192.太陽の結界
逢魔と相対するわたし。
結界を自在にコントロールする術を手に入れている。
「死ねぇええええ!」
逢魔から闇が吹き出す。
わたしは、わかる。その闇が、彼が作り出した闇の獣からも吹き出してるということを。
この星、大地、そしてそこにすまう隣人達を飲み込もうとする。
……卑怯な人。わたしに真っ向勝負でかなわないからって、わたし以外を攻撃しようとするなんて。
「無駄です!」
わたしは、両手を広げる。
今までは祈っていた。でも、今は違う。
わたしは人々を救うもの。
手を組むのではなく、差し伸べるもの。
「【浄化】!」
わたしの翼から七色の光が発生。それは光の柱となって、天をつく。
光の柱は空に浮かぶ大いなる太陽に一瞬にしてとどき、その光がこの星全体を覆う。
太陽を媒介とした、浄化の光の拡散。
光は闇を焼き払う。
この地にすまうものたちを、聖なる光が守る。
それだけじゃあない。
「いぎゃぁあああああああああああああああああああ! やけるぅううううううううううう!」
邪悪なるものが痛みと苦しみでもだえている。
……わたしは、少し心が痛んだ。やはり暴力は苦手だ。
……でも、時には戦わないといけないのだ。
「終わりです、逢魔! わたしの光は、太陽がありつづけるかぎり、この星と、そこに住む人たちを守り続ける。あなたの力は、もう通用しない!」
太陽を媒介にした、超結界。
わたしには、わかる。この結界が人々の住まう場所全てに、構築された。
もう闇のものは、人々に傷一つ付けられやしない。
逢魔の、人類を恐怖と力で縛り付ける計画は、今ついえたのだ。
「大人しく降伏しなさい!」
「くそがぁ! おれに命令してんじゃあねえええ! こうなったら……最後の手段だぁ……!」




