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97.女神っくパワーで呪いを解く


 わたしたちの森に、白澤はくたくのヴァジュラさんがやってきた。


「いやぁ、美味い、実に美味しいねえ、この珍妙なシチュー」


 教会の食堂にて、ヴァジュラさんがご飯を食べている。

 これは食べ物の実といって、一見すると椰子の実だけど、ぱかっと蓋を開けると、なかには料理が入ってるというもの。


 ノアール神さまがわたしたちに用意してくださった、ご飯である。


「こんな美味しいシチューは生まれて初めてだ。ありがとう、キリエちゃん」

「いえ、どういたしまして。それと、感謝はノアール神様にお願いするわ」

「はいはい、キリエ神様、生きる糧をどうもありがとう」

「だからわたしじゃないのっ、もうっ」


 わたしとヴァジュラさんが会話する一方で……。

 聖十二支デーバをはじめとした、魔物さんたちは、ヴァジュラさんと話そうとしない。


 特にチャトゥラさん、アニラさん、マーテルさんのお三方、昔からヴァジュラを知ってる方々は、凄い警戒してる。

 ……エレソン様を殺した、か。


 真実なのか、そして真実だとしたら、どうして殺したのか。

 わからないわ。


 でも、わからないからって、遠ざけるのもよくないと思うのよね。

 皆もヴァジュラさんと仲良くできれば良いのに……。


「おいヴァジュラ」

「なんだい、チャトゥラ?」


 がるるるるぅ……とチャトゥラさんが犬歯まるだしにしながら言う。


「いい加減、貴様がこの土地にのこのこと戻ってきた理由を教えろ」

「おっとそうだったそうだった」


 そうだわ、なぜ今になって、故郷の森に帰ってきたのだろう。


「まあそんなたいしたことじゃあないんだけどね」


 ふむふむ。


「僕は明日死ぬんだ」

「え……?」


 い、今……なんて……?


「このままでは僕は死んでしまうのだよ」

「え、え、え!? ど、どうして!?」

「13使徒の連中に、目をつけられてね」

「じゅーさん、しと……?」


 聞いたことない単語……いや!

 それはどうでもよくって!


「大丈夫なの!? 死ぬって……どういうこと!? 病気? それとも、殺されるの!?」

 

 大変じゃないの!

 どうしよう……わたしでどうにかできることだといいな。


 そんな様子のわたしを見て、ヴァジュラさんは微笑む。


「君は、本当に優しい子だね。君らにとっては敵役となるのに」

「そんなの今はどうでもいいのっ」


 敵だろうがなんだろうが、死にかけてる子をほっとけるわけないわ!


「ふむ……鑑定」


 世界樹マーテルさんは、ヴァジュラさんに鑑定スキルを使ってみる。

 なるほど、とうなる。


「なにかわかった?」

「ヴァジュラは、【魂喰らい】の呪いを受けてるのじゃ」

「たましい、くらい……?」


 初めて聞く単語だわ。

 

「魂喰らいというのは……」

「天におります我らが神さま、どうかこのお方の呪いを解いてください……!」

「キリエ! 待つのじゃ!」


 マーテルさんが止めるまえに、わたしは解呪をお願いした。

 だって一刻も早く、呪いを解いてあげないと!


「! ヴァジュラのからだから何か出てきたぞ!」

「魂喰らいは、解呪しようとした人間に、呪いがうつってしまうのじゃ!」

「なんだと!? ヴァジュラ貴様ァ……!」

「!? なんじゃ……呪いの本体が苦しみだしたぞ!?」


 目を閉じて祈っているので、外では何が起きてるのかさっぱりわからない。

 だが、目を開けると……。


「どうかしら?」


 ヴァジュラさんがうんうん、とうなずいてる。


「治ったみたい」

「よ、よかったぁ~……」


 ふぅー……これで一件落着ね。


「ヴァジュラぁあああああああああああああああああああああああああ!」


 チャトゥラさんが飛びかかろうとする!


「いけません!」

「でも!」

「お座り!」

「ぶべえ……!」


 チャトゥラさんが、重力で押しつぶされたように、地面に倒れる。

 まったく、暴力はいけないとあれほど言ったのに……。


「しかしキリエ様! こいつは……解呪すればうつる呪いを、もってきやがったのです!」

「だから?」

「だからって……こいつは! キリエ様に呪いをうつそうとしたのですよ!?」

「わたしは平気よ。だって神さまがついてるもの」


 神様のご加護のついてるわたし、呪いは一切通じない。


「多分、ヴァジュラさんはそれ込みで、わたしを頼ってきた、そうでしょう?」


 するとヴァジュラさんが、ニタニタ笑いをやめて、目を丸くしていた。 

 がしがし、と頭をかく。


「調子が狂うなぁ……ほんとうに。君は、エレソンの生き写しだ」

「エレソン様と、似てるの?」

「ああ、そっくりだ。その、まぶしいくらい、綺麗な心のありようとか、ね」


 まあ、よくわからないけれど、ヴァジュラさんが無事でなによりだわ。

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