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115.へびのばけもの



《メドゥーサSide》



 キリエを狙って、他の魔王の部下が襲撃してきた。

 敵の強制転移能力によって、チャトゥラ、アニラ、メドゥーサは3組に分断された。



 メドゥーサはというと、森の深い場所へと連れてこられていた。

 一人きりになったとて、彼女は慌てることはない。



「…………はあ、キリエ」



 メドゥーサは自分の体を抱きしめる。

 キリエに早くあいたい。



 キリエのそばにいないだけでイライラする。

 キリエがいないともっとキリエが欲しいと思ってしまう。



 キリエに抱きつくとこの欲求不満(※誤解)が解消されるも……またキリエが欲しくなる。



「……これがキリエスパイラル」

「何ふざけたこと言ってるのよあんた」



 メドゥーサの上空に、ひとりの女が現れる。

 彼女はナナ。



 ショートカットで、頭から角を生やしている。



「……鬼族」

「せーかい。あたしは逢魔様から力をもらった、13使徒がひとり、その名も……」

「……必要ない」

「んなっ!?」



 メドゥーサは興味なさそうにつぶやく。

 その姿にナナがキレる。



「ここで死ぬから関係ないっていいたいのかおまえ!」

「……いや、ちがう。興味ないだけ」



 メドゥーサにとってキリエ以外の存在はどうでもよかった。

 自分か、キリエか。



 この世界には二つしかないのである。

 有象無象ども名前など、興味ないのだ。


「……ワタシは忙しいの。やる気が無いなら帰っていい?」

「ふざ……けやがって! 魔王種の配下に、人間ごときが勝てるとでも思っているのか!」



 ナナはどうやら、メドゥーサを人間だと思ってるらしい。

 まあ、今のメドゥーサは髪の長い美しい人間に見えるから、誤解してしまうのもわからなくはない。



 だが、である。

 フッ……とメドゥーサが哀れみのまなざしをナナに向ける。



「……あなたの顔についてるそれは、節穴なのかしら。ワタシがどの程度の存在かわからないなんて」

「ふんっ! 死んでから謝っても遅いんだからね! 強制転移!」



 ぶんっ……! とメドゥーサの足下に転移門ゲートが出現する。

 一見すると単なる黒い穴だ。



 重力に従って、メドゥーサが転移門ゲートの中に落ちる。

 そして転移門ゲート奈落の森(アビス・ウッド)の遥か上空へと開かれた。



「そのまま落下して死ぬがいいわ!」



 メドゥーサは回避も防御もしない。

 そのまま、頭からぐしゃりと落下した。


「ひゃはっはあ! あっけないわねぇ!」

「……ほんとね」

「なにぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」



 ナナが驚愕する中、メドゥーサが普通に立ち上がった。



「ば、ば、馬鹿な! 頭を潰してなぜ生きてる!?」

「……これくらいでワタシが死ぬと思ってるなんて、おめでたい頭ね」

「う、うるさい!」



 ナナは転移門ゲートをいくつも開く。

 首、両手首、胴体、足首に出現させる。


「閉じよ! 転移門ゲート!」



 体のパーツの位置を、ほんの少しずらしたのだ。

 その結果、メドゥーサの体はバラバラになる。



 頭と両手足のない死体がそこにはできあがった。



「は、ははは! これで死んだだろう!」

「……生きてるわよ」

「なんでだよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」



 いつの間にか死体が元通りになっていた。

 メドゥーサは涼やかな表情で、ナナを見つめる。



 ナナは恐怖からその場に尻餅をつき、動けなくなった。



「う、うわあああ! く、来るな! 来るなぁあああああああ!」



 転移門ゲートを頭上に出現させて、そこから大岩を落とす。



「無駄」



 転移門ゲートを頭上に出現させ、今度は大量の水で圧殺を試みる。



「無駄」



 メドゥーサはどんなことをしても、死ななかった。

 ナナはもう、目の前に居るのが化け物にしか見えなかった。



「ば、化け物ぉおおおおおおおお!」

「……気づくの、おそ」



 メドゥーサがナナを見下ろす。

 涙で顔をぐちゃぐちゃにしてるナナを見て、つぶやく。



「ワタシは……魔王種がひとり、屍魔王、腐姫」

「は、はぁああああ!? く、腐姫だと!? あ、ありえない! だって死んだって……!」

「……ええ、たしかに腐姫は死んだ。今は、転生して新しい体を手に入れたの」



 それが、メドゥーサ。

 ガタガタ……とナナは震える。



「そ、そんな……聖魔王は、2匹も魔王種を従えてるだって!? そんなのありえない! 魔王種は、魔物たちの頂点! それを二体も配下に加えるなんて……!」



 どれだけ、キリエは凄いのだろうか。


 フッ……とメドゥーサは笑う。



「……あなたのその能力、良いわね」

「え、え? え……?」

「強制転移。邪魔者を消し飛ばすこともできるし、キリエのもとへ直ぐに飛ぶこともできる。ああ、素敵……」



 メドゥーサの体が光り、変化する。

 そこにいたのは、巨大な1匹の大蛇だ。


「あ……ああ……あ……」

『もらいうけるわ、あなたの力』

「い、いいやぁあああああああああああああああああああああ! たすけぇええええええええ! いやぁああああああああああああ!」



 大蛇となったメドゥーサは、大きく口を開くと……。

 ばくんっ! とナナを飲み込んだ。



 そして直ぐに人間の姿に戻って、ちろり……と舌なめずりをする。



「ごちそうさま」

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― 新着の感想 ―
[一言] ある意味かつての腐姫じゃんナナ。
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