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161.立ち直る聖女



 迷宮都市ナントへとやってきたわたしたち。

 街を包む砂嵐を、ノアール様のお力で、解除することができた。


 わたしたちが街の中へ入ると……。


 ズォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!


『わわ! キリエ姉ちゃんみて! また砂嵐がっ!』

『ぴゅいい! またぶわわー! ってすなあらし~!』

『びーむがきかぬだとぉ』


 魔物の赤ちゃん達が驚いてる。

 なん……ですっ……って……。


 がくっ。


『姉ちゃん!?』『どうしたのー!?』『はらいたいのー?』


 わたしが膝をついてると、赤ちゃんたちが心配そうに近づいてきた。

 いけないわ……こんな暗い顔をしちゃ……でも……でも……。


「キリエさん、どうしたのですか?」

「サンレッドさん……わたし、わたしのせいでっ。砂嵐が、解除できませんでした!」


「いや……一時とはいえ解除できたのはすごいですよ。今まで進入を試みて、だれも中には入れなかったんですから」


 慰めの優しいお言葉をかけてくれる。うれしいわ。

 でも……。


 ノアール様の力が、すごいのに。

 ノアール様なら、何でも解決できるのに。


「神さまの力を出力する、わたしの力が……未熟だから! 砂嵐を完全解除できませんでした! 申し訳ありません!」


 きっと神さまも、落胆なさってるはず……。

 ああ……。


「キリエさん、落ち込まないでください。十分すごいんですから」

「わたしが……未熟だから……!」


「いやだからすごいって……」

「神さまが凄いのは当たり前なんですっ!」

「そ、そうですか……」


 こんな不甲斐ない姿見せてしまった……。

 神さま、申し訳ございません。不出来な使徒で……。


『ねえちゃん、泣かないで!』

「くま吉君……」


 くま吉君が、もふもふボディで、ぎゅっとハグしてくれる。

 荒れ狂っていた心が、少し穏やかになる。


 ぐーちゃん、スラちゃんもまた、くっついてくる。


『ねーちゃがかなしいと、かなしい』

『ないちゃーう』


 ……いけないわ。

 友達を悲しい思いさせては。


 そうよ、神さまは未熟なわたしのことすら、許してくださる。

 むしろ、いつまでもへこんで、周りに迷惑や心配をかけてるほうが、いけないわ。


「ごめんねみんな……もう大丈夫」


 きゅっ、とみんなを抱きしめる。


「ありがとう。くま吉君たちのおかげで、元気でたわ」

『そりゃよかったぜ!』『ねーちゃげんきでぐーちゃんうれしい!』『すらもー』


 ……わたしは皆のおかげで立ち直れた。

「元気出ましたか?」

「はい。それと……頑張らないとって思いました。この砂嵐、神の力で消せなかった……ということは、発生原因がどこかにあるはずです」


 結界もそうだ。

 かけてる人間が、解除しないかぎり、結界が消え去ることはない。


「と、その前に街の人たちの救護ですね。いきましょう!」

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