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【完結】この神が送り届けよう〜白の世界から迷子救出!〜  作者: 仮面大将G


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第83話 おもちゃの世界 その1

「よし、ではおもちゃの世界へ向かうぞ」



 城田はそう言うと右手を上げ、白いドアを出現させる。



「いやちょっと待ってくれって!!」



「どうしたのだ瞬よ?歯にバスケットボールでも挟まったのか?」



「そんなえげつないすきっ歯じゃねえわ!!いやそうじゃなくて!仮装!!戻さねえの!?」



 そう、三人はハロウィンの世界で仮装をしたままだったのだ。真美は咳止めトローチの仮装をし、城田は歯間ブラシの仮装をし、瞬は下半身をウミウシにされたままだ。



「えー?制服に戻すの?せっかく咳止めトローチ気に入ってたのに!」



「気に入ってたか知らねえけど!!とりあえず俺はウミウシ嫌なんですよ!!」



 城田は腕を組んで瞬と真美の言い合いを聞いていたが、一度頷いて口を挟んだ。



「仕方ない。真美よ、瞬を元に戻してやれ」



「はーい!じゃあ上半身もウミウシに」



「されてたまるか!!ただのウミウシじゃねえか!!」



「もー、ワガママばっかり!じゃあどの部分をウミウシにしたらいいの?」



「人間に戻せっつってんだろ!!」



 真美に魔法をかけて貰い、瞬は人間の姿に戻った。ついでに城田と真美も元の服装に戻っている。



「やっと戻れた!!地獄の時間でしたよ!!」



「そんなこと言って〜!実はウミウシに愛着湧いてたんでしょ?キッチンペーパーのように」



「どっちにも愛着ねえわ!!なんでそんなすぐ捨てるもん例にだした!?」



「瞬よ、満足か?ではおもちゃの世界へ行くぞ」



 城田はそう言うと、白いドアを開けた。

 するとそこには街の景色が広がっている。ただし、かなり小さい街だ。

 え?小さい街ってどれくらい小さいのかって?まあおもちゃの世界って言うぐらいだからおもちゃが生活してるんだよね。だからそうだなあ、例えるなら埼玉県蕨市ぐらい小さいと思うよ。



「じゃあおもちゃには十分でけえよ!!何長々地の文が喋ってんだ!!」



「わお!確かにめっちゃ小さいね!相撲部の部室くらい小さい!」



「それ体がでけえから相対的に小さくなってるだけだろ!!」



「うむ。小さいな。塩と同じくらいだな」



「そこまでではねえわ!!結晶と比較すんな!!」



 三人は小さな街を見下ろし、同じく小さな家の間を恐る恐る進んで行く。

 よく見ると家はプラスチックのような素材でできており、窓に見えるものはシールが貼ってあるだけだ。

 道には時折車も走っているが、プルバックカーで誰も乗っていない。今のところ人型のおもちゃには出会えていない状況だ。



「これ家踏み潰したらどーなるのかな?スピード上がったりする?」



「家のことアクセルだと思ってます!?」



「しかしまだ人型のおもちゃを見ていないのが気になるぞ。我は人型のおもちゃが好きなのだ。理解が足りないのにヴィーガンを名乗る者とか」



「お前それネットでおもちゃにしてるだろ!!やめてやれ!!」



 三人が歩きながら騒いでいると、一軒の家から丸坊主の人形が出て来た。



「こんちはっす!!自分、野球盤に所属さして貰ってます!線朱(せんしゅ)って言います!」



「選手じゃねえのかよ!!え、おもちゃの世界一発目こいつ!?」



「ポジションはセカンドです!」



「野球盤のセカンドって立ってるだけじゃね!?」



「レギュラー目指して頑張ります!」



「お前ベンチなの!?野球盤にベンチとかあったっけ!?」



 線朱は三人に向かって話す時、帽子のつばに手を当てている。



「ねー線朱さん?どうして帽子脱がないの?野球する人って帽子取って話すイメージだけど」



「自分おもちゃなんで、帽子くっついてるんすよ。そもそも頭が帽子なんで、取っちゃったらもう戻らないっす」



「そこはちゃんとしてんだ!?ベンチある設定なのに!?」



 城田は線朱に向かってバントのサインを出しつつ尋ねた。



「おい何バントのサイン出してんだよ!!ランナーいる前提なの!?」



「して線朱よ、この世界の管理人はお前で良いのか?」



「違うっす!自分は管理人って言うより案内人みたいなポジションなんで。あ、ポジションはセカンドですけどね」



「うるせえよ!!スっと話進めろ!!」



「実はここの管理人は、おじいさんが作った木の操り人形なんすよ。なんでも本当の人間になれるよう、妖精に魂を入れられたらしいっす」



「聞いたことある設定だけど……。大丈夫か?」



 心配する瞬をよそに、真美は線朱に純粋な疑問をぶつける。



「ねえ線朱さん、私たち妖精の世界にも行ったことあるんだけど、もしかしたらその魂を入れた妖精さんも知ってるかも!名前とか分かる?」



「分かるっすよ!エイドリアンっていうらしいっす!」



「おいエイドリアンかよ!!違う意味で大丈夫じゃなさそう!!」



「えーなんで?ただ人形の一人称が麻呂で語尾がおじゃるの可能性が出てきただけじゃない?」



「それが大丈夫じゃねえって言ってんですよ!!世界観ぐちゃぐちゃになるでしょ!!」



 城田は真面目な顔のまま線朱にスクイズのサインを出し、質問を続けた。



「おい何ランナー三塁まで進んでんだ!!確実に点取ろうとすんな!!」



「線朱よ、その操り人形に我々が何かすれば良いのか?八回裏から登板する前のブルペンキャッチャーか?」



「なんで人形セットアッパーなんだよ!!」



「管理人にやって欲しいことはあるっす!それは、彼を人間にすることっす!」



「人間に?おっけー!じゃあ私の魔法でウミウシに」



「人間にしろっつってんだろ!!話聞いてました!?」



「とりあえずどうやったら人間になれるかとかは管理人のとこに向かいながら説明するっす。じゃ、ランニングで行きますよ!」



「なんでだよ!!アップに付き合わせんな!!」



 こうして三人は線朱を先頭に、おもちゃの世界でランニングを始めた。

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