177.決意
かぐやさん、および迷宮都市の皆さんに迷惑をかけていた相手、逢魔。
……逢魔。
その名前を聞いた瞬間、わたしは忘れていた記憶を取り戻す。
……逢魔。その人は、わたしの仲間を傷つけ、酷い目に遭わせてきた人物。
その人物に怒りを覚えたわたしは、激しい怒りを覚えた。そして……力を暴走させてしまった。
その後、力を暴走させたことを忘れて、今に至っていた……。
『姉ちゃん、大丈夫?』
くま吉くんがわたしを心配そうに見ている。
……いけないわ、子供らを不安にさせてしまった。
わたしは立ち上がり、ニコッと笑う。
「大丈夫よ、くま吉くん。他人を思いやれるなんて、かっこいいわ」
『えへー♡ でしょでしょ~!』
……くま吉君が笑顔になる。良かったわ。
……それにしても、逢魔。
カレ? 彼女? はいったい何が目的で、酷いことばかりをするんだろう。
どうして他人を傷つけるのだろう。
わたしと同じく、強い力を持っているのに。
どうして、他者のためにその力を分けてあげないのかしら? どうして、他人を傷つけることに使うのだろう。
……わからない。
でも、これだけはわかる。
逢魔は放っておくと、また別の場所で不幸をばらまくであろう。
なら、わたしは。
神の使いたるわたしがすべきことは一つ。
神の力を持って、悪なる存在を矯正する。それだけだわ。




