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【完結】この神が送り届けよう〜白の世界から迷子救出!〜  作者: 仮面大将G


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第87話 自動販売機の世界 その1

 城田が白いドアを開けると、そこは綺麗に舗装された道路。

 道沿いにはぎっしりと幾つも自動販売機が並んでおり、様々なものが売られているようだ。



「わお!いっぱい並んでるね!まるで開店前の質屋さんのよう!」



「なんでそんな大勢が急に金に困るんですか!!質屋も困るでしょ!!」



「我は質屋でシャツを全部売ったことがあるぞ。きまぐれで」



「きまぐれでそんなもん売んな!!だからお前上裸コートなの!?」



 三人は騒ぎながら自動販売機の前まで行くと、辺りを見回した。



「今回は管理人さんいないのかなー?人がいる気配が無いね!渋谷みたい!」



「東京から人が消えた世界線から来ました!?」



「とりあえず何か買おうではないか。我は喉が渇いているぞ。このままでは喉にオアシスができてしまう」



「できるとしたら砂漠だろ!!なんでオアシススタートなんだよ!!」



 城田はコートから財布を取り出し、ベリベリと両面テープを剥がして中から小銭を取り出した。



「お前両面テープの財布使ってんの!?開ける度に壊れるだろ!!」



「うむ。財布の中にタイバーツしか入っていないぞ。これでもいけるか?」



「なんでお前いつも海外通貨しか持ってねえの!?」



 城田が小銭投入口に10バーツを入れると、飲みもののボタンが青く光った。



「なんでいけんだよ!!まあいいや、何飲むんだ?」



「おお、ここにうどん出汁があるぞ。我はうどんも好きでな、これは飲むしかないぞ」



「更に喉渇くもん選びやがった!!何考えてんだこいつ!!」



 城田はうどん出汁の缶を開け、ごくごくと一気に飲み干した。



「どう城田さん?美味しい?私的にはうどん入ってた方が美味しいと思うけど」



「そりゃそうでしょ!!うどん出汁なんだから!!」



「うむ。美味いが我的にはうどんがあった方が美味い気がするぞ」



「それさっきやった!!」



「それより喉が渇いたぞ。何か喉を潤せるものはないか?」



「お前バカなの!?なんで自分で自分追い込んだんだよ!!」



 その時自動販売機のスロットが回り出し、21020、21021、21023と表示された。



「受験番号か!!21022の気持ち!!」



「瞬くん、21022番の人は英語の試験中に経済新聞取り出してカンニングになったらしいよ!」



「取り出すもん間違え過ぎだろ!!それはセーフにしてやれ!?」



 すると驚いたことに目の前の自動販売機から手足が生え、顔が浮かび上がってきた。

 目は両側面に付いており、鼻と口は前に長く伸びている。



「草食動物か!!なんで正面に目付かなかった!?」



「こんにちは!ボクは自動販売機の世界の管理人、21022です!」



「噂をすれば!!英語の試験中に経済新聞取り出してカンニングになったやつだ!!」



「失敬な!ボクが取り出したのは競馬新聞です!」



「まず取り出すな試験中に!!」



 21022は三人の前にやって来ると、胡座をかいてどっかりと座った。



「この世界の説明をしますね!どうか足を崩してくつろいでください」



「くつろげるか!!道路だろこれ!?」



「あ、大丈夫ですよ。今座布団三枚ずつ持ってきますから」



「笑点か!!一枚でいいから!」



「山田くーん!瞬さんの座布団一枚持ってって!」



「マイナスにすな!!何俺だけ地面抉られてんの!?」



 21022は瞬のツッコミをスルーし、改めて話し始めた。



「皆さんまだしっくり来ていないと思いますが、この世界は自動販売機の世界です」



「分かってるわ!!自動販売機しかねえもん!!」



「ちょっと瞬くん!まだ魔法使いの世界の可能性だってあるでしょ!」



「微塵もねえよ!!自動販売機しかねえもん!!」



 どこからか飛んで来た座布団の上で、瞬のツッコミが炸裂する。



「皆さんにはこの世界で、ボクが気に入る商品を選んで来て貰います!なんてったってこの世界、自動販売機が多過ぎて何があるか把握してないんですよね」



「お前がしてなかったら誰がしてんだよ!!」



「して21022よ、お前はどの自動販売機まで把握しているのだ?」



「両隣とかですかね」



「やる気ゼロか!!よくそれで管理人名乗れたな!!」



「とにかく、なんでもいいんでボクが気に入りそうなもの持って来てください。あ、ヒントあげますね。ボクの好きなゲームは山手線ゲームです」



「合コンの定番ゲーム!!チャラいなこいつ!!」



 21022はふっと笑い、三人の方へ不敵な目を向けた。



「とりあえず一回試してみます?山手線ゲーム、動物!」



「私からだね!ハシビロコウ!」



「お題珍獣でした!?」



「我の番だな。ホモ・サピエンス」



「思想強いなお前!!神からしたら人間も動物なんだろうけど!!」



「くっ……。やりますね」



「とりあえずミッション始めない!?」



 瞬の一言で、21022はハッとした顔をする。



「そうでした!ボクの気に入る商品を選ぶのがこの世界でのミッションでしたね。ほらほら何してるんですか、早く持って来てくださいよ」



「ウザイなこいつ!!」



「よーし!私張り切っちゃうよ!とりあえず記念メダルから探すよー!」



「見つかりにくそうなもんから始めないで貰えます!?」



 こうして三人は、21022の気に入る商品を探しに自動販売機の並ぶ道を歩き出した。

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