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【完結】この神が送り届けよう〜白の世界から迷子救出!〜  作者: 仮面大将G


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第58話 ホテルの世界 その2

 フロントデスクへ向かった三人は、早速フロントの男に話しかける。



「えーっと何だっけ?あ、そうそう!20名で予約の野崎です!」



「忘年会か!!ここ居酒屋じゃないですからね!?」



「仕方がない、我が言おう。三名で予約のド〇リアだ」



「フ〇ーザじゃなかった!?」



「三名様で予約のザ〇ボン様ですね」



「両方違うのかよ!!フロントも普通に対応すんな!!」



 フロントの男は城田に予約情報を確認し始める。



「三名様でのご宿泊ですね。本日からご一泊、トリプルルームでお間違いありませんか?」



「うむ。アップグレードで歩行者信号付きの部屋にできるか?」



「部屋のこと横断歩道だと思ってる!?」



 城田のボケをスルーしたフロントの男は紙を取り出し、城田の前に差し出す。



「こちらにお名前、ご住所、お電話番号とお連れ様のお名前をお願いいたします」



「うむ。では早速書いて行くぞ」



 城田は置いてあるペンを無視して右手を上げ、筆を出して大きく『頻尿』と書いた。



「何してんの!?お前話聞いてた!?」



「うん?我の座右の銘を書くのではないのか?」



「違えし座右の銘が頻尿も意味わからねえしそもそもお前の座右の銘『ホワイトアウト』だったろ!!第22話見ろ!!」



「わーい私も座右の銘書きたい!えーっと、『ガッルス・ガッルス・ドメスティクス』っと」



「んんん?どういう意味ですか?」



「ああこれニワトリの学名!」



「座右の銘書くって聞いてたんですけど!?」



「うん!キチンと生きるって意味だよ!」



「チキンと生きてどうすんだよ!!……くだらねえわ!!」



 フロントの男は無言で三人が書き終わるのを待っている。それを見た真美がおもむろに声を上げた。



「あれ?お兄さんどっかで見たことあるかも!有名な人かな?」



「先輩が見たことあるなら相当有名なんでしょうね。何で見たんですか?」



「んーと、栃木県水泳大会の準決勝だったかな?」



「全然メジャーじゃなかった!!え、見に行ったんですかそれ!?」



「ううん、水泳限定動画配信サイトの『プールー』で見たよ!」



「聞いたことないサブスク!!需要が限定的過ぎるだろ!!」



 瞬と真美が騒いでいる間に、城田は新しく紙を貰って必要事項を書いている。



「よし。これで良いか?」



「ありがとうございます。城田保和糸様にお連れ様が野崎真美様と青汁健康生活7日目王子様ですね」



「この野郎俺だけラジオネームみたいにしやがったな!?」



 瞬の怒りの声を無視し、フロントの男はホテルの説明を始めた。



「ではお部屋の鍵をお渡しします。お部屋が8階の梅の間でございます」



「ああこのホテルそんな感じなんだ!?旅館みたいだな!!」



「お部屋のインターネットは無料でお使いいただけます。ネットワークの名前は『一心不LAN』です」



「なんだそのネットサーフィンにハマり過ぎたみたいな名前は!?」



「朝食は1階奥のレストラン、『ナマステ』でお願いいたします。和洋中のビュッフェスタイルですので、お好きにお料理をお取りいただけます」



「嘘つけ絶対インドカレー屋の名前じゃねえか!!」



「もしご不明点やご要望がございましたら、内線『110』からフロントにお電話ください」



「警察に繋がりそうだけど大丈夫!?」



「ではエレベーターからお部屋へどうぞ」



 ツッコミに疲れた瞬を引きずりながら、三人はエレベーターに乗り込む。



「ねえ城田さん、この世界では普通に泊まるだけでいいの?」



「うむ。無事にチェックアウトできればクリアだ」



「ほんとか!?絶対なんかありそうだけど!?」



「何、ただ一度部屋に入るとドアにロックがかかって出られなくなるだけだ」



「大問題だった!!おいどうすんだよそれ!?」



 瞬が叫んでいる間に、エレベーターは8階に到着する。

 三人はエレベーターホールで部屋番号を確認した。



「えーっと、左側が820から830で、右側が801から梅の間だね」



「やっぱり俺たちの部屋おかしくないですか!?」



「文句を言うな瞬よ。そういうものとして受け入れるしかないのだ。だから今我がドミノをしているのもそういうものとして受け入れるのだ」



「いつの間に何してんだお前!!しまえ!!」



 三人が廊下の端まで歩いて行くと、そこには明らかに雰囲気の違う部屋があった。

 他の部屋は洋風のグレーのドアが並んでいるのに対し、古びた木目調のドアが異彩を放つ。

 だが城田は躊躇無く鍵を差し込み、ドアを開けた。



「わお!すっごい豪華じゃない?ほら掛け軸があるよ!桜の!」



「なんで梅じゃねえんだよ!!名前に忠実であれよ!!」



「ちゃんと椅子も人数分あるぞ。どのゲーミングチェアにするか我から選んでも良いか?」



「風情ゼロじゃねえか!!え、全部ゲーミングチェアなの!?」



 城田がゲーミングチェアに座ると、真美が奥にあるベッドを指差して叫ぶ。



「見て見て!ベッドがあるよ!私ベッドを見るとハンバーグに入れたくなっちゃうんだよねー!」



「ベッドのことナツメグだと思ってます!?」



 瞬と真美がアホなやり取りを披露していると、ガチャンと音がしてひとりでにドアが閉まった。



「えーと……。これで俺たちは出られなくなったんだよな?」



「うむ。なんとかして脱出し、明日の11時までにチェックアウトしなければならぬぞ」



「じゃーまだ時間あるね!とりあえずホテルを楽しもうよ!私トランポリン持って来たから遊ぼー!」



「トランプじゃなくて!?トランポリン!?え、トランポリン!?」



 果たして閉じ込められた三人は無事チェックアウトできるのか!?更なる試練が彼らを待ち受ける!

 次回『もう開き直って住んじゃえばいいじゃん』

 乞うご期待!!



「諦めんなよ!!絶対出てやるからな!!」

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