73.湖まっぷたつ
わたしたちはトロルたちの住処、マナカ湖へとやってきた。
けれど……。
「すみかというわりに、トロルさんたちいないわね」
「おかしいな……父ちゃんたち、湖の周りに、キャンプしてるのに……」
どうやらトロルたちは、ドワーフとちがって、建物を建てることができないらしい。
建築技術がないので、仕方なく、湖の周りでキャンプして過ごしているそうだ。
洞窟を根城にすればいいのにっておもったけど、トロルは体が大きいから無理なのかもね。
「父ちゃん達……どこいったのかなぁ……」
デッカーちゃんが不安そうにつぶやく。
そんな顔をしてるデッカーちゃんを、見てられないわ。
「ちょっと待っててね、祈ってみるから」
『また姉ちゃんが何かやらかす?』
「またって……くま吉君、わたしが何かやらかしたことってあった?」
『姉ちゃんってほんと天然だよねー』
び、微妙に馬鹿にされてるような……。
まあいいわ。
わたしは目を閉じて祈りを捧げる。
ノアール神様、どうか、デッカーちゃんのお父さんの居場所をお教えください……。
その瞬間、まぶたの奥に光を感じる。
目を開けると、空へ向かって光の柱が伸びていた。
「デッカーちゃん、あっちよ! 湖の反対側に、お父さんがいるわ!」
「! ほ、ほんとだべか……?」
「ええ、ノアール神さまに、間違いはないわ! みんな、いきましょう!」
こくんとうなずく、みんなたち。
だがガンコジーさんが手を上げて意見する。
「嬢ちゃんよ、あんたが指し示したのはほぼ湖の向こう側だ。この湖はわりあいひろい、迂回してたらかなり時間がかかるぞい」
たしかに……マナカ湖は広いわ。
迂回していたらかなり時間かかりそうだし、その間に移動してしまうかも。
「あたちとべるよー!」
『ぐーちゃんもっ!』
妹鬼のひいろちゃんと、グリフォン子供のぐーちゃんが空をパタパタ飛ぶ。
ひ、ひいろちゃんいつの間に翼が……。
「でも大半の子らは空を飛べないわ」
こまったときは……神に祈る!
わたしは祈りを捧げる……。
すると……。
ずおおおおおおおおおおおお……!
『ね、姉ちゃん大変だ! 湖が! 湖が割れてるよう!』
え、えええ!?
そんな馬鹿な……。
うっすらと目を開ける。
すると、大きな湖が、わたしのたっているとこから左右に、割れたのだ!
「す、すごいだべ! こんなでっけー湖が、左右に割れて、歩けるようになってるべー!」
さ、さすが……ノアール様!
うん、ノアール様すごい! すご……すぎる!
湖までまっぷたつ……なんて!
ちょっとこれやりすぎじゃ……いや!
神さまのやることに、何を否定しようとしてるのわたしっ。
ノアール様がすることは全て正しい!
湖を割ったのも、まっすぐ歩いて行きなさいと言う、神のメッセージよ!
「い、いくわよみんな!」
『『『おー!』』』
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