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【完結】この神が送り届けよう〜白の世界から迷子救出!〜  作者: 仮面大将G


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第93話 ロボットの世界 その1

 城田が白いドアを開けると、そこはいたって普通の街並み。三角屋根の家々が並び、スーパーやコンビニなどのお店もポツポツと見える。


 唯一普通でないところと言えば、乗り物が走っていないところだ。車や自転車はもちろん、線路も無く電車すら走っていない。


 その理由は、道行く人々が全員ロボットだからだ。


 この世界のロボットは、乗り物に乗らなくても乗り物以上の速さを出せるらしい。つまり、車や電車に乗る必要が無い。空を飛んだり車輪を使って高速で走ったりしているロボットたちは、三人のことを奇異の目で見ている。


 そんなロボットだらけの街並みを見て、真美は叫んだ。



「わお!機械の分際でこっち見るなんて度胸あるね!スクラップにしてやろうかなー!」



「第一声で喧嘩売るな!!ちょ、ほんとやめてくださいね!?」



「ところでロボットとは何だ?サハラ砂漠やマラケシュが有名な国か?」



「それモロッコ!!無理やり間違えんな!!」



「ではイギリスの北部を占め、タータンやバグパイプなど独特の文化が残る地域か?」



「それスコットランド!!え、何クイズしてる!?」



 三人はしばらく歩いてみたが、どこにも人間は見当たらない。どうやら本当にロボットだけしか暮らしていない世界のようだ。



「でもロボットばっかりって誰が作ったんだろね?自然にできるものじゃないし……まさか私が寝てる間に!」



「特殊な夢遊病!!普段魔女なのに寝ると科学者になるタイプですか!?」



「そー!マッド睡眠ティストだよ!」



「ただのよく眠れねえ人じゃねえか!!ちゃんと寝てくださいね!?」



「我は一日に四十八時間ほど寝ているぞ」



「おい2日寝てんじゃねえか!!あと漢数字やめろ読みにくい!!」



「寝ている間はよく真っ白な布団に入る夢を見ているな」



「夢の中でも寝てんの!?お前睡眠モンスターだな!?」


 

「いや、布団の中で神スタグラムをずっと見ているぞ」



「寝ろ!!夢の中でダラダラすんな!!」



 三人が道の真ん中で騒いでいると、ウイーンガシャン、ウイーンガシャンと典型的な機械音が近づいて来る。

 三人が振り向くと、そこには明らかにダンボールでできたロボットの姿をした人物が立っていた。



「ウイーンガシャン、ウイーンガシャン、どうも、ロボットですウイーンガシャン」



「嘘つけお前!!どう見ても人間じゃねえか!!」



「そんなことないですよウイーンガシャン、私はれっきとしたロボットでウイーンガシャン」



「うるせえよ!!口でウイーンガシャンって言うな!!」



「行ってないですよ?ほらほら、普通に喋ってるじゃないですか」



「普通に喋ったらウイーンガシャンって鳴ってねえだろ!!分かりやすい嘘つくな!!」



 ロボット(自称)はダンボールを脱ぎ捨て、黄色い全身タイツに身を包んだ姿を現した。



「脱いでんじゃねえか!!あとなんで全身タイツ黄色なんだよ気持ち悪い!!」



「いや、やっぱりバナナの気持ちになりたい時ってあるじゃないですか?」



「だとしたら今じゃねえよ!!今ロボットだからお前!!」



「私はこのロボットの世界の管理人、木海(きかい)です」



「機械じゃねえのかよ!!……いや機械ではねえわ!!全身タイツだし!!」



 木海は脱ぎ捨てたダンボールを解体し、道路に敷いてその上に座った。



「おい良いのかそれで!?お前のボディだろ!!」



「皆さんにこの世界でのミッションを伝えに来ました」



「聞けよ!!」



「この世界はロボットの世界。見ての通りロボットしかいません」



「お前という例外を今見てるけどな!?」



「しかしこの世界のロボットたちには、心があります。ちゃんと生き物としてこの世界に存在しているのです。皆さんにはそんなロボットたちと仲良くなって貰います!」



 木海の言葉を聞いた真美は、目を輝かせて声を上げる。



「楽しそー!私ロボットさんたちと仲良くなりたい!」



「さっきでかい声でスクラップにしてやるとか言ってたのもう忘れたんですか!?」



「あ、もちろん失礼な態度取るやつがいたらスクラップだけどね!」



「そこの思想は変わってねえのかよ!!物騒な人だな!!」



「うむ。我もロボットと仲良くなることに興味があるぞ。心があると言っていたな?ではそこの木海とやらを虐め、止めに来るか試してやろうではないか」



「やめてやれ!!お前が心ねえのかよ!!」



「安心しろ。白米に牛乳をかけて食べることを強制するだけだ」



「いたわそんなやつ小学生の時!!」



「私ロボットなので白米は食べないですね。主にパスタとピザを食べています」



「イタリア人か!!どっちにしろロボットではねえわ!!」



 木海はダンボールから立ち上がり、ゆっくりとまた組み立て始めた。そして2時間後、木海はまたダンボールを身につけ、三人に向かって言った。



「さあ皆さん!ロボットたちと仲良くなりに行きましょう!」



「待たせ過ぎだろ!!何2時間もかけてんだよ!!」



「ちょっと瞬くん!私だって朝の準備に2時間かけてるんだからね!朝ごはんに1時間45分かかってるけど」



「じゃあ15分じゃねえか!!何食ってんだよ朝!!」



「え?もちろんすき焼きだけど?」



「カロリー高えな!!よく朝からいけますね!?」



「我は朝食に玄米を食べているぞ」



「お前だけは白米食え!!」



 こうして三人は、木海と共に仲良くなれるロボットを探しに向かった。

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