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【完結】この神が送り届けよう〜白の世界から迷子救出!〜  作者: 仮面大将G


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第31話 花見の世界 その1

「よーし!気を取り直してお花見をしよう!」



 真美はそう言うと杖を掲げ、何も無い空間からレジャーシートを取り出した。般若の総柄のレジャーシートだ。



「座りにくいわ!!レジャーシートめちゃくちゃ怒ってるじゃねえか!!」



「でもでも、お花もちゃんと見て貰えた方が良くない?」



「睨んでどうすんだよ!!睨まれた花の気持ちも考えてください!?」



「我は以前桜を見ていたら木が逃げ出したぞ」



「不審者だと思われてんだろ!!木が逃げ出すって相当だぞ!?」



 いつものペースに入りそうになった三人に、佐倉木が割って入る。



「み、皆さん!皆さんにはこれからお花見をして貰います!さてここで問題です。お花見と言えば何でしょう?」



 佐倉木が三人に問いかける。問いかけの答えが、この世界のミッションなのだろう。



「はいはーい!お花見と言えばお弁当!気合い入れて作ったら他の人と中身が丸被りになるやつだよね!」



「気まずいわ!!なんでその一場面をピックアップしたんですか!?」



「真美よ、そんなことでは立派なハナミストになれないぞ」



「適当な称号作んな!!」



「我が答えを教えてやろう。花見と言えば、桜花賞だ」



「お前だけ競馬場の桜見てんな!?」



「ど、どれも違いますよ……?正解は、お団子です!」



 ペースの変わらなさにドン引きしつつ、佐倉木はその答えを言う。



「お団子……?お団子と言えばきびだんご、きびだんごと言えば桃太郎、桃太郎と言えばお供のクジャクだよね!」


 

「役に立たなそうなやつ連れて来た!!ちゃんとキジ連れて来てくださいよ!!」



「うむ。我は桃太郎のお供に金太郎を付けてやったぞ」



「主人公に主人公足すな!!昔話のクロスオーバー聞いたことねえよ!!」



「でも桃太郎は」



「桃太郎はもういいわ!!前話からしつこいんですよ!!どんだけ引っ張るんですか!?」



「あの、皆さん、聞いて貰えますか……?」



 困惑気味の佐倉木は、また遠慮がちに三人に割って入る。



「ほら佐倉木が困ってるじゃないですか!!二人とも、ちゃんと聞きますよ!」



「仕方ないなあ。じゃあボイスパーカッションでBGMだけ付けて良い?」



「なんで良いと思ったんですか!?そっち気になって仕方ないでしょ!!」



「では我がコーラスを担当しよう」



「静かにしろっつってんだろ!!」



「ではこの世界の説明を始めますね」



 もう慣れてきた佐倉木は、騒ぐ三人を無視して説明を始める。

 三人を黙らせることは諦め、とりあえず自分の義務を果たすことにしたようだ。



「この世界はお花見の世界。そしてお花見と言えばお団子です。皆さんには、この桜に最も合うお団子を選んで貰います」



 そう言って佐倉木は、公園の中心にあるひときわ大きな桜の木を指差した。



「あの木に合うお団子……?ってどういうこと?あの木とお団子を一緒に食べればいいの?」



「木は漬物かなんかか!!そういう意味じゃないでしょ!」



「我としてはあの木に合う団子はメロンパンだと思うぞ」



「お前メロンパンのこと団子だと思ってんの!?」



「えー、皆さん、よろしいでしょうか?あの木にお団子を差し出すと、お団子が木に吸収されます。もし木が認めたお団子なら、木が光ります。その光が最も強いお団子を選ぶのが、この世界を出る条件です!」



 佐倉木は話し終えると後ろを見た。そこには、これから佐倉木が三人に選ばせようとしていた団子がある……はずだった。



「え!?お団子が無い!?」



「ああ、そこにあったお団子ね?城田さんがこれでいくらでも鬼退治の仲間を作れるって言って全部持ってっちゃったよ?」



「城田てめえ!!戻って来い!!また桃太郎ネタ擦ってんな!?」



「あ、戻って来た戻って来た!おーい、城田さーん!」



 真美が手を振った先には、「日本一」と書かれたハチマキをした城田が、茶色い群れを連れて帰って来るところだった。



「瞬よ、お前が呼ぶから戻って来てしまったではないか。鬼退治に行くところだったというのに」



「どこに鬼いんだよ!!それより後ろの群れは何だ……?」



「ああ、これはお供にしたカピバラの群れだ」



「何をお供にしてんだお前は!?温泉ばっか入って役に立たねえだろ!!」



「だが世界最大のげっ歯類だぞ?世界最大だぞ?」



「げっ歯類だから言ってんだろ!!なんでそんなのんびりした動物選んだ!?」



 何故か誇らしげな城田の前に、佐倉木が焦った様子で出て来る。



「あの!もしかしてお団子、全部あげちゃいました?」



「その通りだ。ちゃんと全てカピバラにあげたぞ?」



「ああ、終わった……」



 佐倉木は力なくその場に座り込む。



「どうしたの佐倉木さん?にらめっこで負けたの?」



「そんなことで落ち込むか!!城田が木に合わせる団子全部あげちゃったからでしょ!」



「あ、そーいうことか!あれ?でもそしたらもしかして私たち、ここから……」



「はい、出られないですね」



「城田てめえ何してくれてんだ!!」



「てへぺろ☆」



 ミッションに使う団子は全て無くなり、残ったのはカピバラの群れと「日本一」のハチマキだけ。

 果たして三人は、この世界から脱出することができるのか?

 次回「諦めて鬼ヶ島へシフトチェンジ」

 乞うご期待!



「おい出られないの確定したぞ!!どうすんだ!?」

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