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【完結】この神が送り届けよう〜白の世界から迷子救出!〜  作者: 仮面大将G


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第38話 バイキングの世界 その2

 今日の天気です。今日の茨城県は全体的に寒波に襲われ、雪が降る時間帯もあるでしょう。

 特に水戸市は雪の影響が強く、もう雪だるまになって降ってくる可能性があります。にんじんとバケツを用意しておきましょう。

 また道路が凍結する恐れがありますので、スケート靴でのお出かけが必須です。

 十分大雪を楽しんで、心は晴れにしてください。

 以上、今日の茨城県の天気でした。



 多部が改めて盛り付け勝負開始の合図を



「おい良い加減にしろよ!!」



 何?止めないで貰っても良い?



「止めるだろ!!むしろよく我慢した方だわ!!」



 なんで我慢なんてしたの?体に悪いよ?



「お前のせいだろ!!なんだこのちょくちょく冒頭で関係無い話ぶっ込んで来るのは!?」



 関係無くないよ?茨城県の天気は大事でしょ?



「大事かもしれねえけど「もう雪だるまになって降ってくる」ってなんだ!?そんなでかい塊が落ちて来てたまるか!!」



 えー?作る手間が省けて良くない?



「作る過程が楽しいんだろ!!あと道路凍結してる時は絶対スケート靴履くな!?」



 だって道端でトリプルアクセル決めたいじゃんね?



「プロレベルじゃねえか!!スケートリンク行け!?」



 スケートリンクでスケートしても普通だもん!



「普通で良いだろ!!あと最後の心は晴れにしてくださいって何いい感じに締めてんだ!!やかましいわ!!」



 文句ばっかり言って!何が言いたいのさ?



「早く本編を始めろってことだよ!!何回やるんだこの冒頭ぶっ込みボケ!!」



 だって地の文としても存在感を出していかないとね?埋もれちゃうから。



「埋もれろ!!地中深くに埋もれろ!!地の文は存在感なんて無い方が良いだろ!!早く本編始めるぞ!!」



 はいはい、じゃあ本編スタート!



「では、盛り付け勝負開始です!」



 多部が改めて盛り付け勝負開始の合図をする。

 多部を含めた四人は一斉に皿へと向かった。



「多部、これルールとかはあるのか?」



「特に無いですよ。好きなだけ好きなものを取って来ていただいて構いません。ただし、料理を取る制限時間は30分です」



「わお!割と長いね!本当に好きなだけ取れそう!丼ぶりコーナーはどこかな〜?」



「早速脱落しそう!!なんでそれだけで完結してる料理選ぶんですか!!」



「我は豆腐と山菜を取りたいぞ」



「修行僧か!!もっと欲出して良いんだぞ!?」



「ではバナナと豆乳を持って来るぞ」



「モデルの朝飯か!!なんでさっきからヘルシー思考なの!?」



 相変わらずマイペースな城田と真美を見て、多部は勝利を確信したかのように自信満々で歩き出した。



「では私は先に行きますよ?皆さんはせいぜいそこで騒いでいてくださいね。シェーフッフッフ!」



「笑い方クセ強いな!?こいつそんなだった!?」



「我も笑い方に特徴が欲しいぞ。ゴラッソゴラッソとかはどうだ?」



「サッカースペインリーグの人!?」



「いや、日本将棋連盟所属だ」



「もう意味わかんねえな!?俺が詰みだわ!!」



 城田と瞬が言い合いを続ける中、真美は多部の後を追ってバイキングをスタートしていた。

 まず真美が足を止めたのは、スタートしてすぐのサラダコーナーだ。



「サラダかあ。私普段野菜食べないんだよねー」



「え、先輩野菜嫌いなんですか?」



「ううん、私完全肉食主義だからサラダダメなんだ」



「逆ヴィーガン!?どんな食生活してるんですか!!」



「肉団子を腰に付けて常備してるよ!」



「何してんだ!!だから花見の世界に行く時肉団子とか言ってたのかよ!!」



 そんなことをしているうちに、どんどん時間が経っていく。残り約15分だ。



「やべえやべえ、まだ何も取ってねえぞ!ちょっと城田、先輩、ボケ禁止で!」



「ええ!?困るよ!ボケは私にとってのロレックスだよ?」



「贅沢品じゃねえか!!無闇に使うなそんなもん!!」



「我は最初からボケているつもりなど無いぞ。ただ感じたことをそのまま言っているだけだ」



「感性終わってんな!!神ってそんなもんなの!?」



 結局ボケ続ける二人を止めるのは諦め、瞬は自分だけでもマトモに勝負しようとサラダを取り、ステーキを取り、付け合せに焼き野菜を取り、そしてライスを別皿に盛った。

 マグカップにはコーンスープを注ぎ、小鉢で卵焼きを取る。多少和洋が混じっているが、バランスの取れたプレートだ。



「さて、俺はとりあえずこれで良いかな。城田と先輩は……」



「城田さん、そのお皿いい感じだね!城田さんみたいに真っ白!」



「うむ。そのスプーンも真美の顔のように輝いているぞ」



「何食器褒め合ってんだ!!呑気か!!」



「あ!そーか!お料理を取らないといけないんだよね!」



「うむ。忘れていたぞ」



「何しに来てんだこいつら!?」



 瞬の言葉でようやく目的を思い出した城田と真美は、改めて料理を取り始めた。


 少しして制限時間の30分が来た。

 多部が満面の笑みで三人に近づいて来る。



「さあ皆さん、制限時間が来ましたが料理は取れましたか?まずは私の盛り付けからお見せしましょう!」



 そう言って多部はドヤ顔で自分のプレートを出す。

 そこにはサラダの上にステーキが乗った皿が一枚あり、6つに区切られた皿には漬物、焼き魚、昆布、餃子、シューマイ、そして醤油が乗っている。

 白米をよそった椀には刺身が乗せられており、海鮮丼になっていた。



「わお!めっちゃ綺麗だね!流石気功マスター!」



「そんな中国の達人みたいな称号じゃないと思いますよ!?」



「どうでしょう?私に勝てる自信はありますか?」



 そんな多部の言葉に、瞬は目を逸らす。もちろん瞬自身も負けたとは思っていたが、問題は城田と真美の二人だ。


 二人は多部をも凌ぐドヤ顔で、それぞれのプレートを見せる。


 城田のプレートには大皿が一枚だけ置かれており、その上には豆腐とはんぺん、マッシュルームにモッツァレラチーズが乗っている。デザートには杏仁豆腐とヨーグルト、飲み物は牛乳だ。



「終わった……。こいつただ白いだけで選びやがった……」



 そして真美だ。真美のプレートにも大皿が一枚だけ乗っており、海苔、イカ墨パスタ、ひじき、イモリの黒焼きに加え、トリュフやキャビアなど珍味まで揃えてある。デザートはコーヒーゼリーと羊羹、飲み物はコーラだ。



「またしても終わった……。先輩もノリで黒いものだけ選びやがった……」



 絶望しながら瞬が多部を見ると、多部は驚愕の表情を浮かべていた。



「ま、負けました……!」



「はあ!?なんで!?」



「料理とはどんな状況でも美味しそうに見せるもの。私のプレートは色が無いと美味しそうに見えませんが、お二人のプレートはモノクロで見ても成立します。色盲の方が見ても美味しそうだと思うでしょう。ですから、私の負けです……」



「ええ!?ほんとに言ってる!?」



「わーい!勝っちゃった!城田さん、ハイタッチしyうわわわ!!」



 城田に向かって駆け出した真美は、つまづいてプレートをひっくり返してしまった。


 するとイモリの黒焼きが真っ直ぐに城田の口へ飛んで行く。

 それを城田は反射的に口でキャッチ。そのまま飲み込んでしまった。



「何してんだ!!あれ、そういえばイモリの黒焼きって惚れ薬なんじゃ……」



「真美よ、我はお前のことを愛しているぞ。白の世界の誰よりも」



「白の世界お前しかいないだろ!!」



「どうか我の気持ちを受け取ってはくれぬか?この電子レンジに気持ちを込めたぞ」



「誰が気持ち込めて家電渡すんだよ!!花とか渡せよ!!」



「ごめんね城田さん。私には心に決めた力士がいるから」



「神が力士に負けた!!」



「真美よ、次のハイキングの世界で我とデートしないか?」



「次ハイキングの世界なのかよ!!ややこしいな!!」



 こうして三人は、バイキングの世界から脱出することに成功したのだった。

少しボリューミーになってしまいました(笑)

ぜひ笑ったところや気に入ったツッコミなど感想で教えてください!

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