表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
183/196

183.生きてる



 森の民達は、一瞬何が起きたのか理解できなかった。

 目の前で愛しき聖魔王が倒れている。


 切断された首から流れ出る赤い血を見て……。


「キリエ様!」


 誰よりも速く動いたのは、彼女の眷属、わんこだ。

 魔物の子供らはまだ事態を飲み込めていない。が、大人であるわんこはすぐに、危機を察知して動いたのである。


「ねえ……ちゃん?」「ぴゅい……そんな……」「うそだ……」


 わんこはすぐにキリエの死体に近づく。

 完全に事切れているキリエを見て、わんこは絶望する。


 だが、すぐにきゅっ、と唇をかむと、ドワーフが作った魔道具マジックアイテムを取り出す。

 それは、モノを収納する特殊な布だ。


 ばさっ、とわんこは布を広げて、キリエの死体を回収。


「かぐや様! 撤退しましょう!」


 かぐやとゆらがうなずく。

 魔物の子供らはわんこが抱きかかえる。


「まあいい、逃がしてやる。今は気分がいい!」


 逢魔は愉快そうに笑う。

 彼の目的である、邪魔者きりえの排除はすんでいるからだろう、撤退を引き留めようとしなかった。


 逃げながら、わんこは涙を流す。

 キリエが死んでしまった……聖十二支デーバたち、森の民たちになんといえばいいか……。


 この子供らにも……。

 ふと、わんこは気づく。


 子供達が泣きわめいていないのだ。

 大好きなキリエが死んだというのに。


「くま吉、大丈夫でさぁ?」


 キリエが連れてきた魔物の子らの中で、一番の年長者である、くま吉に尋ねる。


「え、大丈夫だよ! だって……ねえ!」

「ぴゅい!」「きりえさまー」


 ……子供達がなぜか泣いていない。

 虚勢? いや、違う。


 この子供らには、自分が見えていない何かが見えているようだ。

 いったい何が……?


 そんな風に考えながら、封神の塔の出入り口まで到着する。


「わんこ!」

「アニラ様!」


 キリエの左腕、ドラゴンのアニラが、空から降ってきたのだ。


「キリエはどこだ!? 急に、キリエとの魔力経路パスがキレたぞ!?」


 アニラがわんこの肩を揺する。

 

「キリエ様は……死にました」


 端的に、わんこは状況を報告する。

 アニラはその場にへたり込んでしまった。


「またか……またかよぉ……おれは……また、大事な人を……守れなかったのかよぉ……」


 アニラは先代聖魔王を守れなかった苦い経験があるらしい。

 アニラも魔物のこらと同様に、キリエを愛していた。


 愛するモノを失い、悲しいという気持ちはわんこも同様だ。

 じわり……と目に涙が浮かぶ。


「ないちゃだめだぜ!」


 肩に乗っていたくま吉が、ぴょんっと飛び降りる。


「姉ちゃんは……生きてる!」

【★大切なお知らせ】


新作投稿しました!


『 天才魔道具師リタは、氷の国の王子に溺愛される〜家族から召使のようにこき使われ、姉に手柄を全て取られていた私、王子様に才能を見出され求婚される〜』


広告下↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!


リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。


https://book1.adouzi.eu.org/n9799jl/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ