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【完結】この神が送り届けよう〜白の世界から迷子救出!〜  作者: 仮面大将G


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第50話 カフェの世界 その2

「では早速オリジナルドリンク対決を始めましょう!」



 吉佐天の掛け声で、城田、瞬、真美の三人は動き出す。

 真美は一直線に店の外へ駆け出した。



「待って待って先輩!どこ行くんですか!?」



「え?そりゃドリンクにするメスライオンを探しに」



「材料のチョイスバグってんな!!どんなドリンク作ろうとしてんだ!?」



「もちろんストロベリークリームフラペチーノだよ!」



「じゃあメスライオン要らねえだろ!!」



 瞬と真美が言い合っていると、その横をすっと城田が抜けて行った。



「おい待て城田!!お前もどこ行こうとしてんだよ!!」



「我はちゃんと材料を探しに行くぞ。まずはドリンクにトッピングするベラルーシを……」



「ドリンクに国乗せんな!!何作ろうとしてんだ!!」



「それは決まっているだろう。バニラ国ームフラペチーノだ」



「クリームにしとけ!!なんだ国ームって!?」



「瞬くん、ちょっと追加トッピング用のブレスケア取ってくれない?」



「そろそろ真面目に作ってくださいね!?」



 暴走する城田と真美を必死に止める瞬。

 そんな三人を横目で見ながら、吉佐天は無言でドリンクを作っている。

 その手つきは慣れたもので、瞬はそれを見て焦りを覚えた。



「ほら早くちゃんと作りますよ!まず何の種類を作るか決めましょ!フラペチーノかラテかティーか……」



「そんなところで悩んでられないよ!とりあえずこのブイヤベースから入れる!」



「スープ入れるのやめられます!?」



「我はタミフルをベースに作るぞ」



「お前まだインフルエンザなのかよ!!何型だよ!!」



「ギラファノコギリクワガタだ」



「お前のウイルス顎付いてんの!?」



 いつの間にかドリンクを作り終えた吉佐天は、余裕の表情で三人を眺めている。

 その瞳はまるで宝石のようだ。どんな夜景も、君の美しさには勝てやしない。君の瞳に、乾杯。



「おい口説くな!!なんで地の文がゲストキャラを口説いてんだよ!!」



「口説くならもっとロマンチックな言葉を言わないとね!私なら君の瞳はカエルの卵ぐらい綺麗だよって言うかなー」



「本当にその例えで良いと思ってます!?」



「我ならこう言うぞ。「毎日我のはやかけんにチャージしてくれ」と」

 


「口説き文句に交通系ICカードは出てこねえよ!!ていうかお前福岡在住なの!?」



「いや、我の実家は群馬県前橋市だ」



「なんではやかけん持ってんだよ!!そもそも神に交通系ICカード要るのか!?」



「神の世界にも交通系ICカードはあるのだぞ。『Shirota』というのだが」



「じゃあお前専用じゃねえか!!」



 もはやドリンク作りではなく交通系ICカードの話を始めた三人。流石に見かねた吉佐天は、三人に声をかける。



「皆さん?ドリンク作りは進んでいますか?」



「もちろんただ雑談をしているわけではないぞ。ちゃんと手を動かしてドリンクも作っている。あとはソースにパスタを入れるだけだ」



「いつの間にパスタ茹で上がってんだよ!!ドリンク作れっつってんだろ!!」



「キャラメルペペロンチーノだ」



「フラペチーノみたいに言うな!!味が行方不明だわ!!」



「大変じゃん!警察に言わないとだよ!私117に電話するね!」



「例えですから!!味に捜索願い出さないでくださいね!?あと117は時報ですよ!!」



 ペースを崩さない三人を見て、呆れた吉佐天は深いため息をついた。

 三人に真面目になって貰うことは諦め、ただ見守ることに決めたようだ。

 そんな吉佐天に、スタッフの一人が歩み寄る。



「吉佐天さん、これでも飲んで落ち着いてください」



「ありがと。やっぱりこういう時は赤出汁に限るわね」



「カフェで赤出汁飲むな!!寿司屋か!!」



「へいらっしゃい!何握りやしょう?え?あっしの手を握りに来た?……よ、よせやい!でもお客さんが本気なら、あっしも応えやすぜ……?」



「おい誰だ今の!?板前みたいなやつが恋に落ちたぞ!?」



 板前と客が手を繋いで出て行くのを見送った三人は、改めてドリンク作りを開始した。



「みんな聞いて!私こういう時はちゃんと力を合わせた方が良いと思うの!ほら、三人寄れば担保の家って言うじゃん!」

 


「文殊の知恵だろ!!なんで借金のカタに家差し出してんだよ!!」



「我も真美に賛成だ。どうだ?思い思いの材料を入れてドリンクを作るというのは」



「わーい!それが良いよね!早速みんなで材料を持って来よー!」



「大丈夫ですよね?ほんとに大丈夫ですよね?」



「当然だよ!私をただのスモリストだと思っちゃいけないよ?」



「スモリストのスタンダードを知らないんですけど!?」



 三人は一旦散り、数分後にまた集まった。

 真美は新巻鮭、城田は鶏肉、瞬は生クリームを持っている。



「ああ終わった……。この期に及んでふざけやがった……」



「待って瞬くん!これなら最強のメニューが作れるよ!」



「我もそう思うぞ。さあ、ドリンク作りを始めるのだ」



 三人は協力してドリンク作りに取り掛かった。



 そして15分ほど経ち、瞬以外は自信満々の表情で吉佐天の前に立った。



「準備ができたようですね?では私からお見せしましょう!ミックスジュースフラペチーノです!」



 吉佐天が出してきたドリンクは、その名の通りミックスジュースをフラペチーノにしたもの。シンプルだが確実に味を求めたもので、勝ちに来ているのが分かる。



「ほら絶対負けですこれ……。一応俺たちのも見せます?」



「当たり前だよ!見せないでどうするの!」



「うむ。我が代表して見せようではないか」



 そして三人が出したドリンクは……。



「フリカッセだよ!」



「要するに、鮭と鶏肉のクリーム煮だぞ」



「だからドリンクじゃねえって……。真面目にやろうっつったのに……」



 瞬が恐る恐る吉佐天の方を見ると、片膝を着いて頭を垂れていた。



「ほら吉佐天も呆れてるじゃないですか!どうすんだよこんなの!」



「……いえ、呆れているのではありません」



「はい?」



 吉佐天は顔を上げ、悔しそうな表情でこちらを見た。後ろにいるスタッフたちも唇を噛み、顔に悔しさを滲ませている。



「まさかドリンク対決でフランス料理を出されるとは……。完全に予想外でした。ドリンクの可能性は、無限大なのですね」



「ドリンクじゃねえって!!」



「本当に悔しいですが、このドリンク対決は皆さんの勝ちです。こんなドリンクは私では思い付きませんでした」



「だからドリンクじゃねえって!!」



「おめでとうございます。この世界をクリアとしましょう」



「聞けよ!!」



 瞬の叫びも虚しく、吉佐天は負けを認めた。

 城田と真美は大喜びだ。



「やったー!城田さん、やったね!チョキタッチしよ!」



「グータッチでいいだろ!!なんだチョキタッチってやりにくい!!」



「そこはパータッチで良いのではないか?」



「もう普通にハイタッチしろよ!!」



 城田は真美とチョキタッチをし、瞬の方に向き直る。



「よし。では次の世界に行くぞ。次はアイドルの世界だ」



「最近クリアの仕方が強引過ぎる気がするんだが!?」



 こうして三人は、カフェの世界を後にした。

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