168.デュラハン
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
「キリエ様。魔物がおりまさぁ」
迷宮内を歩いていると、わんこさんがそう言ってきた。
魔物さん……そうだ、ここはダンジョンなんだ。
魔物さんが居てもおかしくはないわ。
「どういたしやす? 敵は排除……」
「何を言ってるの、わんこさん? 魔物は敵じゃない。そうでしょう?」
魔物も人も、心のある生命。
魔物だからと言って、敵だと断じ、攻撃するなんてもってのほか。
「そうでしたね……すみません……」
「いえ、ありがとう。あなたは、わたしを守るために言ってくれたのでしょう?」
「はい……」
わんこさんは別に、戦いが好きな人ではない。
わたしや魔物の子供たちを、守ろうとしてくれてのこと。
非難するつもりも、しかりつけるつもりもないわ。
さて、魔物さんね。
「とりあえず、話し合いでしょう」
「ですが、攻撃してきた……?」
すると魔物の子供達が、どや顔でいう。
『わんこねーちゃんわかってねーなぁ』
『ぴゅい、しろーと』
『きりえしゃまバリアーがある』
『ムイムイ! ばりあー!』
ノアール様の加護なのだけども。
子供達は、どうにもわたしの力だと勘違いしてるのよね。まあ、しょうがない、子供だから。
「さ、いきましょう」
わたしが通路を進んでいくと……。
「…………」がっしゃん。
鎧騎士が、そこにいた。
けれど、その子に頭が、本来の位置に着いていない。
「デュラハンでさぁ」
『でゅ、ら?』
『でゅらら?』
『でゅらららら?』
子供達が言いにくそうにしてた。
デュラハンさんがこちらに気づいて、近づいてくる。
わんこさんが前に出る……が。
わたしが彼女の肩に手を置いて、先んじて、前に出る。
「こんにちは」
「…………」がっしゃん。
デュラハンさんは、わたしをじーっと見つめてくる。
「わたしはキリエ・イノリ。奈落の森から来ました。勝手に入ってごめんなさいね」
「…………」がっしゃん。
デュラハンさんが1歩引く。
困惑してるのかしら。
ぶるぶる、と首を振る(首ないけど)と、片手で持っていた剣を振り上げる。
「キリエ様!」
わんこさんが風の爪で攻撃しようとする。
「攻撃してはなりません!」
わんこさんが、攻撃を辞める。
デュラハンさんの剣がわたしに襲いかかる……けど。
ぴたっ。
『と、とまった』
『はらはらしたぁ』
『ぴゅるる? どーして剣をとめたの?』
『ムイ! きりえしゃまに、おそれをなしたにちがいないっ』
いいえ、わたしはわかっている。
デュラハンさんが、優しい魔物だって。
「あなた、わたしたちを殺そうとしたのではなく、ここから、、追い払おうとしてた。そうね?」
「…………」がっしゃん。
デュラハンさんがうなずく(首ないけど)。
「ど、どういうことでさぁ、キリエ様?」
わんこさんはよくわかってない様子。
「この子……どうやら、門番みたい。誤って迷い込んできた侵入者を、追い払おうとしてたのよ。この先危険だからってね」
「な、なるほど……よくわかりましたね。心を読む力ですか?」
「そんなもの、使わなくてもわかるわ。この子が、優しい魔物だって」
悪い魔物なら、真っ先に弱い、魔物の子らを狙ってきたでしょうしね。
「…………」がっしゃん。
デュラハンさんがわたしの前で、深く腰を折った。
多分、切りつけたことを、謝ってるのだろう。
「気にしないで。ね?」
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