190.格の違い
上空にて、逢魔とわたしは相対している。
この世界に不幸をばらまくこの男を、わたしは決して許せない。
「はっ! 勝負ぅ? キリエさんよぉ、あんた暴力が嫌いなんじゃあなかったのかい?」
にやぁ……と逢魔が笑う。
「殴れるの? おれのこと……ぶぎゃああ!」
わたしは転移して近づいて、逢魔の顔面に一発いれる。
逢魔は凄い勢いでぶっ飛ばされる。
どごぉおん!
と、封神の塔まで飛んでいった。
わたしには、わかるのだ。やつがどこへ飛んでいったのか。
一瞬で転移する。
「「「キリエさま(姉ちゃん)!!!!!」」」
アニラさんや、くま吉くんたちが傷だらけの状態で倒れてる。
……みんな、ごめんね。わたしのせいで、悲しませ、苦しませてしまった。
治してあげなきゃ。
ぽわ……とくま吉くんたちの体が光り輝く。
『あったけえ……』
『ぴゅいい……』
すぐに傷が治る。わたしはもう、力を使うのに祈る必要はない。
祈りとは……魂の所作。
わたしはもう、何もしなくても、ただここにいるだけで力が使える。
祈る必要は、ない。わたし自身が神であり……そして、ノアール神さまへの感謝の念は祈らずとも伝えることができるのだから。
「ち、くしょぉお……なんだ、このパワー……ありえないだろぉお!」
逢魔が立ち上がる。
こいつの傷はなおしてやらない。
「さぁ、立ちなさい。そして挑むがいいです。格の違いを……見せてあげますよ!」




