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【完結】この神が送り届けよう〜白の世界から迷子救出!〜  作者: 仮面大将G


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第73話 化石の世界 その2

「じゃー化石探すよー!」



 真美がいつも通り元気にミッションをスタートさせる。

 だが瞬はそれを見て動揺しまくりだ。



「待って待って先輩!!一旦ストップ!!」



「え?なんで?化石探さないの?」



「探しますけど!!一回落ち着いて考えてくださいよ!!」



「何を?そんなおかしいことある?」



「いや……なんでゴボウのコスプレしてるんですか!!」



 そう、真美は茶色くて細長い着ぐるみを身に纏っており、その格好で化石探しに出かけようとしていた。



「そりゃー今から土の中に眠ってる化石を探すからね!私も土の中にいるものの気持ちにならないとじゃん?」



「だとしてもなんでチョイスが根菜なんですか!!動きにくいでしょそんなの!!」



「だいじょーぶだよ!私もこのまま土に埋まるから!」



「セルフ生き埋め!?呼吸とかできなくなったらどうするんですか!!」



「その時は収穫してくれれば!」



「自力でなんとかして貰えます!?俺こんな規格外のゴボウ引っこ抜きたくないんですけど!?」



 瞬と真美が言い合っていると、城田が軽く走ってこちらに向かって来た。



「ごめーん遅れちゃったー。我ちょっと逆方向のタクシーに乗っちゃってさー」



「タクシーでそれ起きねえよ!!お前のさじ加減だろ!!」



「今日の服、どうかな?我、今日のために頑張って選んだんだー」



「うるせえよさっきから!!デートみたいな感じ出すな!!」



「ブランド物の牛蒡(ゴボウ)のコスプレなんだよ?」



「お前もゴボウなのかよ!!その考えに二人行き着くことある!?あとゴボウ漢字で書くな分からねえから!!」



 城田は真美の隣に並び、瞬に茶色い布を渡して来た。



「さあ、瞬もこれを着るのだ。我々はこちら側で待っているぞ」



「着ねえよ!!なんで俺もゴボウにならないといけねえんだよ!!」



「いや、これは菊芋だ」



「もう知らない野菜!!なんて?菊芋!?」



「さあ!瞬くんもこれを着て、レッツ菊芋!」



「化石探しはどこ行ったんだよ!!」



 城田と真美が瞬に菊芋の着ぐるみを着せようとしていると、カツカツと足音が響く。

 見ると、呆れた顔をした岳鯨院が早足で向かって来ていた。



「あなた方、本当にふざけてばっかりですね?今までたくさんの世界でミッションをクリアしたと聞いていますが……これは土を付けられるのも時間の問題ですね」



「もう土付いてるわ!!物理的に!!ゴボウが2本いるから!!」



「ちょっと瞬くん!土付き野菜は長持ちするんだよ!」



「知らねえよ!!化石探せ!!」



 岳鯨院は深いため息をつきながら、メガネをクイッと上げて前方を指差す。



「あの辺りに化石が多く眠っていると聞きます。頼むから早くクリアして出て行ってくれませんか?このダボが」



「ダボではない。牛蒡だ」



「言い間違いじゃねえぞ!?悪口言われてんだよ!!あと漢字で書くのやめろって!!」



「まーまー二人とも!とりあえず今言われたとこ行ってみよ?そしたら質の良いジャガイモも見つかるかもしれないし」



「化石探せっつってんだろ!!」



 三人は岳鯨院に教えて貰った場所まで来ると、早速化石探しを始めた。



「ではまず我の力で化石が多くある地層を削り出すぞ」



「そしたら私が魔法で化石を選り分けるね!」



「仕事早過ぎるだろ!!なんでそれできるのにずっとゴボウのコスプレしてたの!?」



 瞬がツッコミを入れている間に、ポイポイと化石が選り分けられていく。

 三人はそれをひとつずつ確認し、まだ展示されていなさそうな化石を探す作業に入った。



「見て見て!何かの足跡の化石だよ!」



「何の動物の足跡ですか?」



「んーとね、多分ナ〇キのエア〇ックス!」



「靴じゃねえか!!そんな最近のもんが化石になるか!!」



「見ろ、こっちは忠犬ハチ公の化石だ」



「多分それ化石じゃなくて石像だわ!!」



「瞬くん!こっちは電子マネーの化石だよ!」



「化石以前にどうやって実体化したんだよ!!もう意味が分からないですけども!?」



 三人はとんでもない化石を次々と見つけるが、恐竜の化石は見つからない。



「はあ……。全然恐竜見つからないですね。先輩、そっちの大きい化石は何か見ました?」



「まだだよ!見てみよーか!えーっとこれは……ん?これは……!」



 真美は目を輝かせ、魔法で化石をクリーニングしていく。そして現れた化石は……。



「凄いよ瞬くん!これは絶対まだ博物館に無いよ!」



「ええ!?遂に恐竜の化石見つけたんですか!?」



「ううん!郵便局の化石!」



「なんですかそれ!?郵便局古代にあったんですか!?」



「うむ。郵便局は遥か昔から存在しているからな。我が八十六歳の時から存在していたぞ」



「じゃあ2年前じゃねえか!!お前88歳だったよな!?……いや郵便局できたのそんな最近じゃねえわ!!」



 三人が郵便局の化石を見ながら騒いでいると、岳鯨院が慌てて走って来た。



「こ、これは……!伝説の郵便局ザウルスの化石!」



「ザウルスは要らねえよ!!ただの郵便局だわ!!」



「まさかあなた方にこんな珍しい恐竜の化石を見つけることができるなんて……!思ってもみなかったです……」



「だから恐竜じゃねえって!!見て!?郵便局だよ!?」



「侮っていました……!この世界をクリアとしましょう!」



「聞けよ!!」



 納得がいっていない瞬に対し、城田と真美は焚き火を囲んで踊り、喜びを表現している。



「おいどこの民族だよ!!特殊な喜び方やめて貰えます!?」



「いやーでもクリアできて良かったね!私記念にこの漬物石の化石持って行こーっと!」



「もうただの石でしょそれ!!」



「では次の世界へ行くぞ。次は忍者の世界だ。ちゃんとお参りをしなければな」



「それ神社だろ!!神がお参りすんな!!」



 こうして三人は、化石の世界をクリアしたのだった。

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