表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/196

101.光の速さで参上す



《キリエSide》


 わたしは雷狼ライガーのわんこさんと、そのお仲間の大灰狼グレート・ハウンドさんたちと協力して、ヴァジュラさんを追跡。


 位置を特定したあと、チャトゥラさんにここまで乗っけてってもらったのだ。

 わたしの(というか神さまの)転移は、助けを求める声が無いと、その場所へ飛べない。


 ヴァジュラさんは、わたしを最後まで求めようとしなかった。

 ……理由は、多分わかる。でもいまはそれどころじゃない。


「な、なんだよてめえは!」


 柄の悪そうな人? ケモノ? がいた。

 人間の姿を残した、蛇っぽい人。


「火竜人ですね」


 チャトゥラさんがフェンリル姿から人間の姿に戻る。

 わたしはいち早く彼の背中から降りて、ヴァジュラの治療を行う。


「キリエちゃん……どうしてきたんだい? 裏切り者なんてほっとけば……」

「だまって!」


 わたしは目を閉じて、一生懸命に祈る。

「神さま……どうかこの優しい子を、おすくいください」

「はっ! 馬鹿が……おれの神器じんぎ黒蛇はよ、いちど相手に絡みついたらもう二度と……」


 パキィイイイイイイイイイイイイン!


「なんだとぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」


 わたしが目を開けると、ヴァジュラさんを縛り付けていた、黒い鎖は破壊されていた。


「くそっ! 魔王種に白澤はくたく、それにフェンリルだと!? 完全に想定外だ! 【転移】!」


 火竜人さんが懐から転移結晶を取り出して、いなくなる。

 ……とりあえず、安心ね。


「キリエちゃん……どうしてきてしまったんだい? こんな危ない場所にきて」


 ああ、よかった。


「やっぱりあなたは思った通りの優しい人。あなた、うちに来たのは、この人からわたしを遠ざけるためだったのね」

「どういう……ことでしょう?」


 チャトゥラさんが尋ねてくる。


「おそらくだけど、ヴァジュラさんは忠告に来たのよ。この火竜人さんが、わたしを狙いに来るとわかってたのね」

「! そ、そんな……いやしかし! こやつは保護を求めていた! 自分が狙われてた何よりの証拠!」

「ならどうして、森なんて寄らず、遠くに逃げなかったの?」


 多分だけど、この火竜人さんは、わたしとヴァジュラさんの両方を狙ってたんだろう。

 わたしのほうへ狙いを変えたから、自分が囮になってくれたのだ。


「……君は、お人好しすぎる」


 ヴァジュラさんがどこか、懐かしむような口調で言った。

 誰かと私を重ねているのかもしれない。

「そうですよ、キリエ様。あなたの意見は……根拠のない憶測に過ぎません。こんな裏切り者の行為を、そこまで好意的に解釈するのは……どうしてですか?」


 どうして?

 決まってるわ。


「ヴァジュラさんが、わるい子には思えないからよ」


 最初から、わたしは彼女が悪人だとはどうしても思えなかった。


「それに極めつけは、神さまが力を使ったこと。神さまが悪人に、治癒の力を使うとは思えないわ」


 確信を得たのは、祈ったあとに、神さまが力を使ってくださったこと。

 やっぱり神さまは間違ってないわ!


「「…………」」


 あ、あれ……?

 ふたりが、なんだかぽかーんとしてるわ……?


「く、うっくく……あっはっはっは!!!!」 


 ゲラゲラとヴァジュラさんが大声で笑い出した。

 え、ええ~……なに?


「そうか、神さまが僕を善人だと認めてくれたから、善だと思うんだね」

「ええ、まあ……でも、神さまがお認めになるまえから、わたしはわかっていたわ。あなたがいい人だって。それに……人を殺すような人じゃないって」


 しゃがみこんで、わたしはヴァジュラさんに手を差し伸べる。


「森に帰りましょ、一緒に。歓迎するわ」

【☆★読者の皆様へ お願いがあります★☆】


良ければブックマークや評価を頂けると嬉しいです!


現時点でも構いませんので、

ページ下部↓の【☆☆☆☆☆】から評価して頂けると幸いです!


ポイントが入ると、更新を続けていくモチベーションが上がります!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ