』


蜘蛛の子を散らすように逃げる悪人たちのあとに娘と妻はなきながらおびえてその様子をふるえてみていた。


声にならない悲鳴がこだますると、その夜鍵職人の家からは三人の鍵屋の家族が消えていた。


どこにいったかは誰も知らない。


後に深井にであうまでは……。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ