表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/196

82.大いなる祈り



 リョウメンスクナとなった魔王の一人、腐姫くさりひめ

 彼女がわたしたちを襲ってきたそのとき。


 アニラさんを含めた、森の民がやってきた。

 でもアニラさんひとりでは暴走する腐姫くさりひめを止めることはできない。


 そこで……


「キリエ様、具体的に、大祈祷とはなにをするのですか?」


 仲間の一人、聖十二支デーバのチャトゥラさんが尋ねてくる。


「みんなで手をつなぎ、ともに心を一つにして、神に祈りを捧げるの」

「手を……つなぐ。それだけですか?」

「ええ、それだけよ。でも二人で祈れば二倍、三人で三倍、四人で……と増えればそれだけ、祈りの力が増すの」


 天導教会の大聖女さまがやっていたのを見たことがある。

 聖女様が信者の方と手をつなぎ祈ることで、砂漠に雨を降らしたことがあった。


 大祈祷は人数が多ければ多いほどいいのだ。


「さ、みんな手をつなぎましょう。そして……腐姫くさりひめの暴走を止めてくださいと、神に祈るのです」


 わたしにできることは、祈りを捧げる、それだけだ。

 神の力を使って暴れるリョウメンスクナ、もとい腐姫くさりひめを止められるのは……。

 よりつよい、ノアール様……つまり、神の力だけ。


「わかりました……みな! 手をつなぐのです! そして、祈りを捧げましょう!」

『『『おう!』』』


 森の民たちがうなずく。

 そこへ……。


「キリエの嬢ちゃぁああああああああああん!」

「イッコジーさん! ドワーフの皆さん!」

「騒ぎを聞きつけて参上したでー!」


 ドワーフ、そしてトロルのみなさんに、わたしは簡単に説明する。

 

「我らトロルも協力しよう」

「わしらドワーフもじゃ。ともに、手を取ろうぞ」


 トロルの代表キョシーンさん、そしてガンコジーさんがうなずく。

 トロルも、ドワーフも、そして森の民たちも。


 みんなが手をつなぎ……今、心を一つにする。


「目を閉じて……神に祈るの。わたしとともに、神に!」

『『『はい!』』』

「どうか、我らをお救いくださいませ! 偉大なる神……ノアール様! はい!」


 復唱するように、みんなに言う。

 彼らはうなずいて……。


『『『どうか、我らをお救いくださいませ! 偉大なる神……キリエ様!』』』

「ち、ちがぁあああああああああああああああああああああう!」


 ちがうちがう、名前ちがう!

 ああ、なんてことだわ!


「何で名前間違えるの!? 心を一つにしてっていったよねわたし!?」


 そのときだった。

 ピッカァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!


『『『『きたぁああああああああああああああああ!』』』』

「なんでなの……!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 全然心を一つにしてないんですけど!?

 どうして大祈祷が成功するの!?


『うぉお! すげえ!』『なんだありゃ!?』『で、でっかーい!』


 いったい何が起きてるっていうのかしら……。

 わたしは、恐る恐る目を開ける……。


「え……?」


 ……そこには、空が広がっていた。


「空の上に転移したの……? いや、なんかちが……え?」


 わたしの目の前には、リョウメンスクナがいた。

 いや、ちがう。


 すぐ、目の前にいるのだ。


「え、お、おかしいわ……だって、リョウメンスクナって……超巨大な……巨人だったような……」


 それがどうして、同じ目線にあるんだろう……。

 

「キリエ……!」

「アニラさん……って、えええ!? あ、アニラさん!? どうしてちっちゃくなってるの!?」


 わたしの前に、暴虐竜アニラさんがやってきた。

 でも……おかしいの。


 すごいちっちゃいの。

 まるでくまのぬいぐるみみたいなサイズ感……。


「キリエ! ちがうぞ! オレ様がちっちゃくなったんじゃあない!」


 びしっ、とアニラさんが尻尾で、わたしをさして……。


「キリエ、おまえがでっかくなったんだ!」

「え……?」


 ま、まさか……わたしがでっかく……?

 周りを見渡す。


 ……足下に、なんかちっちゃい、チャトゥラたちがいた。


『姉ちゃんでけー!』『ぴゅいい! きょじんだー!』『ひかりのきょじんだー』


 ……わたしの体が、微妙に発光してる。

 そして、ものすごくでっかくなっている……。


「え、ええええええええええええええええ!? わたし……でっかくなっちゃったのぉ!?」


【★新作の短編、投稿しました!】


タイトルは――


『最強【結界師】の気ままな新婚旅行〜弱すぎる味方に最強結界を施してたのに、自分が強くなったと勘違いした勇者に追放された。効果が永続じゃないと気づいても遅い、俺を溺愛してくれる幼馴染と旅してる』


ページ下部↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!

リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。


https://book1.adouzi.eu.org/n0188ig/


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ