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104.逢魔の子



 円卓山の頂上にて。

 山に立てられた城のなかでは、13使徒たちが会議を行っていた。


 使徒たちの頂点に立つ女、No.1、ファーストは、ナナとサーティーンの首をはねたのである。


「ファースト」

「! お、逢魔おうま様!」


 ファーストの後ろに、音もなくあらわれたのは、仮面を付けた男だ。

 痩身で、赤いスーツに、マント、銀のアクセサリーを身につけている。


 仲間の首をはねたときも、いっさい感情の変化を見せなかったファースト……。

 だが、逢魔が現れた瞬間、まるで普通の少女のように笑顔を見せたのである。


「ファースト。よくないなぁ、仲間を勝手に殺しちゃ」

「! も、申し訳ございません!」


 先ほどの笑顔から一転して、ファーストはその場に土下座する。


「死んでお詫びいたします!」


 逢魔がとめる間もなく、彼女は自分の刀で、首をはねた。

 ……はずだった。


「こらこら。誰が自決しなさいといったかな?」


 ファーストの刀が、逢魔の手のなかにあった。

 彼は穏やかな口調で彼女に語りかける。


「君も、そしてサーティーンも、ナナも、みなワタシが名前を与えた大事な存在だ。勝手に死なれては困るよ」

「も、もうしわけ……ございません……」


 ファーストの顔が青白くなる。

 彼に怒られるのが怖いのではない。殺されるかも知れないのが、怖いわけじゃない。


 ……心より崇拝してる、逢魔に、失望される。それが何よりも恐ろしいことだった。

 だが彼はぽんぽん、とファーストの頭を撫でる。


「特に君のこれからの活躍には、非常に期待してるのだよ。だから、勝手に死なないでおくれ」

「う……ぐす……は、はい……!」


 逢魔に心からの忠誠を誓う女、それが……ファーストという少女。

 さて、と彼は息をつくと、事切れている二人のもとへむかう。


 す……としゃがみこんで、彼らに触れる。

 すると……ぼこ、ぼこぼこ! と切断された首の断面から、触手のようなものが生える。


 それは首と胴体をつなぎあわせ……。


「「かはっ! はぁ……はぁ……はぁ……」」

「おやおや、目が覚めたかな、ふたりとも」

「「逢魔様……」」


 逢魔は二人の肩を叩く。

 サーティーンたちは自分に何が起きたのかわかってない様子だ。


「わるかったね、ファーストがちょっと暴走してしまい、君たちを殺してしまったのだ」


 彼は口調を一切変えることなく、彼らに言う。


「赦してあげなさい」

「「は、はい……」」


 ファーストとはうってかわって、サーティーンたちは震えていた。

 というより、ファースト以外の13使徒は、逢魔に完全におびえていた。


「さて、サーティーン」

「あ、は、はい……!」


 逢魔は倒れ伏すサーティーンを見下ろしながら言う。


「奈落の森であったことを、ワタシたちに報告してくれるかな?」


 こくんこくん! とサーティーンは強くうなずく。

 残りのメンツは、あてがわれた椅子に座って、サーティーンからの報告を聞く。


 逢魔は上座に座って、サーティーンの話を黙って聞いてた。


「おやおや……白澤は聖魔王と合流してしまったのですか」

「す、す、すみません……!!!!!!!!!!!!!」


 サーティーンは頭を深々と下げる。

 任務失敗した間抜けを、ファーストは始末しようとする。


「だめだよ、ファースト。ケンカはよくない」

「……逢魔様に感謝するのだな」


 ふぅ……と逢魔は悩ましげに息をつく。


「しかし白澤は厄介な魔王の元についてしまったな」

「お、逢魔様! お、おれが行って、取り返してきます!」

「おや? 君一人でかい?」

「はい! ミスは……自分で取り返します!」


 ふむ……と少し考えた後、


「わかった。君にもう一度チャンスをあげよう」

「はっ……! ありがとうございます!」

「しかし……ふむ、ナナ。君も一緒に行ってあげてくれ」


 ナナが一瞬だけ露骨に嫌そうな顔をしたが、すぐに表情をひきしめると、頭を下げる。


「逢魔様の仰せの通りに」


 逢魔から名前と力をもらった13使徒にとって、彼は絶対の支配者。

 穏やかな口調をしてはいるが、彼らは知っている。


 ……逢魔は、恐ろしい人物であると。


「ではサーティーン、そしてナナ。任務を遂行するように。まあ失敗しても問題ないよ。ちゃんと帰ってきなさい。君たちは大事な家族だ。温かく、迎え入れてあげるからね」


 ……そこだけ切り取ってみれば、部下のミスも赦す寛容なリーダーに思える。

 事実ファースト【だけ】は、そんな逢魔の寛容さに感心していた。


 ……残りの、特にサーティーンとナナは、顔面蒼白と成って震えていた。

 言葉通りではないのである。


「さ、いってきなさい。気をつけてね」

「「はい……!」」


 サーティーンたちは、必ず作戦を成功させるのだと、強く決意するのだった。


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