147.無限魔力結晶製造マシーンキリエ
わたしがいるだけで、この森の民たちはみんな元気になってくれるらしい。
その力の源が、わたしの神パワーっていうのはちょっと釈然としないけど……。
でも、みんなが元気になるなら、いいかな。
「ところで嬢ちゃん何しに来たんだ?」
ドワーフのガンコジーさんがわたしに尋ねてくる。
「街の視察を少々」
知らぬ間に街がドンドンと発展していた。
ここへ来るまで、いくつも建物があったし、立派な道路もあった(キリエ神つき噴水も)。
「ありがとうございます、ガンジーさん、デッカーちゃん。二種族の皆さんが頑張ってくださってるおかげで、民たちが快適な暮らしをできております」
二人とで会わせてくれた、ノアール神様に感謝……。
すると二人がきょとんとした顔になる。
「何言ってるんだ嬢ちゃん? 嬢ちゃんのおかげでここまで発展したんじゃあないか」
「え? わたし何かやりました……?」
街のこととはガンコジーさんたちに全部任せているのだけど……?
「嬢ちゃん、魔道具って知ってるかい?」
「ええ、魔力で動く道具のことですよね?」
「そう。じゃあ魔道具作りに必要なものは?」
魔道具作りに必要な物……?
言われてみると、知らないわ。作ってるとこと見たことないし……。
すると小熊サイズになったくま吉君が手を上げる。
『はいはい! おいらわかったぞ!』
「あら、じゃあ教えてくま吉君」
『うん! キリエ姉ちゃん!』
ふふ……かわいらしい回答。
でもさすがにわたしは必要ない……。
「正解じゃ」『やったー!』
「えええええ!? な、なんで!? わたしなんて必要ないですよね!?」
ふるふる、とガンコジーさんが首を振って、ポケットから何かを取り出す。
それは紫紺の色をして、輝きを淡く放つ……小さな結晶だった。
「これは魔力結晶ってんだ。魔道具を作るときに必ず必要となる、魔力を秘めた特別なクリスタル」
「へえ……それが?」
「おまえさん、これどこで取ったものかしってるかい?」
「いえ……クリスタルってことは、洞窟とかです?」
「嬢ちゃんの家んちの近くの道ばた」
「へ!?」
わ、わたしの家の近く!?
「どういうこと……?」
「嬢ちゃんは常に体から、聖なる魔力を24時間垂れ流しにしてるんだ。その結果、ただの石ころが魔力結晶っつー、超絶レアアイテムに変質してるってわけだ」
つ、つまり……わたしがいるだけで、ただの石ころが凄いアイテムになってる……ってこと!?
『姉ちゃん凄すぎるぜ!』
『ぴゅい! すごすぎがれんぱつー!』
『しゅげーなしゅごいです』
くま吉君、ぐーちゃん、スラちゃんがわたしを褒める……。
けど、なんか……なあ……。
「毎晩家の近くに石をてきとーに撒いとくだけで、ほっとくだけで毎日大量の魔力結晶が採取できるからさ」
「そんなことしてたんですか……」
「おかげで魔道具作り放題よ! どうしても魔道具作りのうえで、魔力結晶問題はついて回るからな。無制限に物作れるなんて最高だぜ!」
う、うーん……。
まあ、ガンコジーさんが喜んでるなら、いいか。
「ありがとうノアール様……毎日おめぐみをくださって……」
『姉ちゃんまだそのノアさんって人のおかげにしてるね』
『ぴゅい、のあさんはかくーの人物なのにね』
『ふぃくしょんのあー』
架空の人物じゃあないの!
実在してるんですっ!




