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67.天然おふろ



 わたしたちはフェフキの街へとやってきている。

 ここで一泊することになった。


「うう、お風呂……」


 ここはイッコジーさんがギルド長をつとめる、銀鳳ぎんおう商会のギルドハウス。

 泊まるお部屋を用意してもらった。


 かなり広い部屋でわたし、デッカーちゃんが泊まれる。

 ちなみに魔物さんたちにもお部屋を用意してもらった。


 妹鬼のひいろちゃんは、くま吉君と同じ部屋にとまるらしい。

 仲良いんだあの二人。


「どうしたんだべ、キリエ様?」


 元トロルの少女、デッカーちゃんが首をかしげる。


「お風呂入りたい……」

「お風呂なんて三日くらい入らなくても大丈夫だべ?」


 なん……だと……!?


「何言ってるの! デッカーちゃん!」

「うぉっ! き、キリエ様……今日一声がおっきーべ……」

「女子がお風呂に入らないなんて、信じられないわ!」


 全世界の女子はお風呂好きだと思っていたのだけども!

 デッカーちゃんはちがうみたい。あり得ない!


「お風呂なんて入らなくても死なないで……」

「死にます!」

「なにが?」

「魂的なサムシングが!」

「へ、へえー……綺麗好きなんだべな、キリエ様って」


 そうかしら?

 別に綺麗好きじゃなくて、お風呂に入れないのが耐えがたいのよね。


 王都に居た頃には公衆浴場があったし、奈落の森(アビス・ウッド)には天然のお風呂があった。

 でも……ここは雪の国。


 お風呂なんて……ないわよね。

 はあ……お風呂は入れないの辛い……。

「なんでそんなお風呂好きなんだべ?」

「というか、身を清めておきたいの。ノアール神に仕える女として、常に体は清めておかないとね」


 聖女は神の使い、体は綺麗にしておかないといけない。

 だらしないと、神さまの威厳を下げてしまうからね。


「なるほど……キリエ様は神さまなのに、神さまのこと気にするんだべな」

「神さまじゃ無いけど、女子なら毎日お風呂に入らないとだめよ。ノアール様も言っていたわ、『風呂は命の洗濯だ』ってね!」


 ノアール様の教えは、経典として残っている。

 その中に、お風呂のエピソードがあって、そこにさっきの格言が残っていたのだ。


「お風呂が無いなら、しかたない……」


 わたしはギルドハウスから出て行こうとする。

 入口にて。


「なんやキリエの嬢ちゃん、どこいくんや?」

「ちょっと外にいこうかなと」

「なんでや?」

「水ごり」

「ちょっとまてやぁああああああああああああああああああああ!!!」


 イッコジーさんに腕を捕まれてしまった。

 どうしたのかしら?


「今あんたなんつった!? 水ごり!?」

「うん」

「あの、祈祷の前に水に入って身を清める、あれ!?」

「はい」

「おま……馬鹿ちゃうんか!?」


 ま、また馬鹿って言われた~……。

 ええ~……?


「きりえさまー、まってー」


 とてて、とデッカーちゃんが追いかけてきた。


「どうしたんだべ?」

「このアホがこのクソ寒い中、水の中入ろうとしてたんや」

「えええ!? キリエ様どうかしちゃったの!?」


 ど、どうかしちゃったって……。

 ええ……?


「そんなに変かしら……」

「へんちゅーか、死ぬわ、普通に。外尋常じゃ無いくらい寒いんやで?」


 確かに窓の外では猛吹雪がおきていた。

「確かにちょっと寒そうかも」

「ちょっとやあらへんわ! ったく……なんやこの子、天然なんか?」

「て、天然……?」


 そうなの……?

 今まで、森の仲間達は、みんなそんなこと一言も言ってなかったのに……。


「そりゃ森の民もみんな天然やったんやろうな」

「驚愕の新事実だわ……」


 さて。


「なんや風呂入りたいんか? なら、言うてくれや」

「でもお風呂なんてあるの?」

「あるで! 大浴場が、このギルドハウスにはあるんや!」

「まあ……! それは素敵ねっ!」


 お風呂に入れる~。

 やったー!


「案内するわ」

「お願いっ。あ、そうだ、行く前にくま吉君たちのもとへ寄ってっていい?」

「? かまへんけど……」


 わたしたちはくま吉君のお部屋まできた。

 ぬぅ……と部屋からくま吉君+ぐーちゃんひいろちゃん、スラちゃんが現れる。

『どうしたの姉ちゃん?』

「このおうち、お風呂あるんだって。入る?」

『はいるー!』


 ぬぅ、とくま吉君が姿を現し、みんなでお風呂へと向かう。

 廊下を歩いて行くと、大きな扉の前までやってきた。


 青いのれんと、赤いのれん。

 王都の公衆浴場でもよく見たわ!


「すごい……個人の建物のなかに、お風呂があるなんてすごいわ!」

「やろ? ドワーフは手先が器用やからな、自前や」

「すごいわ……さすがドワーフさん」


 お風呂って結構貴重なのよね。

 お湯を沸かす魔道具ってあるけど、高いし。


 だから王都では公衆浴場が基本だった。

 小さな村では、風呂釜に水を張って、魔法を使える人が沸かすらしいけど(それはそれで大変だから、毎日お風呂入れないんだって……)


「じゃ、入りましょう」

『『『はーい!』』』


 くま吉君たちが後に続いて……。


「ちょっ、待てや嬢ちゃん!!!!」


 イッコジーさんがまたつっこっみを入れてきた。


「え、なに? こいつらも一緒の風呂はいるんか!?」

「? ええ。何か問題でも?」

「大ありや! そこの熊は雄なんやで!?」

「? えっと……だから?」


 だからって……とイッコジーさんが唖然としてる。


「いつも一緒にはいってるんか?」

「ええ」

「お、男に裸見られてはずかしくないんか?」

「やだなぁ、くま吉君たちは魔物さんよ? 人間の男の子じゃないから、別に恥ずかしくないわ」


 まあチャトゥラさんやイオン司祭に見られるのは、恥ずかしいけど。

 相手は可愛い熊ちゃんやグリフォンちゃんなのだ。


 見られても別に……ね?


「せやかて、男や! オスは男湯! わかった!?」

『はいよー。じゃあねねえちゃーん』


 そういって、くま吉君、ぐーちゃん、そしてスラちゃんが男湯に入っていく……。


「あいつら全員オスだったんかい! 特に鳥とスライム!」

「ええ、それが?」

「いや……普段からおす三匹を侍らせてたんやなって……」


 だからなんなんだろう……?


「キリエの嬢ちゃん、あんたって……すんごい、天然さんなんやな……」

「え、ええ……? そうかな……」

「せや。悪いな馬鹿とかいって、あんたは馬鹿ちゃうわ、とんでもないド天然さんや」

「そ、そうなのね……」


 いまいち二つの違いがわからないんだけど……。


「と、とりあえず風呂入るべ! なっ?」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] すらちゃんなんとか女王だから雌じゃ。 ぐーちゃんもどっかで娘って書いてたよ。息子ともあったけど。 流石に登場人物の性別はちゃんとしてほしいなぁ。
[一言] たぶんスラちゃん、ノリで行ったんでしょうね……
[気になる点] スラちゃんはクイーンのはずよね?
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