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【完結】この神が送り届けよう〜白の世界から迷子救出!〜  作者: 仮面大将G


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第49話 カフェの世界 その1

「よし、ではカフェの世界へ向かうぞ」



「おー!」



「いや、ちょっと待てよ!!」



 カフェの世界へ出発しようとしている二人に、瞬が待ったをかける。



「どうしたのだ瞬よ?我の顔に鼻でも付いているか?」



「鼻は付いてるだろ!!いやそうじゃなくて……」



「瞬くん大丈夫?随分歯切れが悪いけどどうしたの?」



「いや先輩もなんで普通にしてんですか!おかしいでしょ!?」



「何が?あー!私の髪型がコーンロウなこと?」



「それもおかしいけども!!そうじゃなくて!!」



 瞬は真美の隣を指差して叫ぶ。



「なんでミイラが城田みたいな喋り方で仕切ってんだよ!!」



「ほえ!?」



 真美の隣にいたミイラが驚きの声を上げる。真美はそんなミイラを庇うように間に入った。



「瞬くん!ちゃんと名前で呼んであげよーよ!ミイラのゾンビちゃんだよ!」



「だからややこしいですって!!城田はどこ行ったんだよ!!」



「城田さんなら棺の中で広辞苑読んでるよ?語彙を増やしたいんだって」



「何してんだよ!!棺の中暗くて読みづらいだろ!!」



 すると棺の中から城田が膝を出した。



「何を騒いでいるのだ。せっかく我が静かに読書をしているというのに」



「お前そういう時は顔出せよ!!なんで膝なんだよ!!」

 


「いや、ニーっと見たくて」



「ジーッと見ろよ!!上手くねえぞ!?」



「仕方がないな。今出て来てやろうではないか」



 そう言うと棺の中から白い影が立ち上がる。その姿は右腕を高く掲げ、人差し指を立てている。

 完全に立ち上がった城田は、そのまま小刻みにジャンプし始めた。



「オイ!オイ!オイ!オイ!」



「なんでお前甲子園優勝した時みたいなテンションで出て来るんだよ!!」



「いや、これは都道府県大会二回戦を突破した時のテンションだ」



「だとしたら騒ぎ過ぎだろ!!そんなとこで満足すんなよ!!」



40-0(フォーティラブ)でコールド勝ちだ」



「テニスの数え方!!いやいいからお前あのミイラどうにかしろよ!!」



 ミイラは素知らぬ顔で真美と相撲を取って戯れている。真美に何度も投げられるミイラは、心做しか恍惚の表情になってきていた。



「おいあのミイラMだぞ!!先輩そいつから離れて!!」



「えー?せっかく楽しんでるのに!瞬くんも混ざる?あ、でも瞬くんが混ざったらふっくら膨らんじゃうか」



「俺はイースト菌か!!」



「いや我はウエスト菌だと思うぞ」



「適当に喋んな!!なんだウエスト菌て!?」



 瞬は真美とミイラの相撲を手で制し、改めて城田に向かって口を開いた。



「城田、そろそろ次の世界行かないか?俺らなんでまだピラミッドの中にいんだよ!?」



「それは我々はこのピラミッドを住まいとして選んだからだ。それともなんだ?古墳の方が良かったか?」



「どっちにしろ墓じゃねえか!!いや佛健も帰っちゃったしこの世界でやることねえだろ?次の世界行かないと俺らずっとここにいることになるぞ?」



 城田は尾てい骨に手を当て、考える素振りを見せる。



「なんで尾てい骨なんだよ!!相場顎だろ!!」



「ふむ。瞬の言うことも尤もであるな。では次の世界へ向かうことにするか」



 城田は右手を上げ、白いドアを出現させた。



「わーい!次の世界はカフェの世界だっけ?千年杉が見られるかなあ?」



「カフェのこと屋久島だと思ってます!?」



「よし、ではカフェの世界へ行くぞ。そこのミイラは着いて来るのか?」



「ううん!臭いから置いてく!」



「辛辣!!」



「うむ。ではいつも通り三人でカフェの世界に行くとしよう」



 城田が白いドアを開けると、カランコロンとベルの音が鳴る。

 ドアの先は木目調のテーブルと椅子が並び、カウンターでスタッフがコーヒーを入れたりケーキを皿に乗せたりしている。

 ゆったりとしたクラシック風の音楽が流れているが、客が一人もおらず貸切状態だ。



「わお!私普段カフェって行かないから新鮮!あのカウンターで注文すればいいの?」



「うむ。気になるメニューがあれば注文するが良いぞ。この世界では代金を取っていないから、好きなだけ好きなものを頼むが良い」



「わーい!店員さん、ヤサイマシマシアブラマシマシで!」



「ラーメン屋か!!フードファイターの量頼むのやめて貰えます!?」



「我は顎髭とVIOを中心に頼むぞ」



「お前カフェのこと脱毛サロンだと思ってない!?」



 三人がいつもの如く騒いでいると、カウンターから一人の女性スタッフが出て来た。



「いらっしゃいませ!カフェの世界へようこそ!私はここの管理人、吉佐天(きっさてん)です!」



「喫茶店じゃねえのかよ!!」



「皆さんにこの世界でやっていただくミッションを早速発表しますね!簡単に言うと、オリジナルドリンク対決です!」



「オリジナルドリンク?醤油ベースのスープみたいなこと?」



「ラーメンに引っ張られ過ぎでしょ!!そんなに引っ張ったら伸びるわ!!」



 吉佐天は真美のボケをスルーし、説明を続ける。



「この世界のカフェは、月ごとに新作のドリンクを出して提供しています!そのドリンクを皆さんにも作っていただき、私の作ったドリンクとどちらの出来が良いかで競います!もし皆さんの中のどなたか一人でも私のドリンクに勝てば、この世界はクリアです!」



「ふむ。分かりやすいが、どのようにして判定するのだ?VARか?」



「サッカーのビデオ判定じゃねえか!!分かりにくいボケすんなよ!!」



「判定は、うちのスタッフにして貰います!ちゃんと公平に判定するので安心してくださいね!」



「うむ。では早速賄賂を渡して来るぞ」



「不正スタートやめろ!?」



 こうして不穏なオリジナルドリンク対決が幕を開けた。

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