181.虚像
……ノアール様。わたしの、信じていた偉大なる神様。
どんな人にも優しくして、慈悲深く、素晴らしい御方……。
でもそれは、嘘だった。
わたしの信じたノアール様……虚像だった……。
「あ、れ……」
すとん、とわたしはその場に膝をつく。
体に……全然力が入らない……。どうして……?
「ひゃはは! 魔王種はやる気なくしたようだなぁ……! やはりこの作戦は効果的のようだなぁ!」
……駄目。逢魔が、来る。きっとわたしたちを傷つけようとしてくる。
守らないと。祈りの……力……。
祈る……?
誰に……?
信じていた神は、邪悪の化身だったのに……?
「さぁ死ね女ぁ……!」
逢魔が両手を広げる。
瞬間、両手から炎の球が出現。
「火炎連弾ぉ!」
ズガ!
ズガガガガガガガガガ!
巨大な炎の球が分裂し、無数の弾丸となって、わたしたちに降り注ぐ。
だめ……結界を……。
「結界……! え?」
うそ……やだ!
結界が張れない……そんな、どうして!?
『うわわわあ!』『ぴゅぃいい! やられるぅ!』『きりえさまをまもれー』『まもれーい!』
だめ……! 魔物の子供達を守らないと!
守らないとだめなのに! どうして……!?
ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
「ひゃっは、死んだかぁ……?」
……。
…………痛みは、ない。
目を開けると、そこにはかぐやさんとゆらちゃんがいた。
「撤退じゃ、キリエ!」
「きりえさまは、ゆらが守る……!」
二人が怪我してる!
治さないと……。治癒の力を……。
……だめ。
全然体に力が入らないわ。
「逃がすかよぉ! 風刃!」
風の刃がわたしに向かって襲いかかってくる。
ざんっ……!
「キリエ!」
『『『おねえちゃん……!』』』
皆が青ざめた顔でわたしを見ている。
どうしたんだろう……?
あ、あれ……?
わたしの体が、目の前にある。どういうこと……?
どんっ、とわたしは顔から地面に激突する。
首のないわたしの体を見て……。
わたしは、逢魔の攻撃で、首を切断されたのだと気づいた……。
『『『おねぇちゃぁあああああああああああああああん!』』』
……そうか。
わたしは、首を切り落とされて、死んだんだ……。
「ひゃはは! やっぱりこの【体】は最高だなぁ……! ただ、【元の持ち主】と比べると出力が下がるのが難点だが……まあ許容範囲だぜぇ!」
……逢魔が邪悪に笑ってる。
体……?
元の、持ち主……?
……わからない。もう、何もわからない、信じられない。
わたしの、信じていたものって……いったい……なんだった……の……。
【ちっ……。ったく、めんどくせえことになってやがるじゃあねえか。くそ】
【でも助けるんすよね?】
【しゃーねーだろ。俺のファンが、死にかけてるんだからよ】
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