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【完結】この神が送り届けよう〜白の世界から迷子救出!〜  作者: 仮面大将G


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第68話 釣りの世界 その1

 城田が右手を上げると、いつものように白いドアが現れる。



「さあ、釣りの世界へ行くぞ。騙されないよう気をつけるのだぞ」



「そっちの釣りなの!?魚じゃなくて!?」



「もちろん魚の方だ。魚の詐欺師がいるらしいぞ」



「フィッシング詐欺ってそういう意味だったの!?」



「何を言っているのだ。詐欺師の魚などいる訳無かろう。見事に釣られたな」



「うるせえよ!!ツッコんでやってんだから感謝しろ!!」



 なかなかドアを開けない城田と瞬に、真美が痺れを切らして声をかける。



「ちょっと二人とも!早く釣りの世界行こーよ!私早くヨーヨー釣りしたい!」



「なんで魚じゃねえんだよ!!それ祭りでやるやつでしょ!!」



「うむ。このタイミングでヨーヨー釣りと言い出すとは、『まさかな』という感じだな」



「やかましいわ!!お前何それ気に入ってんだ!!」



「もーほら、早く行くよ!」



 待ちきれず真美が白いドアを開ける。すると目の前に海が広がり、船が幾つも浮かんでいる港のようなところへ出た。まだ辺りは暗く、夜明け前のようだ。



「わお!見て見て二人とも!水があるよ!」



「そりゃあるわ!!釣りの世界って時点で予想できただろ!!」



「いやー砂の海を進む狩人(ハンター)になって大きな古龍でも釣るのかなって!」



「一人だけひと狩りいこうとしてます!?」



「我もひと刈りいきたいぞ」



「字が違えよ!!何お前庭の手入れでもしてんの!?」



「いや、髪の毛の方だ」



「刈り上げの話!?どこの神がツーブロックにしてんだよ!!」



「いや、虎刈りだ」



「じゃあ失敗してんじゃねえか!!せめて綺麗に坊主にして貰えよ!!」



 三人が港で大騒ぎしていると、だんだん辺りが明るくなってくる。



「ふむ。夜明けだな。そろそろ海に出るか」



「海に出るってことは、今回のミッションはサーフィンだね!」



「釣りどこ行ったんですか!!魔法でサーフボード出すとかやめてくださいよ?」



「だいじょーぶ!出すのはパソコン!」



「ネットサーフィンかよ!!なんで海目の前にしてネット見てるんですか!!」



 パソコンでネットサーフィンを始めた真美を無視し、城田は話を続ける。ちなみに真美は上手なネギの切り方を検索している。



「今回のミッションは、沖に出てマグロを釣ることだ。一本釣りというやつだな。我も次世代神様ドラフトでアロハシャツを着た半グレを一本釣りしたことがあるぞ」



「そんなもん獲得してどうするつもりだったんだよ!!しかしそんな本格的に沖釣りするのか……。俺釣りとかしたこと無いけど大丈夫か?」



「だいじょーぶだよ瞬くん!瞬くんは世界史のテスト89点だったし!」



「それ何の根拠になるかだけ教えて貰えます!?」



「あ、でも数学のテストは41点だったよね?気を抜くと赤点になっちゃうよ〜?」



「さっきからなんで俺のテスト結果知ってるんですか!!」



「我の顔に点数を付けるとしたら990点満点中何点だ?」



「お前の顔TOEICなの!?」



 騒ぐ三人の元に、強面の男が歩み寄って来る。黒い長靴に漁業用の胴長を着た男だ。角刈りの髪は白髪混じりで、鋭い目に鷲鼻で厳しい顔つきだ。男は険しい顔で三人に話しかける。



「お前ら、これから沖釣りに行くのか?」



「そうだけど……。おい城田、このおっさんが釣りの世界の管理人か?」



「いや、その男は管理人ではない。ただのモブ漁師だ」



「モブなの!?この貫禄で!?結構詳しく見た目の説明とかされてたよ!?」



「モブだから名前すら無いぞ。話の都合上ここでは一旦漁師A4としておこう」



「なんでアルファベット4週してんだよ!!コピー用紙みたいになってんじゃねえか!!」



 漁師A4は険しい顔のまま、低いトーンで話し続ける。



「この海模様で沖釣りは危険だ。ちっと今日は海の機嫌が悪ぃみてえでな。最悪の場合お前ら死ぬぞ?」



「だいじょーぶだよ!私ちょうどひいおばあちゃんに会いたかったんだー!」



「生存諦めないで貰えます!?」



「うむ。我も40年ほど前に飼っていた缶コーヒーと天国で再会したいぞ」



「多分そいつ天国にいねえよ!!お前缶コーヒー飼育してたの!?」



「うむ。名前はココアだ」



「ややこしいわ!!コーヒーだかココアだかはっきりしろよ!!」



「トイレに行かせたら魂が抜けてしまったのだ。可愛がっていたのだが」



「中身捨てただけだろ!!ココアに謝れ!!……ああいやコーヒーなのか!!ややこしいなもう!!」



 漁師A4は更に険しい顔つきになり、再三注意を促す。



「こいつぁ冗談じゃねえんだ。海を舐めてると、取り返しのつかねえことになるぞ」



「舐めてなんかいないよ!ちゃんと海のことは啜ってるよ!」



「海のことラーメンだと思ってます!?」



「ふん。そこまで言うなら好きにすりゃあいい。だが俺はちゃんと忠告したからな」



「忠告とはなんだ?投げるボールの速さのことか?」



「それ球速!!お前緊張感の概念ねえの!?」



 漁師A4はやれやれと首を振りながら去って行き、三人が港に取り残された。



「さあ、沖釣りに向かうぞ。まずは船を用意せねばな」



「わーい!今度はどんな船がいいー?フェリー?タンカー?」



「前から思ってましたけど普通の船出せないんですか!?」



「うむ。船でボケるくだりはもう何度かやったから、ここではやめておくのが良いだろう」



「よく言った城田!珍しく真面目だな!」



「さて、では我が沖に向かうタライを出してやろう」



「舌の根も乾かぬうちに!!なんでタライなんだよ!!カンボジアの水上住宅か!!」



「もー、それならあそこにある船借りて行けばいーんじゃない?文句ばっかりなんだから!まるで文句の宝石箱!」



「グルメレポートか!!褒めてどうすんですか!!」



 瞬と真美が話しているうちに、船を借りに行っていた城田が戻って来た。

 



「瞬に真美よ。今船を借りる許可を得たぞ。さあ、沖釣りに向かうのだ」



「珍しく良い働きするじゃん城田!どの人から船借りたんだ?」



「漁師B5だ」



「ノートみたいなやつから借りてる!!」



 こうして三人は、船に乗って沖釣りに向かった。

 次回、三人に予想外の危機が訪れる!!果たして三人は、無事マグロを釣ることができるのか!?

 次回『なんかリュウグウノツカイばっかり釣れる』

 乞うご期待!!



「おいレアフィッシュ簡単に釣んな!!頼むからちゃんと脱出させてくれ!?」

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