140.続々々・川遊び【閑話】
わたしはガンコジーさんにつくってもらった水着をきて、奈落の森の小川までやってきてる。
足首が川の澄んだ水に触れる。冷たい。もう夏になって、蒸し暑い日々が続いてる。
肌に当たる川の水の冷たさが本当に心地が……。
『てーい!』
ざっぱーん!
「きゃっ!」
『あはは! ねーちゃんどー? きもちい?』
……顔に大量の水が浴びせられた。
くま吉君がいたずらで、わたしに水をかけてきたみたい。まったく、子供なんだから、ふふっ。
「くま吉きさまあぁあああああああああああああああああああああ!」
『わ! なんだよチャトゥラの兄ちゃん?』
ぶち切れたチャトゥラさんがくま吉くんに飛びかかろうとする。
それをくま子さんが、まるで米俵のように抱きかかえる。
「キリエ様に水をぶっかけるとはなんたる不敬な! 万死に値するぞ!!!」
『んー、おいらムズカシイ言葉わからないよぅ、姉ちゃん、チャトゥラの兄ちゃんは何で怒ってるんだい?』
がるるるぅ、と牙をむき出すチャトゥラをよそに、くま吉君はきょとんとした顔をしてる。
どう見てもくま吉君は悪意を持ってやってないのに、チャトゥラさんはいじめと解釈したのね。
「チャトゥラさん勘違いしてるみたい。くま吉君がわたしをいじめてるって」
『そんなことしないよ! おいら姉ちゃん大好きだし!』
ほらね。
そう、遊びでやったことなのに、ここまで怒らなくてもいいじゃあないの。
そりゃ、心配してくれるのはうれしいけども。
「ほら、チャトゥラ。子供のすること。赦してやんなよ」
「がう……ぐるるるう……しかし!」
うーん、怒りがまだ収まってないみたいだわ。
せっかくみんなで楽しく遊んでいるのに、その空気を邪魔されたくない。
わたしはチャトゥラさんに微笑みながら言う。
「大丈夫よ、チャトゥラさん。そうだ、あなたも、聖十二支のみんなも、川で遊びましょ?」
聖十二支の魔物さんたち、遊ばず外で監視してたからね。
こんな暑い中で監視なんてしたら、暑さで参ってしまうもの。
「そうだね。じゃあ僕らも衣装チェンジしようか」
ぱぁ! ヴァジュラさんの身体が輝くと、黒いビキニの水着を身につけていた。
「わあ! すごいわ、どうやったの?」
「人間体になるときの衣服は魔力を使って作ってる。それを応用しただけさ」
アニラさんも、チャトゥラさんも、というか聖十二支のひとたちはみんなできるみたいね。すごい……。
「まあ何はともあれ、みんなで川遊びよー!」
「「「おー!」」」
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タイトルは――
『俺だけステータスオープンできる件~ごみスキル【開く】のせいで実家を追放されたが、ステータス確認できる俺はチートスキルもS級アイテムも選び放題。馬鹿にした皆、金も名誉も手にした俺を見てねえ今どんな気分?』
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