163.都市長のキウイ
【お知らせ】
このたび、迷宮の聖女、【コミカライズ】決定しました!
連載場所は、【カドコミ(旧コミックウォーカー)】で、
連載スタートは、3月8日、つまり、明日からです!
漫画はmomoco様が、素晴らしい絵を描いてくださってます!
キリエ神と愉快な森の仲間達を、めちゃきちゃキュートに書いてもらいました!
3月8日カドコミでスタート!
よろしくおねがいします!
【カドコミ】
https://comic-walker.com/
わたしは迷宮都市ナントへとやってきてる。
乾いた砂漠に、めぐみの雨を降らせることに成功。
「ケガや病気までなおしちまうなんて!」
「すごい!」
「治癒の女神様だ!」
わあわあ! と皆さんが喜んでいる。
この街の人たちは、多種多様な人種がいるようだ。
人間、ドワーフ、エルフなど……。
なんだか、奈落の森みたいで共感を覚えるわ。
……それと、ああ。
くま子さんごめんなさい。きっとみんな、心配してるわよね……。
またしても、勝手に出て行ってしまって、ごめんなさい……。
きっと今頃怒ってるでしょうけども……うう……。
「キリエさん。都市長を連れてきましたよ~!」
商人のサンレッドさんがわたしのもとへとやってくる。
都市長……とし、ちょ、え、ええ!?
「蜥蜴人……ですか?」
珍しい、真っ白いうろこの、しかし蜥蜴人だった。
二足歩行する、トカゲの人……。
魔物!
「初めましてキリエさん」
あ、あれ?
声が優しい……女の人? おばあちゃん……かな。
「私はキウイ。よろしく、キリエさん」
「…………」
魔物が、この街の長をやってる。
そうだわ。最初にここに来たときの違和感の正体に気づいた。
誰も、くま吉君たちを、敵と認識していないのだ。
キウイさんが、都市の長が、魔物だからなんだな……。
「キリエさん?」
「あ、いえ。すみません。キリエ・イノリと申します。ゲータ・ニィガ王国、奈落の森から来ました」
「まあ、それは遠いところから。ありがとうございます」
「わたしが足を運んだわけでは……神がここへ来なさいと、わたしを送り込んだだけでして」
「まあまあ。そうでしたか。ありがとうございます、神さま」
この方も信心深いかたなのかな……?
わ! 仲間……!
『おいらはくまきち!』
『すらー』
『ぴゅい! ぐーちゃん!』
『ムイちゃん……』
魔物の赤ちゃん達があいさつをする。
キウイさんはしゃがみ込んで、ニコッと笑う。
「はじめまして。キウイよ。よろしくね」
『『『『しくよろー!』』』』
魔物通し仲よさそう……って、あれ?
「キウイさん。魔物……ですよね。この都市のひとたちと、どうやって会話してるんです?」
通常、魔物は人の言葉をしゃべれない。
亜人型であっても、その原則は変わらないのだ。
キウイさんは流ちょうに人の言葉をしゃべっている。
「簡単ですわ。私が言語を覚え、人の言葉をしゃべっているからです」
「! それは……すごい……」
言葉をゼロから学ぶだけでもすごいのに、しゃべれるなんて!
頭の良い蜥蜴人なんだろう。
「キリエさん、本当にありがとう。あなたのおかげで、この街は救われました」
砂嵐につつまれ、皆死ぬところだったらしい。
「いえ、神に仕えるモノとして、当然のことをしたまでです。それに……まだ皆さんを救えていません。まだ砂嵐を排除し、雨を降らせ、ケガを治しただけです!」
きょとん、とキウイさんが目を点にしてる。
あ、あれ……?
わたし……変なこと言ってるかな……?




