88.二章エピローグ
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
キリエがカイ・パゴスでの騒動を鎮めた、一方その頃。
その様子をはるか上空から眺める、天使ミカエルの姿があった。
「ふむふむ……いいですねぇ。聖なる力が、増大してるです」
ミカエルは天からの命令で、キリエの活動を監視してるのである。
彼の手にはバインダーが握られており、今回の出来事をメモしていた。
「国土全体の再生をした。これはおそらく、キリエの信者が増えたことによって、神の力が増したからでしょうねえ」
神の力とは、その神を信じるものの多さ、熱心さによってきまる。
森の民だけでなく、ドワーフ、トロルからも、キリエ神としてあがめられるようになった。
結果、信者が増えたのだ。
「神候補は順調に、成長してる……っと、上に報告するです」
ミカエルは翼を広げて、天界へと戻ろうとする。
そのときだ。
「む? なんです? 空から光が……」
天から地上へ向けて、勢いよく光が落ちていった。
「神がキリエに直々に試練を与えるです?」
どうやら今落ちていったのは、キリエ用の試練のようだ。
ミカエルは上からの指示を聞いてうなずく。
「次の試練も、なかなかに大変そうでやがるです。ま、がんばりやがれです、キリエ神」
★
《キリエSide》
大変なことになった……。
『ひゃー! かえってきたー! 奈落の森~!』
くま吉くんたちを連れて、わたしは拠点である、奈落の森へと戻ってきた。
『おお、戻ってきたのじゃ! おかえりキリエ!』
緑髪の幼女がニコニコしながら近づいてくる。
彼女は樹木王さん。
長くこの森に住んでいる、みんなのまとめ役的な人だ(チャトゥラさんが本来それらしいけど)。
「ただいまかえりました。ごめんね、勝手に居なくなって」
『まったくじゃ、心配させよって』
チャトゥラさんたちと一緒にこれなかった、小さな魔物たちが、わたしに近づいてくる。
『きりえー』『しんぱいしたよぅ』『かえってきてよかったぁ!』
うう……すみませんみんな。
勝手に居なくなって……。
わたしはちびっ子たちを抱きしめて、よしよしする。
すると……ぬるり、とわたしの身体に、誰かがまとわりついてきた。
「キリエ……ここがわたくしと、キリエの愛の巣なのね……♡」
「め、メドゥーサちゃん……」
紫髪の美女、メドゥーサちゃんがわたしに抱きついて、頬にチュッっとキスしてくる……!
「婦女子が淫らに、キスなんてしてはいけません!」
「あら、お堅いのねキリエ。愛し合ってるならキスくらい日常の挨拶でしょ?」
「子供の教育に悪いことはきんし!」
わたしは離れるも、メドゥーサちゃんがつきまとってくるー! ぎゃー!
『なんじゃ……このものも、魔王種ではないか!』
樹木王さんは鑑定スキルを持っている。
だから、メドゥーサちゃんが魔王種だってことにいち早く気づいた。
「カイ・パゴスで色々あって、仲間になりました……」
「キリエの愛人、メドゥーサ・サンティラよ」
愛人じゃあない……!
「おのれメドゥーサ! キリエ様から離れろ!!!!!」
犬耳フェンリルのチャトゥラさんが、文字通りかみつこうとする。
けどメドゥーサちゃんはツンッ、とそっぽを向く。
「わたくしをその名で呼んで良いのはキリエだけ」
どうやらメドゥーサちゃんは、過去の自分の名前を呼ばれたくないらしい(わたし除く)。
それだと仲間たちが困るからと、わたしが新しい名前を付けたのだ。
メドゥーサ・サンティラ。
「サンティラ……聖十二支のひとりではないか!」
かつて聖魔王エレソン様の配下で、強い力を持つ12体の魔物、聖十二支。
サンティラっていうのは、聖十二支のひとりで、エレソン様が死んだ後、森を出て行った魔物の一人だったらしい。
サンティラさんの娘さんが、メドゥーサちゃんだったんだって。
だから名前を受け継がせることにしたの。
「このメドゥーサ・サンティラ。キリエの愛の守護者として、この森で暮らしてやることにしたわ」
それと……。
「わしも暮らすぞ」「おらもー!」
ドワーフのガンコジーさん、トロルのデッカーちゃん。
そして……ドワーフ、トロルの若者たち数名。
『なんじゃこの者たち?』
「カイ・パゴスのドワーフとトロルたち。国を出てみたいって若い子たちが、ついてきたの」
『ふぅむ……なるほど。また信者を増やしてきたってわけじゃな』
だから、信者って……。
わたし神じゃないんだけどなぁ……。
ああ、ごめんなさい、偉大なる我らが神、ノアール様……。
『ねえちゃんおいらおなかすいたー』
まあ……ノアール様は寛大なお方だったときく。
きっと赦してくれるわ。
「そうね、じゃあ……ごはんにしましょうか」
こうしてわたしは、新しい仲間とともに、故郷へと帰ってきたのだった。
【★読者の皆様へ】
これにて2章完結です。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
キリエの物語はまだ続きますが、一旦ここで区切らせていただきます。
3章開始は少々お待ちくださいませ。
ここまでで
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