125.王の血
《サーティーンSide》
キリエが森で歓迎会を開いている、一方その頃。
サーティーンは13使徒たちの集う、円卓山へと戻っていた。
円卓には逢魔の部下、13使徒が集結してる。
そのうちナナは討伐されて欠員となっていた。
「……それで? サーティーン、スリー。貴様らはのこのこと帰ってきたと」
逢魔の一番の部下、ファーストが、スリーたちをにらみつける。
その気迫は凄まじく、ごおぉ……! と大気が鳴動するほどだ。
ひぃ……! とサーティーンは怯える。
ファーストの目は本気で相手を殺すつもりの目だった。
ガタガタ……と思わず恐怖で体が震える。
一方でスリーは悪びれた様子もなく頭をかく。
「いやすまん、ファースト。敵は存外強くてな。なにせ魔王種がひい……ふう……みい……よぉ……4人もいたのだ」
キリエ、アニラ、メドゥーサ、そしてひいろ。
「正直、あり得ないことだろう? 魔王種は通常、一軍団にひとりがいれば十分だぜ、なぁ?」
魔王が集団となるなんてありえないのだ。
最強故に、魔王が誰かのしたにつく必要は無いのであるから。
魔王種を4匹も連れてる聖魔王は、異常と言えた。
「な? しょうがねえだろファースト。魔王が複数人いて……」
ドスッ……!
「な……? がはっ……!?」
「黙れ、負け犬が」
ファーストは何もしてない。
自分の剣の柄に手をかけてるだけだ。
……サーティーンの胸に、後ろから、剣が突き刺さっている。
「ふぁ……すと……て、めえ……」
「貴様は何度負けた? 何度逢魔様の顔に泥を塗った?」
サーティーンの胸から生えていた剣が消える。
離れたところに立っているファーストの手には、血に濡れた刃の剣が握られていた。
ファーストの王剣の能力である。
「貴様の死をもっても、逢魔様に塗った泥が消えることはない。貴様には死ぬよりも辛い罰を受けてもらう」
ファーストは倒れているサーティーンのそばまでいく。
彼女は躊躇なく自分の手首を、王剣で切り裂く。
ぼたぼたと彼女の手首から血が垂れて、サーティーンの傷口に侵食していく……。
「ぐ、ぎ、がぁああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
サーティーンの体がボコボコと隆起し、変形していく。
人の姿から、化け物の姿へと変わる。
「私の身体には逢魔様の血が多く流れている。魔王種の血を受けた魔物は、強制進化させられる」
「が、が、がぁああああああああああああああああああ!」
「暴れてこい、理性を失った化け物となって。そして聖魔王とその配下どもを、鏖殺せよ」




