87.全て元通り
《キリエSide》
腐姫こと、メドゥーサちゃんに説法できた。
暴走していた彼女の心を、ノアール神さまへの祈りの力で鎮めることができた。
わたしたちはカイ・パゴスの大地へと戻ってきた。
「さ、帰りましょ。皆が出迎えてくれるわ」
「…………」
メドゥーサちゃんがふるふる、と首を振る。
「無理だよ……キリエ……わたくしは……この国のみんなに酷いことをした」
ああ、やっぱりわるい子じゃなかったのね、メドゥーサちゃん。
自分のしたことを、しっかり反省してる。
そんな子が悪い子なわけがない。
「大丈夫よ。ちゃんと謝れば許してくれるわ。わたしも一緒に謝ってあげるし!」
「でも……この国の土地……もうボロボロで……」
たしかに、リョウメンスクナを呼び出すときに、大地のエネルギーを使ったことで、今この国は死にゆく運命にあるわ。
「でも大丈夫。神に祈れば問題解決だわ! さ、一緒に祈りましょ……?」
「キリエ……うん、わかった」
なんだか幼くなった気がする。
メドゥーサちゃん。
元々子供だったのね。
力を得ておっきくなったけど。くま吉君と同じパターンかしら。
「さ、一緒に神にお祈りしましょう。神に、一生懸命言うの」
「う、うん……わかったぞ……キリエ……神……」
ん?
なんかまた誤解を生んでるような……だ、大丈夫よね?
「神さま、どうか力をおかしください。この国の人たちの暮らす、大地を、癒やしてくださいませ」
「お願いします……キリエ神様!」
ん?
んんぅ……!?
また、間違ってるわ……!
さすがに神さまも怒ってしまうような……。
ピッカァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
「キリエから凄い光が……!」
の、ノアール様ちょっと寛容すぎません……?
みんなあなた様のおかげって思ってないわよ!?
いいの!?
目を開けると……。
そこには、青々とした緑がどこまでもひろがっていた。
さっきまで分厚い雪雲に包まれていた空には、いっぺんの曇りもない。
「す、すごい……! すごいわキリエ! 死滅しかけていた国土を、治しちゃうなんて……! ああ、すごい……素晴らしいわ……!」
しゅるん、とメドゥーサちゃんがわたしに絡みついてくる。
長い手足を使ってわたしの体を抱きしめ……ひゃっ!
「や、ちょ……舐めないでっ!」
「ああ……キリエ……キリエ……好き……♡ 好き……♡」
「あ、ありがとう……でもひぅ! な、舐めるのはやめてぇ~……」
巻き付かれた状態でペロペロされるわたし!
ひぃい……こんなとこ誰かに見られたら……。
『『『キリエ様ぁーーーーーーー!』』』
サイアクのタイミングで、みんなきたー!
どどどど! とくま吉君たち森の魔物さんたちと、ドワーフさん達がやってきた!
『『『…………』』』
「あ、えっと……これには訳が……」
わたしは見知らぬ女性に抱きつかれて、ペロペロ好き好き♡ されている状態だ。
それを見てみんなは……。
『『『おじゃましました~』』』
「まって! 帰らないで! 助けて! あー!」
まあ何はともあれ……。
これで、カイ・パゴスでの騒動は一段落したのだった。
【☆★新連載はじめました!★☆】
タイトルは――
『追放された最強の結界師は嫁とのんびり旅したい~弱すぎる味方に結界を張ってたのに、自分が強くなったと勘違いした勇者に追放された。結界が永続じゃないと気づいて土下座しても遅い、俺を溺愛する幼馴染と旅してる』
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