第75話 忍者の世界 その2
皆さんこんばんは。ホワイトショッピングのお時間です。
早速最初の商品を紹介します!
今日は楽しい飲み会!でもお刺身を食べる時に真っ白なシャツにお醤油を零しちゃった……。そんな時、ありますよね?
そんな時はこちら!濃口醤油(36万L)!
シャツが白くないといけないなんて、誰が決めたんですか?真っ茶色にしちゃいましょう!
まずはシャツを脱ぎ、洗面所に行きます。
排水溝に栓をして、濃口醤油(36万L)を全て出し切りましょう!
そしたらシャツを濃口醤油の中にダイブ!
するとどうでしょう?瞬く間にシャツが茶色になっていきます!
醤油から上げると、見事な真っ茶色のシャツが!これでお醤油のシミは目立たなくなりました!
さあ、お色直ししたシャツで、飲み会に戻っちゃいましょう!
茶色いシャツの仲間たちが、笑顔であなたを出迎えてくれることでしょう!
シミを隠し、更にシャツをオシャレにしてしまう便利アイテム!お値段なんと50万円!
更に更に、今ホワイトショッピングからお申し込みいただくと、薄口醤油(36万L)もセットでお付けします!
お電話番号+1 202-456-7041まで!
さて続いての商品に
「おい待て待てこら!!」
はい?なんですか?
「なんですかじゃねえよ!!久しぶりだな冒頭ブッコミボケ!!」
ボケてるつもりは無いですよ?私はちゃんと素晴らしい商品をお届けするためにこの番組をやっているので。
「ひとつもちゃんとしてなかったが!?白いシャツ茶色くしてどうすんだよ!!醤油に浸したらびちゃびちゃだろ!!」
それはあれだよ、醤油も滴るいい男って。
「そんな香ばしい液体滴らせてるやついねえよ!!あとなんだ36万Lって!!プールか!!」
ええ。ちょうど小学校とかにあるプールの容量が36万Lです。
「ほんとにプールの量だったのかよ!!あと値段も50万円って!!軽トラか!!」
これだけの醤油が手に入るんだよ?しかも濃口。
「濃さの問題じゃねえわ!!プールの量は多過ぎるだろ!!それから電話番号!!アメリカの国際電話じゃねえか!!」
そうだよ?ホワイトショッピングだからね。ちゃんとホワイトハウスに繋がるよ。
「お前大統領に嫌がらせすんなよ!!……おいほんとにホワイトハウスの番号じゃねえか!!ダメだろ!!」
もう、何がそんなに不満なんですか?薄口醤油も付いてくるのに?
「早く本編を始めねえことだよ!!この地の文とのやり取り何回目だよ!!」
じゃあ次の中濃ソースを紹介したら本編始めるね。
「調味料から離れろ!!本編を始めろっつってんの!!」
はいはいうるさいなあ。じゃあここから本編です!
服部ステイサムはピザを齧りながら、三人に巻物を見せる。
「さあ、この中から好きな忍術を選ぶんだ。だけど選んじゃいけないものもあるぜ?このビッグバーガーの術だ。なんでかって?体もビッグになって動けなくなるからさ」
「お前そのアメリカンジョーク風のやめろ!?ピザも置け!!」
瞬が服部ステイサムの右手からピザをもぎ取ろうとしている中、真美は真剣に巻物を見ている。
「でも忍術って色々あるんだねー!水遁の術とか土遁の術とか!私はそうだなー、この三元豚の術がいいかな!」
「豚じゃねえか!!どういう術なんですか!!」
「そりゃあれだよ、蓋を落とした音で自分の足音を誤魔化す術じゃない?通称落とし豚!」
「やかましいわ!!もう豚関係ねえ!!」
「我はこの掛け布団の術か敷布団の術のどちらかを迷っているぞ」
「寝るな!!起きろ!!」
城田が押し入れから布団を出して来るのを、瞬が必死で止める。服部ステイサムがベッドを組み立て始め、真美がマットレスを持って来るが、瞬はそれも止めて巻物に視線を戻した。
「はあ……はあ……。それで!どの忍術にするんですか!」
「んー、でもこの水蜘蛛の術?っていうのが気になるかなー!水の上歩いてみたいじゃん?」
「ああ、それは確かにそうですね。先輩もそういう憧れあるんですね」
「うん!水の上を歩けたらアメンボを捕まえやすくなるでしょ?私がよく作る紫のスープにアメンボも入れたいんだー!」
「理由が魔女過ぎる!!アメンボ逃げて!!」
「うむ。とにかくやってみようではないか。何でもやってみることは大事だぞ。大統領選挙とか」
「ノリで立候補していい限度はあるからな!?」
三人は服部ステイサムと一緒に庭の池まで移動して来た。
「わーい!じゃー早速やってみよー!この丸い木の板みたいなのつけたらいいの?」
「その通りさジェシカ。こいつをつけたら、水の上を歩けるぜ!バランス感覚が良ければの話だけどね」
「だいじょーぶ!私バランス感覚には自信あるから!」
「その前にジェシカで良かったんですか!?」
真美は早速木でできた水蜘蛛を足につけ、池に向かって踏み出す。
「わっとと!結構難しいね!こんな時は早く動いた方がいいって聞いたことあるよ!よーし、ブレイクダンスだ!」
真美はそのままブレイクダンスを始め、水の上を歩くどころかくるくると頭で回転し始めた。
「ワンダホー!これはもう一流の忍者だよ!」
「忍者っていうかダンサーだけどな!?いや先輩どうなってんですか!!」
それを見ていた城田は、同じく水蜘蛛をつけて池に入る。
城田は難なく水の上に立つことに成功し、そのまま高速で垂直跳びをしている。
「おいあっさり成功してんな!!腐っても神なのか……」
「うむ。神の力で3mm浮いているぞ」
「ドラ〇もんか!!おいこいつまた不正してんぞ!!」
服部ステイサムはそれでも気にしていないようで、城田に拍手を送っている。
「さあ、次は君の番だよグレッグ。君は二人のように上手くできるかな?」
「誰がグレッグだ!!せめて名前統一して貰える!?……しかしできる気がしねえな……」
「だいじょーぶだよ瞬くん!瞬くんならできる!今までの旅路を思い出して!」
「今までの……旅路……?」
瞬の脳裏に、今までの旅路が蘇る。
『このカニはカニサラダ軍艦になると決まっているんだ!それとも、お前もカニサラダ軍艦にしてやろうか?』
『そんなことさせるもんか!栄吾郎の妹は、絶対に僕が助け出す!』
『おいどんはカニサラダ軍艦になる覚悟ができてるでごわす』
「おい『EIGORO』じゃねえか!!」
「瞬よ。『EIGORO 2』だ」
「どっちでもいいわ!!とりあえず忍術には関係ねえだろ!!」
「そんなことないよ瞬くん!自分の足元を見て!」
「……え?」
真美に言われた通りに足元を見た瞬は、いつの間にか自分が水の上に立っていたことに気づいた。
そう、ツッコミで前のめりになった時に、無意識に池に踏み出し、そのまま立つことに成功していたのだ。
「ええ!?……ええ!?」
「ビューティホー!素晴らしいよ!君たちはもう立派な忍者だ!さあ、帰ってピザパーティーをしよう!」
「もうピザはいいわ!!太るわ!!」
三人は池から陸地に戻り、水蜘蛛を外してひと息着く。
「ふうー!とりあえずクリアだね!城田さん、次はどんな世界?」
「次は妖精の世界だ。次第にお前たちのいた元の世界に近づいているぞ。そこのハッサムが保証しよう」
「適当なやつに保証させんな!!だからポケ〇ンみたいに略すなって!!」
こうして三人は、忍者の世界を脱出することに成功したのだった。




