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191.守るための力



 皆の元へ戻ってきた、わたし。

 相対するのは闇を操る逢魔。


「調子にのるなよ! おれが……神だぁ……!」


 逢魔の体から闇が吹き出す。


「逃げろ、キリエ!」


 アニラさんが倒れた状態で言う。


「あの闇はすべてを消し去る! 触れたらやばい!」

「ありがとう、でも、大丈夫です」


 吹き出した闇がわたしに向かって、津波のように押し寄せる。

 けど、わたしの体を闇が飲み込むことはない。


「なっ!? 結界だと!? バカな……ノーモーションでここまで強力な結界を作るなんて!」


 わたしにとって、結界構築は、もう息をするかのごとく自然にスムーズに行える。

 そしてこの結界は、聖なる結界。


 ノアール神さまの持つ力と、わたし本来の神の力。

 二つの神の力を編み込まれた、超硬度な結界だ。


 闇になんて……飲まれない!


「だ。だからなんだっ! おまえは所詮、守ることしかできない……ぶげええ!」


 逢魔が吹っ飛ばされる。

 わたしの周囲には、無数の、半透明の球体が浮かんでいる。


「まさか……結界だと!?」

「ええ、そうです。結界を攻撃に転用させて貰いました」


 球体状の結界が無数に集まる。さながら、細胞のように。

 それが組み合わさって、巨大な腕に変化した。


「神の、見えざる手です!」


 ぎゅっ、と拳を握ると、神の手は勢いよく逢魔を殴りつける。

 逢魔はぶっ飛んでいくと、地面にたたきつけられる。


「なんて……パワー……。まさか、結界にこんな力があるなんて……」


 わたしは逢魔を見下ろしながら言う。


「わたしは気づきました。か弱き者を守るためには、守っているだけではいけないと」


 時には、戦うことも必要だと。


「わたしは……戦います。か弱きものを、守るために!」

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