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【完結】この神が送り届けよう〜白の世界から迷子救出!〜  作者: 仮面大将G


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第18話 ゲームセンターの世界 その1

 城田が右手を上げると、いつも通り白いドアが出現した。



「では、ゲームセンターの世界へ向かうぞ」



「れっつごー!」



「勇者……俺の勇者生活……」



 一人だけ悲壮感を出しまくっている瞬は、未だに剣の世界を引きずっているようだ。



「ちょっと瞬くん!いつまで引きずってるの?男なら切り替えないと!」



「いやだって……。せっかく勇者になれたと思ったのに、自覚する間もなく黒ひげ危機一髪にされたんですよ?しばらく凹ませてくださいよ……」



「瞬よ。凹む気持ちは分かるぞ。では我が、気持ちを切り替えられる道具を出してやろう」



 そう言って城田が右手を上げると、ボワッと煙が上がり、その手の中にはテレビのリモコンのようなものが出現していた。



「城田さん、それは?」



 真美が城田に尋ねる。そんな様子を見て、瞬も城田の方をチラッと見た。



「これは気持ちリモコン、通称キモコンだ」



「通称もうちょっとなんとかならなかったのかよ!?」



「これを使うと、どんな気分にも自由自在に切り替えができる。落ち込んでいる瞬の為に、我が今気持ちを切り替えてやろう」



 そう言うと城田はキモコンを瞬に向け、ボタンを押した。



「やっぴー!オイラは瞬!みんなに笑顔をお届け隊長だよー!」



「城田さん、このキャラはちょっと……」



「うむ。かなりウザイな」



 自分で変えておいて酷い言い草である。



「えー?二人ともひどーい!オイラをもっと可愛がってよー!」



「大分気持ち悪いから早く変えようよ!」



「そうだな。ポチッと」



 城田が再び瞬に向けてボタンを押すと、瞬の顔はキリッと引き締まり、目に炎が宿った。



「うおおおお!!燃えてきたぜ!!城田、真美先輩、早く次の世界に行くぞおおお!!」



「城田さん、これもちょっと……」



「うむ。違う意味でウザイな。これも変えるか」



 城田は再び瞬に向けてボタンを押した。



「はあ……はあ……。やっと普通の気持ちに戻れた!何させてんださっきから!!」



「いや、試しに色々やってみたのだが、お前がいないと困るな。ツッコミ役がいなくなる」



「メタいこと言うな!!実際どうしようかと思ったけども!!」



 瞬は気持ち(というか人格)を変えられていた際、内心めちゃくちゃ焦っていた。

 城田と真美は二人ともボケ気質。今までそれを処理してきたのが瞬だったが、そんな瞬がボケ側に回ってしまうとツッコミ役がいなくなる。

 物語が破綻してしまうのではないかと心配していたのだ。



「まあこの小説、物語とかあってないようなもんだけどな……」



「こらこら、瞬くんもメタ発言しないの!それより、瞬くんが元に戻ったから早くゲームセンターの世界に行こうよ!」



「そうだな。我は昆虫バトルが楽しみでな」



「情報が古いわ!!」



 城田が白いドアを開けると、突然やかましい音楽が何重にも鳴り響く。ドアの向こう側には、クレーンゲームやUFOキャッチャー、リズムゲームやシューティングゲームが果てしなく並んでいる空間が広がっていた。



「わお!こんなに広いゲームセンターは始めて来たよ!ロシアぐらい広いんじゃない?」



「もしそうだとしてどうやって検証するんですか!?」



「二人とも少し静かにできるか?今プリクラの説明を聞いているのだ」



「なんでお前一人でプリクラ撮ろうとしてんだ!!出ろ!!」



 瞬がプリ機から城田を引っ張り出すと、城田は不満げに口を開いた。



「何故我の邪魔をするのだ。小顔ピースというものをやってみたかったぞ」



「お前神なんだから顔の大きさぐらい自分の力でなんとかしろよ!!それより、この世界では何をすればいいんだ?あ、ちょっと先輩もプリ機行かない!」



 城田と入れ替わるようにプリ機に向かう真美の首根っこを掴んで止めながら、瞬が城田に尋ねる。



「この世界では三つのミッションをクリアしなければならない。一つ目はUFOキャッチャーで景品を獲得すること。二つ目はシューティングゲームを二人プレイでクリアすること。最後に三つ目は、プリクラで最高のショットを撮ることだ」



「結局プリクラは撮るのかよ!!前二つは良いけどプリクラは抵抗あるな……」



「いいじゃん!私は瞬くんとプリクラ撮りたいよ?どの機械にする?」



 ノリノリの真美が、早速プリ機を選び始める。だが瞬は全く乗り気ではないようだ。



「俺は先輩と撮るの嫌ですよ。前一回先輩のプリクラ見たことありますけど、「一輪車で来た」って落書きしてたじゃないですか」



「え、ダメなの?落書きって自由でしょ?」



「落書き自体は自由ですけど、一輪車でゲーセンに行くことの方が問題でしょ!!どこに止めたんですか!!」



「ちゃんとゲームセンターの中も一輪車で回ったよ?」



「ピエロか!!迷惑だろそれは!!」



「我は新幹線で回りたいぞ」



「お前は黙ってろ!!新幹線好きだな!?」



 ゲームセンターの騒がしい音楽にも負けず、声を張り上げる瞬。

 既に疲れ気味だが、これから彼らはミッションをこなさなければならない。



「では、早速ミッションに取り掛かるぞ。あ、密氏四と書いた方が良いか?」



「分かりづらいわ!!初見じゃ絶対読めねえし、漢字の変換も意味不明だろ!!」



「密氏四に取り掛かる前に、お前たちに小遣いを渡しておこう。一万円ずつだな」



「漢字採用しちゃったのかよ!!」



「わーい!一万円もあったらミッション楽勝じゃない?お金余ったらトイレットペーパーでも買おうかな?」



「なんでそんな持ち運びしにくいもん今買うんですか!!いいから始めますよ!」



 三人は早速最初のミッション、UFOキャッチャーに向かった。

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