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【完結】この神が送り届けよう〜白の世界から迷子救出!〜  作者: 仮面大将G


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第51話 アイドルの世界 その1

 城田が白いドアを開けると、小さな事務所のような空間。

 大きなテーブルにいくつも黒い椅子が並んでおり、奥ではパソコンを叩いたり白い背景で撮影をしている人々がいる。

 モニターではライブ映像のようなものが流れており、壁にはポスターが幾つも貼ってある。



「わお!めっちゃ事務所って感じ!これはもう事務所を超えてズムショだよ!」



「なんで訛った!?なんですかズムショって!!」



「ズームショットグラスのことだよ!」



「グラス要りました!?」



「我は事務所というところに初めて来たぞ。何をするところなのだ?マイナンバーカードの手続きか?」



「お前事務所のこと市役所だと思ってんの!?」



 入口付近で三人が大騒ぎしていると、ジャケットにデニムというカジュアルな服装の男が一人近づいて来た。



「皆さん初めまして!アイドルの世界へようこそ!私はこの世界の管理人、第票(だいひょう)です」



「代表じゃねえのかよ!!」



「皆さんはアイドルというものに今まで触れたことはありますでしょうか?」



 第票はニコニコの笑顔で三人に問いかける。

 それに応え、全力の笑顔で真美が答えた。



「あるよ!車が止まってる時に、自動でエンジンを切る機能だよね?」



「それアイドリングストップでしょ!!車の話してないですよ!?」



「我もアイドルには触れたことがあるぞ。飲食店等で仕事が落ち着き、働きたくても働けない時間のことだろう?」



「それはアイドルタイムだろ!!何お前飲食店経験者なの!?」



「うむ。フライドパスタ専門店で働いていたぞ」



「儲けになんねえだろそんなの!!」



「はは、皆さん元気がよろしいようで何よりです」



 笑顔を崩さない第票は、モニター前のソファを指して言った。



「ささ、良かったらこの世界のご説明をしますので、あちらのソファにどうぞ!」



「わーい!私ソファで逆立ちするのが好きなんだよねー!」



「とりあえずここではやらないでくださいね!?」



「我はソファで寝るのが好きだぞ。大体毎年冬の間はずっと寝ている」



「お前冬眠するタイプの動物なの!?」



「うむ。6月の時期以外は大体寝ているぞ」



「紫陽花か!!いやそんないいもんじゃねえわ!!」



「皆さん、ソファの方へ……」



 笑顔こそ崩していないが、流石に第票も三人のテンションに引き始めているようだ。



「はーい!じゃあ座ろー!どんぶらこっと!」



「桃にしか許されない掛け声!!」



「我も座るぞ。……」



「なんか言えよ!!よくこの流れで黙れたな!?」



 三人がようやくソファに座ったところで、第票はモニターの前に立ち、話し始めた。



「さて、この世界はアイドルの世界です。ですが、皆さんにアイドルになって貰うわけではありません。この世界での皆さんのミッションは、最強のアイドルをプロデュースすることです!」



「最強のアイドル?火薬のプロとか?」



「最強の方向性が忍者!!」



「いや、違うだろう。最強のアイドルとは、カットマンのことだ」



「なんで卓球限定で最強なんだよ!!アイドルにその要素要らねえだろ!!」



 三人の変わらないテンションにまた引くかと思いきや、第票は熱い目をして語り始める。



「『最強』という言葉はどう解釈していただいても構いません!皆さんの思い描く最強のアイドルをプロデュースしていただき、そのアイドルが成功と言えればこの世界はクリアになります!アイドルというのは、どんな形でも構わないんです!問題は、プロデュースする側が本気かどうか、そしてファンに認めて貰えるかどうかです!」



「お、おう……」



 第票の暑苦しいテンションに、今度は瞬が引いてしまう。

 だが城田と真美は第票の言葉に感銘を受けたようだ。



「アイドルって深いんだね!まるで足湯のよう!」



「足湯深いと思ってんですか!?シークレットブーツ専用足湯!?」



「我もアイドルというものを少し甘く見ていたようだ。アイドルとは深く、狭く、釣瓶を使って水を汲み上げるものなのだな」



「じゃあ井戸じゃねえか!!よく分かったわ俺も!!」



「たまに幽霊が出るぞ」



「だから井戸だろ!!アイドルに何の関係もねえよ!!」



 城田と真美はやる気満々で、早速アイドルになれそうなタレント探しを始めた。



「城田さん、この子とか良いんじゃない?この宣材写真だと「愛」って書いてある兜被ってるけど」



「直江兼続か!!そんなやつ選ぶな!!」



「我はこの人間が良いと思うぞ。天才チンパンジーのバンくんというらしい」



「じゃあそいつ人間じゃねえよ!!猿だよ!!」



 いつも通りツッコミを入れ続ける瞬を、城田と真美は迷惑そうに見る。



「瞬くん?文句ばっかり言ってないで瞬くんも探しなよ!エメラルドの原石を!」



「なんで緑なんだよ!!相場ダイヤだろ!!」



「我も水切りに使えそうな石を探すぞ」



「そんな薄い石探してどうすんだよ!!」



「コレクションとして飾るつもりだ」



「せめて水切りに使ってやれよ!!」



「もー瞬くん!ちゃんとやるよ!」



「なんで俺が怒られてんですか!?」



 熱くなっている城田と真美を見て、第票は更にヒートアップする。



「さあ皆さん、思い思いのアイドルをプロデュースするのです!その可能性はどこまでも広がっています!そう、まるで代々木-新宿間のように!」



「徒歩圏内じゃねえか!!全然広がってねえ!!」



 こうして三人は、アイドルプロデュースの準備を始めた。

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