156.砂蟲と砂漠エルフ
砂漠に飛ばされたわたし。
魔物の赤ちゃんたちが暑そうだったので、ノアール神さまに恵みの雨をふらせてほしいと祈りを捧げた。
……そしたら、地中から水が噴き出してきたのだった。
『うっほっほーい! 水だ水だあ!』
目の前には立派なオアシスができあがっていた。
綺麗な水たまり、その周囲には緑が生い茂っている。
くま吉くんたち魔物の赤ちゃんは水浴びしていた。
『姉ちゃんもおいでよー!』
『いっしょー』
『およごー!』
わたしは木陰に腰を下ろして、手を振る。
「ちょっと休憩したらそちらにいくわ」
『『『うえーい!』』』
ふぅ……。
オアシスができたのは置いといて(置いとけないけど……)。
とりあえず、現状を把握しないとね。
今、雷人狼のわんこさんに、周囲の様子を見てもらっている。
もう少ししたら返ってくるかな?
と思っていたのだけど、なかなか帰ってこないわ。
「どうしたのかしら……?」
……ドドドド。
「ん?」
ドドドドドド。
「なに、この音……」
音のする方をみやる。
すると……。
「姐さん! お逃げください!」
わんこさんが、誰かを背負いながら、こちらに走ってくるわ。
わんこさん以外にも人がいて、一緒にこちらへと逃げてくる。
そう、逃げているのだ。
彼らはしきりに後を振り返り、何かから逃げようとしている。
「わんこさん! こちらへ! 結界を張ります!」
何に逃げてるのかは知らない。
わんこさんと一緒に居る人たちが誰なのかもわからない。
けど……困っている人をほっとけないわ。世界を見守る神に仕える聖女として。
わたしは目を閉じて一心に祈る。
彼らを、そして魔物ちゃんたちを、守ってください……。
カッ……!
「みなさんキリエ姐さんの結界にとびこんでくだせえ!」
バッ、と全員が結界の内部に入る。
すると……。
ごごごごごごごごご……!
どごぉおおおおおおおおん!
地中から何かが飛び出る……。
それは……。
「ひぃっ……! み、ミミズぅ……!?」
飛び出したのは、巨大なミミズだった!
通常のミミズの、何十、何百倍もの大きさだ!
体表は硬い外殻に守られてるものの、うねうねとうごくそれはどう見てもミミズ!
しかも口がイソギンチャクのようになってて、非常にグロテスク!
「砂蟲でさぁ!」
砂蟲はわたしたちに突っ込んできて……。
ぼよぉおおおおおん!
と、結界に弾かれて、遠くへとふっとんでいった。
た、たすかったぁ……。
ぺたん、とわたしはその場にへたり込む。
どうにも、虫は苦手なのよね……。
「ありがとうございやす、姐さん! 助かりました!」
「いえ……それより、その方たちは……?」
わんこさんが見知らぬ人を背負っている。
そして、周りにも見たことない人がいた。
……人?
いえ、違うわ。耳が長いし、浅黒い肌をしてる。
「砂漠エルフのキャラバンの方でさぁ」
「砂漠エルフ……キャラバン……」
どうやらまた新しい出会いのようだった。
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