56.方針はカチコミで
《キリエSide》
わたしは氷の国カイ・パゴスへとやってきていた。
この国は腐姫っていう酷いひとによって、被害を受けているらしい。
こまっている山小人、そしてトロルたちのために、腐姫に説法しにいくことにしたのだった。
「さ、いきましょう」
『カチコミだー!』
「いや違うから……説法だから」
『『『カチコミだー!』』』
くま吉君のノリに、みんなついて行くようだわ……。
違うの、カチコミじゃなくて、説法。
暴力的じゃなくて、平和的な解決をですね……。
まあいいわ。
くま吉くんたちが洞窟の外に出る……。
『うっひー! 吹雪で前がみえねーや!』
びょおびょおと吹きすさぶ氷雪に、視界が塞がれている。
「どうする嬢ちゃん? 吹雪が止むのをまつかい?」
ガンコジーさんがそう提案してくるけど、わたしは首を振る。
「いえ、こまってる人たちがいるの。一刻も早く助けてあげなきゃ」
「でもどうすんだ……?」
わたしは祈る。
天に召します我らがノアール神様。
どうかこの……
『あー! みて姉ちゃん!』
どうかこの吹雪を……
『ねえちゃんってば! ねえ!』
「どうしたのくま吉くん……って、吹雪が止んでる!?」
さっきまでの猛吹雪はどこへやら、そこには雲一つ無い青空が広がっていた!
あ、あれぇ……?
「おかしいな……まだノアール神様に祈りが終わってないような……」
『さっすが姉ちゃん! あの吹雪をとめちまうたぁ、仕事が早いね!』
「え、ええ~……ち、違うんですけど……」
ま、まあ……多分ノアール神様が、察してくれたのね。
うん。
ありがとうございます、ノアール神様。
あなた様はいつも、神の使徒たるわたしの行いを見守ってくださっている。
わたしのような下等な人間の思考など(祈りなど)、祈らずともわかる、そういうこと……。
……よね? うん。
『うっしゃー! いこうぜ姉ちゃん!』
「れっつらごーなの! おねえちゃん!」
くま吉君の上には、わたしと妹鬼ひいろちゃんが載っている。
その後ろから、ぞろぞろと大灰狼たちが着いてくる。
ガンコジーさんとデッカーちゃんは、大灰狼たちの背中に乗っている。
ぞろぞろと獣たちが進んでいく。
「これからの方針を決めておきましょう」
腐姫を説法する、とはいったものの……。
「腐姫ってどこにいるのかしら? 知ってる、ガンコジーさん」
「やつめはおそらく、このカイ・パゴスの王都、カイの街にいるだろう」
「ここからどれくらい?」
「徒歩だと数日はかかるな」
ふむ……なるほど。
結構な距離があるわね。
「この雪の中野営するのは自殺行為でしょうし……途中途中で街によりながら、カイの街を目指しましょう」
「それがいいじゃろう。しかしは腐姫の配下である、不死の軍勢どもが占拠してるな」
「なら、その軍勢たちを、祈りをもって元に戻しましょう」
神に祈れば、大抵何とかなるものだものね。
『よーするに! 敵のアジトへ向かいながら、途中で出会った敵の部下達を、ねーちゃんがカチコミするってことだな!』
「や、だから違うって……」
『『『カチコミだー!』』』
ああもう! 暴力反対なんだってばー!
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