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167.のぼる



 わたしは魔物さんたちと一緒に、封神の塔へとやってきた。

 ここに居る、前の迷宮主さんを助け、そして今居座っている、わるい迷宮主さんに、説法するためだ。


『ムイ! ぼくきりえおねーちゃん、はこぶ! おやくたちまくり!』


 砂蟲サンドワームのムイちゃんが、わたしを載せて、階段を上っていく。


「自分で歩けるわよ」


 って言っても……。


『ムイ! ぼくおねーちゃんはこぶ!』


 と言って聞かないのだ。

 

『姉ちゃんは女の子だからよ、男の子としては、がんばりてーんだ。な、ムイちゃん』

『ムイ! くまきちのゆーとーり!』


 そう言えばムイちゃんとくま吉君は、どっちも男の子。

 仲良しさんなのね。


『ごめんよ、姉ちゃん。いつも乗っけるのはおれの役目なんだけど、階段登るのには、二足歩行じゃないといけねーからさぁ』


 いつも、くま吉君がおっきくなって、四つん這いになって、わたしを載っけてくれている。

 でもこの階段、くま吉君の体の構造だと、二足歩行しないと登れない。そうなると、わたしを載っけられないということだ。


 ちなみに、ムイちゃんはいくつも足がある。

 段差があっても、軽々と登っていくことができるのだ。


「いつもありがとう、くま吉君。今日はよろしくね、ムイちゃん」

『『おいさー!』』


 で、わたし、わんこさん、ムイちゃん、くま吉くん、ぐーちゃん、すらちゃんは、階段を順調に上っていく。


「キリエ様。止まってくだせえ。罠でさぁ」


 わんこさんが、犬耳を側立てながら言う。

 地面に耳を着けて、周囲を探る。


「あの階段に落とし穴があります。気をつけてくだせえ」


 少し入った先の階段を指さしながら、わんこさんが言う。


「そんなこともわかるのね」

「はい。あっしのスキル、超聴覚を使えば、音で材質や構造などを、把握できるんでさぁ」


 まあ、すごいわ。

 ソンナ凄い力持っているなんて……。


「わんこさんはすごいわね」

「いえ! この力は、キリエ様に名前とともに授かったもの! 授けてくださった、あなた様がすごいのです!」


 正確には、わたしではなく、ノアール神様なのだが……。

 何度言っても、皆信じてくれないのよね……くすん。ごめんなさい、偉大なるノアール神様……。

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