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【完結】この神が送り届けよう〜白の世界から迷子救出!〜  作者: 仮面大将G


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第23話 服の世界 その1

 いつも通り白いドアを開けると、そこには服が掛かっているラックが地平線まで並んでいる、だだっ広い空間が広がっていた。


 ところどころに試着室もあり、永遠に服を選べるような世界のようだ。



「わお!これは凄いね!まわしコーナーはどこかな?」



「ねえだろ!!まわしが服に入るのかどうかから話始めなきゃいけないでしょ!!」



「我も神っぽいブーメランパンツを探していてな」



「ブーメランパンツも神っぽさ求められると思ってねえだろ!!」



 早速各々で服を物色し始める城田と真美。そんな二人に瞬が呆れ果てていると、一人の女が彼に近づいて来た。



「いらっしゃいませ〜!お客様、今日は何かお探しですか?」



「え?あ、いや、特に何も……」



「そうなんですね〜!この世界にはあらゆる服が置いてあるので、ぜひ気に入ったものがあればお声かけくださいね!ご試着もできるので!」



 まさにアパレル店員、という感じの彼女は、定番のフレーズで瞬に話しかける。


 茶髪を毛先でカールさせ、白いワンピースにチャコールグレーのジャケットを羽織っている。


 そんな彼女の胸元には名札が付いており、瞬はその名前を読んだ。



「福田……?また服田じゃねえのかよ!!」



「はい!福田でございます!良かったらお似合いになりそうなお洋服をお持ちしましょうか?」



「あー、せっかくなんでお願いしようかな……」



 瞬と福田が話していると、服を物色していた城田と真美が戻って来た。



「瞬よ。そこにいるのがこの世界の管理人、福田だ。そしてこれが「白寿」のロゴが入ったジャージだ」



「何持って来てんだ!!てかお前確か米寿だっただろ!!」



「瞬くん、この世界から出るには福田さんとコーディネート対決をして勝たないといけないらしいよ!よりオシャレな力士に近づけるように頑張ろうね!」



「力士前提なのやめて貰えます!?」



「賑やかな方々ですね〜」



 福田は三人のやり取りを見て、ニコニコと笑っている。

 だが瞬は気づいていた。福田の目の奥は笑っていない。作り笑顔だ。


 彼女も服に関してはプロ。コーディネート対決などして、素人且つふざけまくっている三人に負けるわけにはいかないと思っているのだ。



「そういえば瞬くんに似合いそうな服があったから持って来たよ!忍び装束なんだけどね?」



「あ、もう見せなくて大丈夫です」



「我も瞬に似合いそうな服を持って来たぞ。少し重量はあるが、帽子も着いたセットアップだ。商品名が「鎧兜」と書いてあるな」



「じゃあ鎧兜じゃねえか!!いくらすんだそんなの!!」



「ざっと8097111ウォンといったところだ」



「円で言って貰える!?」



「ちなみにブランドは「マサムネ・ダテ」らしいぞ」



「伊達政宗じゃねえか!!それ多分ブランド名じゃないだろ!!」



 アホなやり取りをする三人を横目に、福田はコーディネート対決の準備をしていた。


 ルールが書いてあるA4サイズのポップを持って来て、騒いでいる三人に説明を始める。



「では、コーディネート対決の説明をしますね〜。今回の対決では、一人を選んでその人をコーディネートして貰います!どちらがより似合っているかを、このAIスタイリスト「似合ウンです」に判断して貰い、勝者を決めるというルールです!」



「そんな写ルンですみたいな!!」



「面白そうだね!誰をコーディネートする?スティーブンソンさんとか?」



「なんでわざわざお菓子の世界から連れて来るんですか!!引っ張り過ぎでしょ!!」



「では我そっくりのマネキンを出そう。血色が無いから少し違和感があるかもしれないがな」



「お前元々全身白いから血色なんてねえだろ!!マネキンなんか出したらややこしくて仕方ないわ!!」



「皆さん、そろそろ誰にするか決められますか〜?」



「はいすぐ決めますすみません!!」



 福田の目の奥に闇が見えた瞬は、即座に謝罪を入れる。



「俺はレディース服のこと分からないし、城田は上裸コートの変態だし……。ここは俺がコーディネートされるしかないでしょ!」



「確かに瞬くん、私服ダサいもんね。中学生の時に着てたパーカーまだ着てるんでしょ?」



「魔女丸出しの黒いワンピースに三角帽被ってる先輩にだけは言われたくないです」



「そうか、瞬はダサいのか。では我がちゃんとコーディネートしてやろう。ブランドは「ケンシン・ウエスギ」で良いか?」



「戦国武将から離れられる!?」



「ちゃんとアクセサリーもあるようだぞ。薙刀とか」



「武器じゃねえか!!弁慶じゃないんだから!!」



「皆さん〜?ご準備はよろしいでしょうか〜?」



 柔らかな口調に怒りを込めた福田の声で、瞬の背筋がピンと伸びる。



「はいすみません!俺がコーディネートされるので、城田と真美先輩に選んで貰います!」



「かしこまりました〜!では早速始めていきましょう!コーディネート対決、はじまりはじまり〜」



「紙芝居か!!気合いの入らない始まり方だな!?」



 城田、真美、福田の三人は、瞬に似合う服を探しに散って行った。



「城田さん、瞬くんにはどんな服が似合うと思う?私は裸エプロンとか似合いそうだな〜って!」



「それは似合うだろうな。我としては裸コートも似合うと思うぞ」



「お前ら俺を変態にしようとしてるだろ!!」



 コーディネート対決はどうなっていくのだろうか。この先を思い、瞬は試着室の前で不安になっていた。

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