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108.聖十二支、会議



《くま子Side》


 キリエが宴の準備を進める、一方その頃。

 くま子は、聖十二支デーバのチャトゥラ、アニラ、そしてヴァジュラと会議を開いていた。


 この場にいるのは、先代聖魔王エレソンの時代から生きてる、古株達である。


「悪いね、準備で忙しいのに集まってもらって」

「ナンデ我らを集めたのですか、くま子?」


 チャトゥラの問いかけに……。

 くま子は、ヴァジュラを見遣り言う。


「ハッキリさせておきたかったのさ。ヴァジュラ……あんたが、エレソン様を殺したのが、事実かどうかの確認さね」


 チャトゥラたち古株達は、全員が、ヴァジュラがエレソンを殺したという。

 そしてヴァジュラ自身もまたそれを認めていた。


「あたいは、エレソン様のことは話でしか聞いたことない。昔何があったのかは知らない。でも……ハッキリさせておきたいのさ。あんたが、何をやったのかってね」


 くま子はまだ、ヴァジュラが善悪どちらの存在なのか、測れきれていなかった。

 キリエは無条件でヴァジュラを信じるみたいだったが……。

 森全体のまとめ役をしているくま子は、ヴァジュラをキリエのように信じることはできなかった。


「キリエに、同じことしないとは限らないからね」

「……そうだね、くま子。君の言うとおりだ」


 ヴァジュラは別に尋問されていること自体に、不満はないようだ。


「というか、チャトゥラ。こういうまとめ役は君の役割じゃなかったのかい? なぜフェンリルじゃなくて、赤熊ブラッディ・ベアが仕切ってるの?」

「黙れ、かみ殺しますよ」


 チャトゥラはちょっとキリエに傾倒しすぎるところがあって、本来のまとめ役をやれてないところがあった。

 なので、くま子がまとめることになったのである。


「んで、実際何があったんだい?」

「そこの白澤はくたくが、エレソンを殺した」

「結果だけじゃあなくて、死の詳しい状況を話しておくれよ、アニラ」


 魔王種であり、暴虐竜という、この森の最大戦力であるアニラを前に……。

 くま子はハッキリと意見を言う。


 ほぅ……とヴァジュラは感心していた。 アニラもまた、くま子の胆力を気に入っていた。


「あれはエレソンが、晩年のときだったな……」


 そうして語り出す、エレソンに、何があったのか。

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