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89.魔物たちがわたしを巡ってケンカしてしまったので仲裁

新章スタートです!



 わたしの名前はキリエ・イノリ。

 元々は天導教会に身を置く聖女だったのだが、ひょんなことからこの奈落の森の主となった。


 魔物さんたちのリーダーとなり、そしてなぜか最強の魔物、魔王種へと進化したわたし。

 前回は氷の国カイ・パゴスで、ドワーフとトロルたちの不和を解消。


 さらにカイ・パゴスを占領していた魔王、メドゥーサさんに説法し、その結果、カノジョが仲間となる。


 色々あって毎日大変だけど、わたしはみんなと楽しく暮らせてる。

 それもこれも、すべてわたしが信じる神、ノアール神さまのおかげ。


 ありがとうございます、神様。

 どうか、今日も平穏無事で過ごせますように、見守ってくださいませ。


    ★


 ……目覚めと同時に息苦しさを覚えた。

 うっすらと目を開けると……。


「キリエ、おはよう」

「お、おはようサンティラちゃん……」


 わたしの目の前には、紫髪をした、とてつもなく美しい美女が横たわっていた。

 彼女は、メドゥーサ・サンティラちゃん。


 前回仲間になった、魔王種のひとり。

 もとは蛇だったらしいんだけど、わたしが名前を付けたことで、今の美人さんのすがたに存在進化したらしい。


「ううん、キリエ。違うわ。ワタシはメドゥーサ。あなただけはこの名前で呼んで良い。むしろ、呼んで?」


 彼女は昔醜かった自分、メドゥーサって名前を嫌っていた。

 でも今は過去を乗り越えたみたい。


 まあそれは、良いことだと思う。

 けど……。


「あ、あの……メドゥーサちゃん……」

「なぁに?」

「その……巻き付いてる。色々……」


 さて、メドゥーサちゃんは蛇の魔物だ。

 見た目は人間だけど、じゃあ蛇要素はどこにあるか?


 ……答え。

 彼女の長い髪の毛が、蛇になってるのだ!

 そして……下半身が……蛇のそれとなっている!


 そしてなにより!

 その蛇たちがわたしの身体に、まとわりついてるの……!


 それはもう、蜘蛛の巣にからみとられた、ちょうちょのように。

 わたしはメドゥーサちゃんの身体のパーツである蛇に、からまれまくってるのだ。


「あ、あのね……メドゥーサちゃん。毎朝これなの、ちょっと勘弁して欲しいかなって……」


 カイ・パゴスから帰ってきて数日。

 毎日のようにこうして、彼女に絡まれてる(物理的に)。


「ねえ……知ってるキリエ?」

「なにを……?」

「蛇の交尾って……こうしてお互い身体を絡らませることで……」

「アウトぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 ばーん! と扉が開く。

 そこには犬耳のイケメン、チャトゥラさんが怒りの表情を浮かべながら立っていた。


「メドゥーサ貴様ぁ……! またもキリエ様の寝所に忍び込むとはどういうことだ! よほど首を噛みちぎられて死にたいようだなぁ……!!!!!!」


 がるるるるぅ! とチャトゥラさんが文字通り牙をむいて叫ぶ。

 彼はフェンリルの魔物。その変化した姿が、あのイケメンフェイスなの。


「……メドゥーサではない。その名前を呼んで良いのは、愛するキリエただひとり。ああ……キリエ……♡」


 しゅるしゅる……と蛇がわたしの身体にまとわりつく。

 へ、蛇は別に嫌いじゃないけど……このねっとりと絡みついてくるのが、ちょっと苦手だわ。


 メドゥーサちゃんが近づいてきて、き、キスをしようとしてくる……!

 ひゃあ!


「くたばりゃぁああああああああああああああああ!」


 チャトゥラさんがすごい速度で近づいてドロップキックを食らわせる!

 メドゥーサちゃんはそれを受けてぶっ飛んでいく。


 どがぁああん! という大きな音を立て、彼女が壁を破壊する……!


「だめでしょチャトゥラさんっ。けんかは駄目!」

「きゃうん……すみません……」


 わたしのためにやってくれたことを、叱りつけるのは心苦しい。

 でも、だ。


「暴力はいけないことです。わたしたちは言葉を使うことができるのです。話し合い、お互い理解し合えるのですから」

「キリエ様……なんて、素晴らしいお考え! このチャトゥラ……感銘を……」


 どがんっ! という音とともに今度はチャトゥラさんが飛んでいった!?


「痛い……殺す……」


 メドゥーサちゃんが尻尾でチャトゥラさんをビンタしたのだ!



「もう! やめなさい!」

「「うぉおおおおお!」」

「やめなさいって、言ってるのに!」


 ふたりがボコボコと殴り合う。

 ああもう、どうしてこんなことに……。


 こんなときは。


「神様……どうか二人を沈めてください」


 目を閉じて、ただ祈る。

 わたしにできることは、神に祈りを捧げることだけ。


 すると神様はわたしの願いを叶えてくれる。

 さっきまで騒がしかったふたりが、ほら、静かになった。


 きっと祈りが届いて、けんかをやめたのね。


「って、ええええ!? な、なんで二人ともちっちゃくなってるの!?」


 ぬいぐるみサイズの、蛇と犬が、そこにはいた!

 え、これって……チャトゥラさんたち!?


 なんで縮んでるの!?


『さすがでございます、キリエ様! 弱体化レベルドレインのスキルまで習得なさってるとは!』

「れ、れべ……? なにそれ」

『触れた相手を弱体化させるスキルでございます! 多彩なスキルをお持ちだなんて、さすが神……! 森の魔物で確かこのスキルを持っているものはいなかったので、おそらくは神としての格が上がったことで手にした、新たな力でしょう!』

 

 い、いや……別にスキルなんて得てないし。

 やってくださったのは、神様だし。


 だいいち!


「わたしは! 神様じゃありませんっ!」

『『いやいや、ご冗談を』』

「冗談じゃありませんっ。もー!」


 ……新しい住人が増えて、ますます賑やかに……そして、ますます厄介ごとが増えて、ほんと、大変です。


【☆★読者の皆様へ お願いがあります★☆】


良ければブックマークや評価を頂けると嬉しいです!


現時点でも構いませんので、

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